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ちょうど一年前、本誌25号で新造船市場の急回復と中国を中心とした供給能力の増強について触れましたが、2024年の中国における新造船建造量の世界シェアは50%を超え、近い将来60%を超えるとの見方もあるようです。
一方で、韓国・日本の造船所は、人手不足、働き方改革や新燃料船の工期長期化等の影響により建造量を増やせない/増やさない中、先物の受注が積み上がり、手持ち工事量は4年分に達している模様です。 ウクライナ問題や紅海などの地政学的リスクは依然として懸念材料であり、引き続きマーケットへの影響を注視しつつも、まずは積み上がった工事を如何に消化するかが造船業界の喫緊の課題と認識しております。
我々の責務はサプライチェーンを含めた供給能力の確保と納期遵守であり、そのためにライセンシーを含めた当社ブランド全体でのサプライチェーン強化と品質向上に努めて参ります。 昨年4月の社長就任以降、社長交代のご挨拶も兼ねて多くの船主や造船所、エンジンメーカを訪問しました。各社ともに将来の燃料転換に対する検討は進められてはいるものの、代替燃料の供給量や価格の問題から当面はLNG燃料が主体になるのではとの声が多かったように感じます。
さらに、今年発足したアメリカのトランプ政権は、エネルギーの自給自足を重視し、脱炭素化に逆行するような化石燃料利用を促進する政策を発表しており、一時の燃料転換の勢いは減速するとの見方もあるようです。
このような不確実な状況を踏まえ、当社としてはアンモニアなどの新燃料対応技術の開発は継続しつつ、LNG燃料使用時の課題であるメタンスリップ対策技術の開発を進めます。
また新技術の開発に加え、ここ数年多くのご注文を頂いているプロペラレトロフィット、省エネ船体付加物やエンジン出力制限への対応など、三菱重工グループが持つ技術・製品を活用した省エネソリューションの提案を積極的に展開して参ります。
今後も、良質な製品とサービスの提供を通じ、お客様に必要とされ信頼される会社であり続けることを目指し活動していきますので、引き続き三菱重工マリンマシナリの製品をご愛顧いただけますようよろしくお願い申し上げます。
