省エネ装置

かけがえのない地球環境の保安維持に貢献したい。

フレンドフィンの省エネ効果は6〜8%で、200隻近くの中小型船に装着されています。

中小型船用の画期的省エネ装置

フレンドフィンは新造船・既存船に
わずかなスペースで比較的簡単に取り付けられ
船のプロベラ推進効率の向上を図ります

排気ガスによる環境汚染問題をはじめ燃料油価格の急激な高騰など、社会情勢の変化によって海運業においては、船舶の 省エネルギーに対する関心が大変高くなっています。そのような状況の中で、中小型船を対象とした省エネ装置として「フレンドフィン」を開発し実用化しました。
本装置の基本型は、プロペラの直前で船尾管ボス部のプロペラ軸から上方域の左右舷に各々2枚の翼を放射状に、スターンフレームの後端に1枚の翼を取り付けたものです。それにより プロペラ後方に発生する回転流を減少させて推進効率を向上させることで、省エネ効果が得られます。
数枚の翼を船尾管ボス表面に設置するという簡素な構成のため、新造船だけでなく就航船にも簡単に取り付けることができます。

フレンドフィンの主な特徴

  • 通常船で6%~8%の省エネを可能にします。
  • 整流によって船体抵抗を減少させます。
  • C02、 NOx、SOxを削減し環境負荷を低減します。
  • 航走時の船尾振動軽減・静粛化効果があります。
  • コストパフォーマンスに優れています。
  • シンブルな構造でメンテナンスが不要です。
  • 2日間程度で装備できます。
フレンドフィンを装備した船尾

フレンドフィンは【認定】【適合】装置

フレンドフィンは、NEDOのエネルギー使用合理化事業者支援事業の公募条件である国交省が定める省エネルギー基準「プロベラ前部放射状型取付翼」に【適合】しており、また、鉄道建設・運輸施設支援機構の船舶使用料利率の軽減措置の対象製品です。

フレンドフィンの原理

プロベラ回転と逆向きの水流を生成してプロベラに送り込む

船体が航走しているときプロペラの後方には、回転方向と同じ向きの回転流が発生しエネルギーロスとなっています。
一般にブロペラ効率は、プロペラ荷重度が大きくなるにつれて推進効率は低くなります。 ただし、<図1>の理論効率は水に粘性がない場合を示しており、実際の効率は主としてプロペラ翼と水が摩擦することによる粘性の損失とプロペラ後方の回転流の損失が加味されて低下します。 フレンドフィンは、その回転流ロスの成分を減少させることで、推進効率向上を図ろうとするものです。
フレンドフィンは、プロペラ直前の船尾管ボス部に放射状に取り付けた3~6枚の翼で構成され、プロペラ面の上半分に流れ込む水流を制御します。
各々の翼は、プロペラ回転方向と逆向きの流れを効率良く発生させるように取り付けられています。 プロペラ前方で予めプロペラの回転方向と逆方向の流れを発生させることによって、プロペラの回転流ロスを減少させ、推進効率を向上させるのがフレンドフィンです。

フレンドフィンの構成

3~6枚の翼で構成

フレンドフィンは、プロペラ前方の船尾管から複数の翼をプロペラ軸より上方域に放射状に突出して設けます。
通常の場合、翼型形状の翼を左右舷に2枚ずつ計4枚を設置、そしてスターンフレームの後端に平板状の翼を1枚設置した構成になります。翼は目的にしたがって設定させた「ひねり」を加えて施工します。

効果の検証

フレンドフィンの作用と効果

地球温暖化や環境汚染の問題、燃料価格の高騰という世界的な社会情勢の中で、中小型船用の省エネルギー装置としてフレンドフィンを開発しました。 フレンドフィンを装着することによって、プロペラの推進効果向上で船舶の運航効率が高まり燃料消費量が削減されます。よって運航経費 が節減でき、事業採算性の向上につながります。さらに燃料消費量の削減は直接的に温室効果ガスの排出量の低減効果をもたらします。

フレンドフィン装着
燃料消費量削減
運航経費節減
事業採算性の向上

プロベラの流体メカニズム

船尾部のプロペラ前方域には内回りの一対の回転流があり、特にブロペラ軸より上方域では渦度の高い渦流となり、流れが淀み非常に遅い流れが存在します。 推進効率の点からみると、一対の回転流は、片舷ではプロペラの相対的回転速度を助長し、他舷では減少させる作用があります。 それによリー対の回転流は片舷側で性能の向上、他舷側では性能が低下するよう作用し、特にプロペラ軸上方の渦流域 ではこの作用が顕著です。
プロベラ起振力の点からも一対の回転流は片舷で起振力の増加、他舷では減少となるよう作用します。

