#01
WORK&
PERSON
INTERVIEW
PERSON
誰もが宇宙利用に手が届く時代を、
自身の技術で引き寄せ、
人々と宇宙の距離を縮めたい。
宇宙事業部 技術部 電子装備設計課
[2019年入社]
基幹理工学研究科機械科学専攻修了
大学院ではロケットエンジンを専攻したと聞いています。
以前から、宇宙への関心はあったのですか。
幼い頃から、宇宙には漠然とした憧れがありました。近所の科学館に通い、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還に胸躍らせました。大学時代はケネディ宇宙センターを訪ね、また、種子島では実際のロケット打ち上げを目の当たりにしました。ロケットが空に向かって力強く飛び立つその迫力と壮大さ、それをつくり出せる技術力に感動し、将来は宇宙産業に携わりたいと強く思うようになりました。大学院では、主にロケットエンジン用液体水素ターボポンプの高性能化、高信頼性化の研究に力を注ぎました。
宇宙産業に携わりたいと思ったとき、
吉村さんの目に三菱重工はどのように映りましたか。
三菱重工は、ロケット製造から打ち上げ輸送サービスまでを手掛けている企業です。宇宙産業、特に大学院で学んだ知見を活かしロケットに携わりたいと思っていた自分にとって、やりたいことを実現できる場と感じました。また、大学院時代に三菱重工との共同研究の経験もあり、就活時にも社員の方々と関わる機会が数多くありました。それらを通じて、各自が自分の仕事に誇りを持ち、大きな仕事を任されて活躍されている姿が魅力的であったこと、ものづくりに対する並々ならぬ熱意を間近で感じたこと、さらに工場見学に行った際に三菱重工が行っているものづくりのスケールの大きさにも感銘を受けました。
現在担当されている仕事内容、
その中で印象に残っている取り組みを教えてください。
入社以来、宇宙事業部技術部に所属しています。入社直後は、将来を見据えた輸送ロケットエンジンの要素研究に取り組みました。その後、次期基幹ロケットであるH3ロケット1段エンジン「LE-9」のコンポーネント開発、エンジン試験・ロケット打ち上げ対応、月面ローバー開発にも取り組んでいます。エンジン「LE-9」は高信頼性に加え、低コスト化も大きなテーマであり、検討開発を進めてきました。月面ローバーは月面上を走行する探査車のことですが、私は各種搭載機器のモータを駆動制御するコントローラーの設計検討を担当しています。
その中でも、ロケットの打ち上げ対応、特に打ち上げ数週間前の機能試験で生じた、あるセンサの出力疑義の対応が印象的です。ロケット打ち上げ輸送サービスは確実で安定的且つタイムリーな打ち上げが求められる事業であるため、問題有無の判断、原因推定・分析、調査、対応処置をスピーディにこなすことが必要でした。結果としてはスケジュールインパクトなく、対応処置まで完了し、フライトデータにも問題は見られませんでしたが、この経験から、不具合未然防止のために、日頃のデータ分析・トレンド評価の大切さ、また事象に対して過信することなく、謙虚に向き合う重要性を痛感しました。
仕事のやりがいや大切にしていることを教えてください。
エンジンのコンポーネント開発で実感しましたが、実証試験で目指した結果が導き出せたときは、一つの達成感があります。また、自分が携わってきたロケットが宇宙に向かって飛び立つ様を見たときは、本当に胸が熱くなり、心からやりがいを感じました。ロケットのみならず宇宙開発の仕事は、多くの人の協力で成り立っています。担当業務だけに注力するだけでなく、全体を見て最適化を図っていくこと、様々な関係者との強い結束力、連携が重要であることを実感しています。
これから実現したいこと、ご自身の夢をお聞かせください。
宇宙産業は今大きな変革期にあり、ベンチャー企業や民間企業の参入が活発になってきていますが、依然、宇宙産業というのは多くの人にとって遠い存在であると思います。私の夢は、誰もが宇宙に手が届くような、宇宙産業の活発化・発展に貢献するロケットエンジン、宇宙機器をつくることです。それによって、人と宇宙の距離を縮めたい。あの技術・製品があったから、人と宇宙の距離が変わったと言われるようなものをつくり出したいと思っています。そのためにも技術力を高めつつ、新しい技術へのアンテナを張って、チャレンジ精神をもって新しいことに貪欲に取り組んでいきたいと考えています。