#08
WORK&
PERSON
INTERVIEW

構造物の地震対策に役立つ、
新しい振動解析モデルの開発に挑戦。

白石 晴子
HARUKO SHIRAISHI
研究開発
#構造・振動解析 #総合研究所
総合研究所
振動研究部
振動第二研究室
[2013年入社]
工学研究科社会基盤工学専攻修了
※内容は取材当時のものです

大学時代の専攻は、
現在のお仕事にどのように活かされていますか。

子供のころから橋梁などの大きなものが好きだったので、大学では土木を専攻し、大型構造物の地震対策について研究していました。
今担当している構造・振動解析の仕事もその延長にあります。例えば三菱重工グループの製品であるガスホルダー(ガスタンク)について、地震があったときにどのような挙動をするかコンピュータ上で解析し、その結果を設計内容に反映していくのです。

構造・振動解析の研究職に就くまでには、
葛藤があったと伺いました。

もともと研究者志向だったので、学生時代は大学に残るか就職するかで、ずいぶん悩みました。できれば社会のニーズに応えられるような実用的な研究がしたかったので企業に入りたかったのですが、研究職に就くことを保証してくれる会社があまりなかったため、決心しかねていたのです。そんな中、三菱重工は私の話に真摯に耳を傾けてくれ、なおかつ初任配属先が内定時に決まる「配属予約(マッチング)採用」を行っていたため、私にとっては好都合でした。
実際に入社してみると、本当に望んでいた仕事ができましたし、社内の人間関係もよく、とても楽しいです。もちろん社会的にも意義のある研究ができるので、満足しています。
就職活動は限られた情報の中でしなければいけないため、いろいろ不安もあると思います。しかし、自分のやりたいことを明確にし、ちゃんと伝えていけば、それに応えてくれる会社は絶対にあるはずです。

さらに速く、さらに多く地震対策を進めるために、
どのような手法を探っているのでしょうか?

より簡易化した解析モデルを用いて地震時の挙動を把握し、対策方法の開発を進めています。これまでのシミュレーションのやり方は計算の手順が多く、結果が出るまでに長い時間がかかっていました。それを単純化した解析モデルで、精度よく簡単に計算できれば、もっと速く、もっと多くの構造物で効果的な地震対策が進められるはずです。
自然現象である地震は複雑な振動の組み合わせであるため、それを正確にシミュレーションしていくのは簡単ではありません。しかし日本のような地震国には絶対に必要なシステムですし、私自身、東日本大震災の被害の記憶が新しいだけに、研究の成果を通して社会に貢献していければ、こんなに嬉しいことはないですね。

多様な製品を手がける三菱重工でなら、
構造・振動解析の適用対象はたくさんありそうですね。

そうですね。例えば、宇宙機器もその一つでしょう。最近、私が携わったのはH-ⅡA/H-ⅡBの後継機となる新型基幹ロケットの開発です。ロケットを打ち上げるときにはかなりの振動がありますが、搭載する衛星や内部機器に影響が及ばないよう、その大きさを予測し、必要に応じて、振動を抑制する構造を実現しなければなりません。その設計において、私たちの解析技術が役に立つのです。

PERSONAL DATA

走るのが好きで、ついにはフルマラソンにエントリーし、今は準備のためランニングに励んでいる。「広島は川沿いの気持ちのいい道が多いので走るには楽しい町」と話す。ほかにも駅伝やソフトボール大会、テニス大会などスポーツ関連の社内行事が多く、「働きながら健康になれる」と笑う。
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