VG(可変容量)ターボチャージャ

PROJECT 中国最大手の自動車会社様からの新規受注獲得に大きく貢献した、グローバル体制とチーム力。

OUTLINE

MHIETのVG(可変容量)ターボチャージャ
MHIETのVG(可変容量)ターボチャージャ

2022年、中国最大手の自動車会社様の2.5Lエンジン向け「VG(可変容量)ターボチャージャ」のコンペ(コンペティション=サプライヤー選定)が実施されました。
今回のプロジェクトストーリーでは、その際の当社社員の活躍について紹介します。


営業担当者の声

ターボ事業部 営業部 営業一課 第一チーム 上席主任 王 卓

ターボ事業部のグローバルな開発・生産体制でコンペに挑む

中国最大手の自動車会社様のコンペを勝ち抜き、MHIETのVGターボチャージャが採用されることは、中国のターボ市場でのさらなる開拓の実績となるため、気の抜けない案件でした。しかも、中国最大手の⾃動⾞会社様のコンペであるため、競合相手は世界的ターボメーカーのみならず、中国ローカルのターボメーカーも参加しており、技術面はもちろんのこと、価格面での激しい競争が予想されました。
そのため、VGターボチャージャの開発・設計はマザー工場のMHIETにて行い、中核となるカートリッジはコスト削減のためにタイにあるグループ会社MTAで組み立て、そして、今回は中国のお客様ということで迅速な対応が可能な上海にあるグループ会社SMTCにて最終組立を行うという、ターボ事業部のグローバルな開発・生産ネットワークを活かしたプロジェクト体制によりコンペに挑みました。

MHIET(三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社)
MHIET(三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社)
SMTC(上海菱重増圧器有限公司) 中国
SMTC(上海菱重増圧器有限公司)中国
MTA(Mitsubishi Turbocharger Asia Co., Ltd.)タイ
MTA(Mitsubishi Turbocharger Asia Co., Ltd.)タイ

チームワークで、お客様の厳しい要求を乗り越える

私自身は営業ですので、量産・試供品の見積対応、MHIETでのサンプル部品の出荷や調整を行いました。また、海外拠点や部署をまたいでのコスト低減活動の推進も担当しました。
営業は製品の開発ができない反面、お客様に当社製品の性能を評価してもらうためのサンプル部品を納期通りに出荷できるようにフォローすること、そしてお客様のターゲット価格に向けてコストを徹底的に検証しコストダウンを推進することで、価格面でのご要望にも最大限に応えました。お客様からの価格や納期についての厳しいご要求に対して、部門間で会議を頻繁に開き、営業が中心となって調整していきました。モノづくりというのは営業や設計だけでできるものではなく、工作部門や調達部門といった全員参加のチームプレーで取り組むことが大切です。このチームワークがあってこそ、お客様からの厳しいご要求に対応できたと思っており、そこがターボ事業部の素晴らしいところでもあります。

多くの競合の中から、MHIETのVGターボチャージャが採用される

様々な課題をクリアし、そして海外拠点を含め関係者が一丸となり全力を注いだ結果、競合他社とのコンペを勝ち抜き、MHIETのVGターボチャージャが見事採用されました。協力してくれた方々へ受注の報告と共に、感謝の気持ちを伝えて、みんなと喜びを分かち合えたことが何よりもうれしかったです。

今後の課題と、量産開始へ向けて

今までも多くの量産案件のコンペに対応してきましたが、今回、他の案件と違っていたのが、中国ローカルのターボメーカーが力を付けてきたことです。「こんなに安くできるのか」ということを改めて意識するようになりました。ローカルメーカーは技術力ではまだお客様のご要望に応えられていない部分もありますが、非常に手強い競争相手になりつつあります。今後は従来競合していたグローバルなターボメーカーだけではなく、中国ローカルのターボメーカーにも関心を払いながら、自社製品の技術力とコスト競争力の強化に力を注いでいきたいと考えています。
そして、今回受注した案件が無事予定通りに量産開始できるよう、APQP(Advanced Product Quality Planning:先行製品品質計画)にて各フェーズの要求事項に漏れなく対応していくことや、社内外関係者からアイディアを聞き入れながら、さらなるコスト低減を実施していきたいです。

本プロジェクトの経験から、新たなチャレンジへ

本プロジェクトの経験から、新たなチャレンジへ現在、中国は世界最大のターボチャージャ市場ですので、今後は本プロジェクトで培った経験を踏まえて、更なる顧客開拓に挑んでいきたいです。その一環として、海外拠点と社内の関係者と共にマーケティング手法を用いて、市場のニーズに沿った製品のアップグレードを行い、お客様への売り込みを進めている状況です。MHIETのターボ事業は、まだまだ多くの可能性を秘めていますので、今後もチャレンジし続けていきたいと思っています。