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脱炭素に向けた取組み
新製品開発取組のご紹介
IMO(国際海事機関)では2050年頃までのGHG(温室効果ガス)排出ネットゼロを目標としており、直近2030年の目標は、GHG排出20%削減(2008年比)となっています。
GHG関連の規制となる「IMOの中期対策」は2025年4月に開催されるMEPC83 (第83回 海洋環境保護委員会)で承認され、2027年より施行する予定です。
「IMOの中期対策」に先立ち、EUでは2024年から海運においてもEU-ETS (排出量取引制度:European Union Emissions Trading System)並びに2025年からはFuel EU Maritime(船舶で使用する燃料に対するGHG強度の上限を設定する規定)が導入されています。
規制対象はCO2だけではなく、GHGとなり、エンジンから排出されるスリップメタン(未燃メタン)やN2O(亜酸化窒素)も規制の対象として含まれます。
三菱重工マリンマシナリは、従来型燃料の重油に加え、LNG、メタノール、アンモニア焚きエンジン向けの過給機を供給してきました。 また、船舶の燃費低減の手段となる排熱ORC(※1)の開発を進めてきました。
これらに加えて、当社では代替燃料となるLNG・アンモニアなどへの転換に対応した機関向けに「LNG焚きエンジン後処理装置」、「アンモニア焚きエンジン後処理装置」、「燃料改質装置」の開発に取り組んでいます。
「LNG焚きエンジン後処理装置」(※2)は、LNG焚きエンジンから未燃で排出されるスリップメタン(GWP(※3):28)を酸化処理する装置です。装置内には酸化触媒を装備し、スリップメタンを低減することを目標としています。
また、「アンモニア焚きエンジン後処理装置」に関しては、アンモニア焚きエンジンから排出される未燃アンモニア、N2O(GWP:265)並びにNOxを同時処理することが可能な後処理装置を目指しています。
一方で、前処理装置の「燃料改質装置」については、LNG燃料改質やアンモニアのクラッキングにおける基礎研究を進めています。LNG燃料改質においては、燃料の一部を水素に転換することで、燃料中のメタン削減と燃焼改善でスリップメタンを低減することを目標としております。
今後も規制動向に対してタイムリーに提案できるよう開発を進めていきます。
(※1) ORC: Organic Rankine Cycle ⇒ 低沸点の有機媒体を使用した発電システム
(※2) 三菱造船株式会社とダイハツディーゼル株式会社の共同研究品
(※3) GWP: Global Warming Potential ⇒ 地球温暖化係数でCO2を基準とした数値

グローバルカンファレンスへの参画
GMF(※)年次サミット参加
2024年10月15日~10月17日、2023年のアテネ開催に続き、2024年は東京で開催されました。
パートナー各社・団体の代表(約200名)が集まり、MHIグループからも参加しました。
本サミットには、IMO(国際海事機関)も出席し、金融、保険、海事産業(船社、船級、港湾、海員団体、非営利組織等)から多くの首脳が集結し、脱炭素化・デジタル化の促進、海事産業全体でのDEI(多様性、公平性、包括性)の推進について複数のワーキンググループに分かれ、各種課題について議論の深堀りがなされました。 課金制度によって得られた資金の透明性・公平性のある使い方、新たな規制・標準の早期確立、AIの果たす役割、海員の労働環境の高度化等、2025年4月のMEPC83 (第83回 海洋環境保護委員会)で承認されるIMO中期対策の重要性を再認識する内容となりました。
2025年は、アントワープにて開催される予定です。
(※)GMF (Global Maritime Forum): コペンハーゲンに本部をおく国際的な非営利組織。

年次サミットの様子