Mitsubishi
Heavy
Industries
PROJECT STORY
ターボ冷凍機
Heavy
Industries
人々が求める
「心地よい環境」づくりへ向け
ターボ冷凍機が活躍する。
空調システムの一翼を担う
ターボ冷凍機
経済活動や人々が生活する上で、今や欠かすことができなくなったオフィスビルや商業施設。その空間を快適なものにするために欠かせないのが空調システムだが、これを、省エネルギーを図りながら一元管理するシステムの一翼を担っているのがターボ冷凍機だ。
近年、空調システムが急速に普及してきており、ターボ冷凍機は、そこを訪れた人や働く人が快適に過ごせるような環境づくりを支える最新のテクノロジー。例えば、日本のランドマークとも言える東京スカイツリー地区や、日本一の高層ビルである大阪あべのハルカスでも三菱重工のターボ冷凍機が採用されており、快適な空間づくりを担っている。
市場規模20兆円と言われる
世界の冷熱分野へ
三菱重工のターボ冷凍機の国内シェアは6割。そして今、市場規模が20兆円と言われる世界の冷熱分野での競争力を強化するために、世界シェア拡大を目指している。いち早く取り組んできた海外展開では、シンガポールのマリーナベイエリア、香港・九龍地区の国際貿易センター、マレーシアのKLCC地区、サウジアラビア政府によるメディナ市・都市開発プロジェクトにおいて多くの納入実績を積み重ねている。
また2013年には、中国・大連に合弁会社を設立。これにより、東南アジアなどを中心とする中国周辺地域にも販売することが可能となり、今や、世界市場向けの生産・調達機能を持つグローバルソーシング拠点へと成長している。
大容量、高効率、
高い省エネ性への期待
ターボ冷凍機の活躍フィールドは、オフィスビルや商業施設だけではなく、空港や病院、ホテル、劇場、そして工場など、ありとあらゆる場所の冷房需要に応えることができる。例えば、鮮度や品質を保つために厳しい温度管理が必要な食品工場や、ネットワーク社会を支えるデータセンターなどでは、24時間365日冷房が欠かせず、こうした場所でも三菱重工のターボ冷凍機が採用され、経済や人々の生活を支えている。
オゾン層破壊防止、地球温暖化防止など環境保全への貢献を始めとして、冷熱関連が抱える課題は多岐に渡っている。今後も、大容量、高効率、高い省エネ性を実現するターボ冷凍機が期待される中で、三菱重工は、人々が求める「心地よい環境」づくりへの取り組みを続けていく。
Hirotaka Tanimura
三菱重工サーマルシステムズ株式会社
大型冷凍機技術部 設計課 市場推進チーム
2013年入社
物質科学創造専攻修了
グループの技術の粋を集め
中東向けの高効率・大容量の
要求を実現
三菱重工のターボ冷凍機は国内トップシェアを獲得しています。一方、海外においてはシンガポールや香港、マレーシアなど、アジアを始めとした数多くの納入実績を足がかりに、シェア拡大を図っているところです。私は、サウジアラビア、ドバイを中心に、中東地域を担当していますが、この地域の冷熱需要は世界の約3割と大きく、且つ2030年までに現在の約6倍の需要拡大が見込まれています。現在拡販を進めるターボ冷凍機は、三菱重工グループの多岐にわたる製品の技術を利用した設計がなされており、その特徴として高効率・大容量が挙げられます。特に強みとしている構成品の圧縮機では、ガスタービンなどで長年培った高度な技術を有機的に組み合わせ、さらに熱交換器や軸受けなどにも技術の粋を集め高効率を実現。何より中東地域では、国内と比較するとプラント当たりの冷熱負荷が大きいため、大容量冷凍機の需要が増えています。通常国内では特殊対応となるような大容量のターボ冷凍機を中東仕様に合わせて新規設計するなど、需要に的確に対応できるよう販売体制を強化しています。
大開発プロジェクトでの
実績を活かし、
提案の幅を広げ、さらなる拡販へ
サウジアラビアでは、同国政府が推進するメディナ市での都市開発プロジェクトの大口案件を受注し、2016年には80台のターボ冷凍機を納入しています。大規模冷熱プラント用に新規設計した大容量ターボ冷凍機についても、客先から高い評価を得ており、多くの引合案件に対応しています。こうした引き合いは年々増えており、昨年だけでも100件以上のお問い合わせがありました。特に印象に残っているのが、世界最大の地域熱供給会社の引合案件に対応したことです。効率やサイズなどの要求スペックが非常に高く、低予算でかつ要求資料も多かったことから、数年前であれば辞退した案件でしたが、社内外との打合せをくりかえし実施して、段ボール数箱分もの要求資料を完成させ、客先に提出することができたことは自信にも繋がりました。中東地域においても、三菱重工製品のブランド力や品質への信頼感は高いものがありますので、こうした経験を積み重ね、現地の代理店と密にコミュニケーションを取り、高い評価を得られるような提案を実行していかなければならないと思います。
中東の現状だけでなく
未来も見据えて取り組んでいく
中東は今後世界で最も大きな市場になると言われており、そうした地域を任されているのは大きなやりがいにつながっています。現在取り組んでいる大口案件を受注し、やりきることができれば自身のステップアップにも繋がります。まずは着実に実績を積み、大口案件を受注に結び付けていくことが第一の目標です。また、現在では環境面への関心はまだまだ低い印象で、従来の冷媒を使用した高性能な製品へのニーズが高いのですが、ゆくゆくは日本や先進国と同じ路線を進んでいくと見ており、その時に、環境への負荷の少ない新しい冷凍機を中東の過酷な環境に合わせてどうカスタマイズしていくか、中東の将来も見据えて向き合っていかなければなりません。私自身、決して英語が得意ではなかったので、大勢の設計者の中でまさか自分が中東地域の担当に選ばれるとは思っていませんでした。現地でいろいろな要求を肌で感じられるようになったのは、以前開発を担当していたときにはなかった経験ですし、今では、より客先のニーズを意識・理解できるようになりました。今後も、自分自身の成長に向き合いながら、まずは中東地域で拡販→受注のよいサイクルをつくり、さらに三菱重工の製品を世界に広めていくことを目指していきたいと考えています。