#15
WORK&
PERSON
INTERVIEW
PERSON
「エンジンの開発を
したいなら三菱重工」
と言える理由。
エンジン・エナジー事業部
技術部
高速エンジン設計課
[2005年入社]
理工学研究科数理環境科学専攻修了
エンジン開発に携わりたいと
思った理由をお聞かせください。
三菱重工にエンジンメーカーとしてのイメージは薄いかもしれませんが、実際には農業機械や建設機械、発電機、船舶などに搭載する汎用エンジンをいくつもつくっており、新製品の開発も常に行われています。私がエンジンの設計に携わりたいと思ったのは、少人数のチームでプロジェクトを進めるため、一人のエンジニアが複数のエンジン部品を担当でき、最終的にエンジンを丸ごと開発できると知ったからです。
もちろん、入社してすぐに一人前になれるような仕事ではないので、設計部門に配属になったものの最初の約6年間は量産ラインの生産維持管理を担当しながら、少しずつ製品(三菱エンジンの設計思想に伴うメリットおよびデメリット)について勉強していきました。すると、どういった構造や部品だと製造がしやすいとか、性能の向上につなげるための「設計のコツ」みたいなものが分かってきます。
初に開発したのが16気筒ガスエンジンだったそうですね。
ええ。7年目にいよいよ製品開発の担当となり、最初に手掛けたのが発電機用の16気筒ガスエンジンです。それまでも16気筒ガスエンジンはあったのですが、今回は同一ボア/ストロークで出力30%アップとするため、各部品の要求スペックが厳しくなります。最大の課題は低燃費化でした。それには筒内のガス圧を高める方法が有効ですが、正確な効果を調べるために3カ月以上も実証実験を繰り返し、その成果をもとに設計図を完成させたのです。
エンジン開発で、特に面白く感じるのは
どういった部分なのでしょうか?
次に担当したのが6気筒のエンジンでした。これはディーゼル燃料仕様として発電機用および船舶用と、またガス燃料仕様として発電機用と各用途に対し共通したベースであることが、生産性向上の観点から要求されていました。しかし、各仕様によって最適仕様が異なるため、いかに影響度を小さく抑え共通化を図るかといった課題があり、新しい挑戦ができたのは、かえって楽しかったですね。
エンジンの設計では、性能を高めるにしろ、低燃費化を図るにしろ、熱損失や機械損失を減らしていくという物理的なテーマに立ち向かっていかなければなりません。しかし、そういった検証をしたあとは、部品の形状や材質などによって答えを出していく。つまり、理論と実践の両方で課題を解決していくといった作業が必要であり、その一連の流れが面白いのです。
設計者として大切にしていることを教えてください。
汎用エンジンの場合、いくらいい製品を開発したとしても、用途まで開拓し、販路を広げていかなければ事業は成長していきません。その部分は営業が担当するとしても、私たち設計者も「こんな分野で使ってほしい」と市場を想定しながらエンジンを仕上げていく必要があるのです。一人のエンジニアが製品の全体像を考えながら開発していける環境だからこそ、ビジネスとのつながりを強く意識していける。それが私にとって理想的な仕事なのです。