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三菱重工舶用機械エンジンの舶用ディーゼルエンジン用排熱回収システムは、船外に排出される排気ガスの熱を利用して発電する省エネ装置です。余剰の排ガスで駆動するガスタービンと、排ガスボイラの蒸気で駆動する蒸気タービンが減速機を介して結合され、共に発電機を駆動します。(添付写真参照)
この排熱回収システムに独自の制御アイデアを組み込んだ、「コンテナ船等舶用省エネルギータービン発電システムの発明」は、公益社団法人発明協会から平成28年度全国発明表彰の発明賞に選ばれました。この発明は、船舶の燃料消費を削減し、温室効果ガスの放出を抑える為に、舶用ディーゼルエンジン用の排熱を効率的に回収するものです。
一般に、ディーゼルエンジンの排ガスは過給機で燃焼空気を圧縮するために利用されますが、ターボコンパウンドシステムと呼ばれる排熱回収装置では、過給機で仕事をした後の排ガスの熱で蒸気を発生させ、蒸気タービンを駆動すると共に、排ガスの一部を過給機に通さず、別のパワータービン(ガスタービン)に入れて回転力を発生させ、前述の蒸気タービンと共に発電機を駆動します。一方で、パワータービンへ送るガスの量が増えると、過給機の仕事が減ってディーゼルエンジンに送られる空気の量が低下するので、エンジンの燃費が悪くなります。そこで、この発明では、電力需要が発電可能な電力より小さい時には、パワータービンに送るガスの量を小さくしてエンジンの燃費を改善しました。
この発明を装備した排熱回収システムの高い効率と信頼性は国内外の船主に評価され、2011年から現在まで合計76隻の船に搭載されました。今後も船舶の燃料消費低減ニーズの高まりを受け、広く普及すると考えられます。当社では、過給機、蒸気タービン、パワータービン等、主要機器の性能改善によりさらに高効率な省エネシステムの提供を続けてまいります。