#11
WORK&
PERSON
INTERVIEW
PERSON
日英伊による次期戦闘機の共同開発。
3ヵ国ステークホルダーの合意形成を図り、
国の安全保障に貢献するやりがい。
航空機・飛昇体事業部 営業部 次期戦闘機グループ
[2015年入社]
経済学部経済学科卒
三菱重工に入社した理由を教えてください。
学生時代、大学の体育会のフィールドホッケー部に所属し、4年生の時は主将としてチームを率いていました。メンバーとのコミュニケーションやチームマネジメントなど、難しさを感じつつも、目標に向かってチーム一丸となる体制作りに取り組んだことは、自身の成長の上で貴重な経験となりました。この部活での取り組み、そして幼い頃に海外に住んでいた経験から、チームでする仕事、海外で働くことができる可能性があること、フィーリングが合うこと、それら3点を軸にして就活を進めました。この軸に合致した会社は数社ありましたが、最終的に三菱重工に決めたのは「人」です。何をするかより誰と仕事をするかを重視していたこともあり、「この人たちと一緒に働きたい」と思ったのが三菱重工でした。
現在の仕事内容を教えてください。
F-2の退役が始まる2035年までに、次期戦闘機の配備を開始する必要があり、開発の検討が進んでいます。当社はこれまで、先進技術実証機をはじめとする各種関連研究を通じて、戦闘機の最先端技術を獲得、2020年には防衛省と次期戦闘機開発に係る契約を締結し、構想設計等の開発作業を推進してきました。さらに、この中で防衛省とともに英伊両国との協力の可能性についても検討を進めてきました。2022年に、日英伊3ヵ国首相により、2035年までに3ヵ国で共同開発する旨を発表した『グローバル戦闘航空プログラムに関する共同首脳声明』が発出され、そして私が現部署に着任した2023年、日・英・伊の3ヵ国は「GCAP*政府間機関の設立に関する条約」へ署名、3ヵ国共同で進める次期戦闘機の開発が具体化のフェーズに入りました。私はその共同開発のための体制構築に取り組んでいます。
※GCAP…Global Combat Air Programme(グローバル戦闘航空プログラム)
具体的には、どのような取り組みを進めているのでしょうか。
3ヵ国共同開発に関わることで、機体のインテグレーションを担当する日本・三菱重工、英・BAEシステムズ、伊・レオナルド3社が、どのような枠組みで開発を進めるか、3社の合意形成を図っていく必要があります。3社それぞれの考え・意思を整理し、最適な着地点を見出していくことが求められます。さらにこのプロジェクトは民間だけに委ねられるのではなく、3ヵ国政府も深く関わります。3ヵ国は、開発を一元的に管理する政府間機関「GIGO」(GCAP International Government Organization)を今後設立する予定であり、3ヵ国政府との調整も重要な作業になってきます。このように、次期戦闘機の共同開発プロジェクトを速やかに推進し、2035年の配備実現の道筋をつくるのが私のミッションと言えます。
印象に残っている取り組み、やりがいを教えてください。
防衛企業の大手として、今回の次期戦闘機のような注目度の高い大規模な装備品の開発に関わることができ、それが国の安全保障に直結し、国防の一翼を担えるところにやりがいを感じています。2023年には、英国で「DSEI London」と呼ばれる防衛産業の展示会を、2024年には同じく英国で「Farnborough International Airshow」と呼ばれる航空産業の展示会に、次期戦闘機の模型を出展しました。日本だけでなく、海外の多くのメディアで取り上げられ、非常に注目度が高い事業であることを改めて実感しました。また、設計初期段階の作業を行うため、2023年9月に英伊企業と3社間協定を締結しましたが、背景が異なる3社が一つの契約に合意することの大変さを改めて痛感しました。合意形成に至るまでは厳しい局面もありましたが、協定締結を実現したことに大きなやりがいを感じました。
これから実現したいこと、ご自身の夢をお聞かせください。
入社以来、戦車や装甲車などの特殊車両、ミサイル、そして今回の次期戦闘機と一貫して防衛事業に関わってきました。どの業務でも、ある程度裁量を持って仕事ができ、また入社直後から実務的な経験を積んできたことで、着実に成長できたと感じています。当面は次期戦闘機に関する業務が続くと思いますが、将来的には、海外に拠点を持つグループ・関連会社に赴任し、よりグローバルな環境で仕事をしたいと考えています。防衛のような、国益に繋がる業務の魅力・やりがいはありますが、民間同士のグローバルなビジネスも経験したいと思っています。多様な文化や価値観を持つ人たちの中でも、自分の強みを発揮できるような人材に成長したいと考えています。