Mitsubishi
Heavy
Industries
PROJECT STORY
化学プラント

化学プラントを通して
日本、そしてカリブ諸国の
未来を拓く。

Project Outline

トリニダード・トバゴ
で進められる
重要なプロジェクト

トリニダード・トバゴは、カリブ海の南に位置するトリニダード島とトバゴ島の2つの島からなる国で、面積はわずか5,130平方キロメートル、人口136万人程度でしかない小国だ。しかし、この国が今、大きな注目を集めている。
その理由は、三菱重工が2019年3月の運転開始を目指して建設を進めている化学プラントにある。これは三菱ガス化学(株)、三菱商事(株)等とともに出資したメタノール/ジメチルエーテルの製造プラントで、年間生産量はメタノール100万トン、ジメチルエーテル2万トンを予定するもの。三菱重工は「Engineering(基本・詳細設計)」「Procurement(機器調達)」「Construction(建設工事)」を一括で請け負い、この重要なプロジェクトに取り組んでいる。

幅広く使用され、
注目を集めるメタノール

主に天然ガスから生産されるメタノールは、接着剤、塗料、合成樹脂などの基礎原料として幅広く使用されており、さらに、ジメチルエーテルは、自動車や発電向けディーゼル燃料の代替・次世代クリーンエネルギーとして注目されている。
メタノールの日本国内での年間需要量は約170万トンだが、現状はその全量を輸入に頼っている。しかも輸入元は上位3か国で輸入量の9割近くを占めるなど非常に偏っており、輸入元の多様化が大きな課題となっているのだ。そのため、日本の企業が直接出資し、設計・建設、そして製造・販売につなげていくこのプロジェクトは、日本のエネルギー資源の安定的な確保のために、大きな意義を持っているといえる。

トリニダード・トバゴと
カリブ諸国の経済成長を支える

トリニダード・トバゴは小国だが、実は豊かなガス田を有する世界有数の天然ガス産出国。天然ガスの輸出量では世界のトップ20にも入り、政府も天然ガスの用途多様化や、付加価値向上のための川下産業育成に積極的に取り組んでいる。
メタノールの世界需要は年間約6,500万トンあると言われており、今後もGDPの伸びに沿った成長が見込まれている。そうした中で、トリニダード・トバゴの天然ガスを主原料として、基礎化学品であるメタノールや液化燃料であるジメチルエーテルを製造することは、同国並びに周辺カリブ諸国の経済成長を支えるとともに、世界的に伸長するメタノール需要を満たすことにも貢献する。

現地担当者の声
小井戸 菜海

Nami Koito
I&Iドメイン エンジニアリング本部プロジェクト総括部建設部工事計画グループ
2016年入社
工学部 土木工学科卒業

中国で製作し、カリブ海へ運ぶ
世界を駆けるダイナミズム

プラントは現地で製作して据え付けるのが一般的ですが、トリニダード・トバゴは小国がゆえにプラント建設に熟練したエンジニアやワーカーが少なく、技術力やコスト面において懸念がありました。そのため、本プロジェクトでは、プラントを複数の構成要素に分けた構造物を中国で製作し、船でカリブ海の島国であるトリニダード・トバゴへと運ぶ「モジュール工法」を採用しています。世界を俯瞰して最適の選択肢を探し出すことができる、三菱重工ならではのダイナミックな手法です。私は2017年4月から、中国東部に位置する山東省の港湾都市・煙台に赴任し、建設担当のエンジニアとして仕事をしています。現地では、配管、土木・建築、電気、計装など専門分野別にチームが編成されており、私が所属する建設部は各チームの取りまとめ役を担当。MHI技術者約30名のほか、パートナーである中国企業のスタッフとともに工事に取り組んでいます。

性別、年齢、人種の壁を超えて
人間として信頼されるかが
問われている

現場では、中国人をはじめ様々な国籍の方と英語でコミュニケーションを取りながら、作業が仕様通りに行われているかどうか常に確認する必要がありますが、大学で学んだことをそのまま生かせることはほとんどないので、現場での対応には大変苦労しました。仕事のテンポは想像以上に早く、「分からないことは一度持ち帰って検討する」といった余裕などありませんでした。赴任前は比較的受け身で、最初は様子見で大人しくなりがちでしたが、2年目の社員とはいえ、パートナーから見れば私は1人のMHIエンジニアという立場。実際に「もっといろんな人と話すべきだ」「もっと堂々としていたほうがよいよ」などの指摘も受けました。ここでは、自分から動かなければ何も変わらない。そう感じた私は、その場で分からないことはできる限り質問し、会話をすることを心がけ、パートナーとのよりよい関係構築に努めました。プラント建設は一人でできる仕事ではなく、とくにグローバルなビジネスを手掛ける三菱重工では、性別、年齢、人種などの壁を超えて多様な人たちとの共同作業が必要です。スケジュールを守り、品質を維持するためには、相手にとって耳の痛いことを言わなければならない場合もあり、人間としていかに信頼してもらえるかが問われていると実感しました。

アンテナを広げて、
いち早く問題点に気づき
臆することなくアクションを起こす

海外案件が多いことは理解していましたが、まさか入社2年目で海外の現場に赴任することになるとは思っておらず、あらためて若手の成長のためにチャンスを与えてくれる会社であることを実感しています。
MHIメンバーやパートナーとともに現場を見て回っていると、忙しい中で色々教えてくれる人がいたり、アドバイスをくれる人がいたり、仕事終わりには食事に誘ってくれる人もいます。また、パートナーは女性マネージャーも多く、自分で仕事を勝ち取ってジェンダーレスに仕事をしている様子はとても刺激になっています。
「常に先のことを考えることが大事だ」という上司や先輩からのアドバイスを活かすため、周囲にアンテナを広げて、コミュニケーションの中から問題点にいち早く気づき、臆することなくアクションを起こすことを心掛け、プロジェクトを円滑に進めていく極意を今まさに身を持って学んでいるところです。知識だけでなく人間性を磨き、「あなたともう一度、仕事がしたい」と言ってもらえるような存在になりたいと感じています。