#10
WORK&
PERSON
INTERVIEW

製品の高い品質を維持するため、
パートナー企業と一体となり、
取り組む環境の創造に挑む。

藤岡 直好
TADAYOSHI FUJIOKA
品質保証
#防衛・宇宙 #航空機
航空機・飛昇体事業部
品質保証部 購入・加工品質保証課
[2009年入社]
工学府材料物性工学専攻修了
※内容は取材当時のものです

幼い頃から、「宇宙一筋」と聞いています。
宇宙に興味を持ったきっかけを教えてください。

小学6年生の時に転居したのが、ロケット打ち上げ場がある鹿児島県内之浦の隣町でした。ある日の昼休み、校舎の裏山からM-Vロケット初号機が飛び立っていく姿を見て、宇宙の虜になりました。中学校の作文では、将来はロケットエンジンの仕事に関わりたいと書いたことを覚えています。大学院では材料物性分野の研究に携わりましたが、就活ではロケットや宇宙関連の仕事ができる企業にアプローチしました。三菱重工は、ある宇宙関連の仕事をしている方から「ものづくりなら三菱」と言われたこと、そして私の大学院での専攻にとらわれず、人そのものを見ていただいたことに惹かれ、入社を決めました。

入社後、希望通り宇宙関連の仕事に就かれたのですか。

入社以来、品質保証部に在籍していますが、入社後、ロケットエンジンや宇宙ステーション補給機など、宇宙機器部品の品質保証の担当となりました。入社年の2009年は、宇宙ステーション補給機である「H-ⅡBロケット」の1号機が打ち上げられた年。その後、2020年の運用終了まで9機の打ち上げに関わり、打ち上げ成功率100%を達成しました。また現在の三菱重工の基幹ロケットである「H3」も、私の入社時に開発が始まり、現在搭載されている「LE-9エンジン」の技術実証モデルである「LE-Xエンジン」の品質保証に携わりました。品質保証はものづくりの最終工程ともいうべき重要な役割を担います。子どもの頃からの夢だったロケットエンジンに入社早々関わることができ、実際に打ち上げを成功させたことに、大きなやりがいを感じました。

現在の仕事内容を教えてください。

現在、防衛航空機や飛昇体、宇宙機器部品の品質保証を担う部署に所属しています。これらの部品は、三菱重工内の製造・加工品とパートナー企業でつくられた製品があり、それら検査に加え、パートナー企業の品質監査等も行っています。私自身は、工務技術チーム統括という立場。名古屋誘導推進システム製作所(小牧北工場)、名古屋航空宇宙システム製作所(小牧南工場)、飛島工場の3拠点を巡回し、課内の業務が円滑に進むように人、モノ、金をマネジメントするとともに、パートナー企業に寄り添い各種改善を進める取り組みを実施しています。課内はもちろんですが、パートナー企業の実力を向上させるための仕組みをつくるのが大きなテーマの一つ。たとえば、部品に不具合が発生した場合、原因を究明して是正していくわけですが、同時にパートナー企業が作りやすい図面の作成やコスト低減の工夫など、パートナー企業に寄り添い、育成していくスタンスで取り組んでいます。

印象に残っている取り組み、仕事のやりがいを教えてください。

ロケットの打ち上げ直前に、自分たちの作ったバルブのトラブルが要因で打ち上げ延期となったことがあります。ロケット打ち上げ場から返却されたバルブを、検査員とともに部品を分解し徹底して原因究明を行い、1週間という短期間で再打ち上げにこぎつけることができました。原因は極めて微小な部品の変形によるものでしたが、従来の検査方法では発見が困難なもので、以後、X線検査を導入し、検査精度の向上を図りました。ロケット打ち上げという大きな事業に対する自身の貢献や、その責任を改めて痛感した取り組みでした。また、いずれのロケットでも、打ち上げ成功というのは何にも増して仕事をするうえでの喜びがあります。自分が頑張った成果を肌身で実感できるところに、やりがいを感じています。

これから実現したいこと、ご自身の夢をお聞かせください。

課内にせよパートナー企業にせよ、重要なのは関わる「人」そのものです。それぞれの人が業務を進めていく中で、高いモチベーションを維持し、気持ち良く業務に取り組んでもらいたいと思っています。私は宇宙大好きですから、常に高いモチベーションを維持してきましたが、すべての人が同じとは限りません。さらに防衛費拡大の方針を受けて、飛昇体を中心に急激に業務量が増えており、必然的に新しいパートナー企業、人が必要になってきます。パートナー企業や人をいかに育て、実力を向上させていくか。今後の大きなテーマの一つです。そして、課内のメンバー、パートナー企業が一体となって同じ目標に向かって仕事できる環境を創造すること、それが私の挑戦であり、目標です。

PERSONAL DATA

幼稚園年長(6歳)と小学校3年生(8歳)の子どもと遊ぶことが一番のリフレッシュ。趣味はカメラ。ロケット、飛行機を撮ることから、最近は子どもを撮ることが多くなりました。また家族見学会で、子どもたちが間近でロケットを見る機会があり、担当者が「パパがチェックしたエンジンが付いてるよ」と子どもに説明してくれました。子どもが驚いて、喜んでいたことが、とても嬉しく感動しました。
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