フレンドフィンの流体的な効果

プロペラ直前でプロペラ回転と逆向きの流れを生成してプロペラに送り込むことによってブロペラ後方回転流が低減され、その結果、推進効果が向上することになります。
翼はプロペラ面内の全域でなく、流速の遅い伴流の大きい上方域に限定して設けるほうが、回転流の減少効果は多少小 さくなってもフィン自体の固有抵抗の減少効果が上回り、結果的に推進効率向上効果が高くなります。
フレンドフィンを装備した場合、船体振動の大きい船舶に対しては船体振動が低減されております。
また、船尾部の流れ(渦など)を整流して船体抵抗も減少させる効果があります。

効果の検証 PART① フレンドフィン省エネ効果の実例

フレンドフィン装備による試運転結果と航海実績によって省エネ効果が実証されています。 フレンドフィンによる推進性能向上に関しては、14,200重量トン型ケミカルタンカーおよび499総トン型貨物船など各種中小型船を対象に水槽試験や実船試験を行い、 その省エネ効果は、船型形状差に大差なく実質的効果として約6~8%の削減が確認されています。

フレンドフィンによる各種船日の省エネ効果

水槽試験と試運転結果の関係

14200DWT
ケミカルタンカー
499GT
賃物船

フレンドフィン水槽試験結果

600GTクラス
ケミカルタンカー
5000klクラス
クラスタンカー
7000DWTクラス
セメント船
8000DWTクラス
自動車運搬船

効果の検証 PART② フレンドフィン省エネ効果の実例

フレンドフィンによる各種船舶の省エネ効果

水槽試験結果

10000㎥ クラス LPG運搬船
8000DWTクラス ケミカルタンカー

試運転速力試験結果

199GT貨物船

フレンドフィンによる船体振動低減結果

装着前後の振動計測結果(749GT LPGC)

5000klタンカーフィン翼根部ひずみ 実船計測結果

12000WT貨物船 就航実績

フレンドフィンQ&A

Q1 フレンドフィンとは、どのようなものですか?
A : 中小型船を対象にした省エネ装置です。
Q2 装置を装備することで、どの程度の省エネ効果がありますか?
A : 船型によって多少異なりますが、約6~8%の省エネ効果があります。「省エネ法」では運輸分野において、荷主となる事業者(企業単位)に対して省エネの取り組みを義務付けています。
Q3 省エネ効果の確認はしていますか?
A : 大型水槽の模型実験で効果を推測し、海上試運転で確認しています。
多くの船種について大型水槽での模型試験で設計データを蓄積し、効果を確認しています。
また、フレンドフィンの装備前後の試運転で推進性能向上効果や航海実績での省エネ効果も確認しています。
Q4 装置はどのような構造ですか?
A : プロペラ前方に、船尾管から放射状に3~6枚の翼(フィン)を構成して取り付けます。
Q5 フレンドフィンが省エネ装置である基本原理は?
A : 船舶が航行しているとき、プロペラの後方で失われている回転流を回収して推進効率を向上させます。
その結果、省エネ効果が得られます。
Q6 装置の取り付け経費と運航経費の関係は?
A : 省エネ効果によって節減された燃料費約1年分で、装置の取付経費は償却されます。
Q7 取り付け工事の日数はどれくらいかかりますか?
A : 就航船の場合は、定期入渠に合わせて取り付け工事を行います。新造船の場合は、ご相談しながら適当なタイミングで取り付けます。いずれも2日間程度で終ります。
Q8 装備した後の主機の負荷は?
A : 装備前より主機の負荷は少々上がりますが、通常の負荷であれば問題ありません。
Q9 装備後の運転方法は?
A : 省エネ効果が目的の場合、固定ピッチプロペラ(FPP)の場合は主機の回転数を3%程度下げ、可変ピッチプロペラ(CPP)の場合はプロペラピッチを1~15度小さくして運転してください。
船速増加が目的の場合は通常の回転数、ピッチで運転してください。
Q10 フレンドフィンの納期は?
A : ご発注をいただいてから約3カ月後になります。
早期のご要望についてはご相談させていただきます。
Q11 装備後のメンテナンスは?
A : メンテナンスはフリーです。
Q12 装備後の維持費は?
A : 装置の維持費はかかりません。
Q13 設計・製造に必要な資料、図面は?
A : 船が所定の省エネ効果を得るために、個々に設計を行います。
必要資料は、1.主機定格出力、2.線図(船体後半部)、3.船尾形状図、4.船尾骨材図、5.船尾管周り構造図、6.プロペラ配置図、7.プロペラ設計計算書、8.新造船時の試運転成績書などです。
Q14 省エネ効果の厳密な数値を問われた場合は?
A : 大型水槽にて模型実験で設計の最適化を図って確認します。
Q15 装備によるそのほかの効果は?
A : エネルギー使用低減(省エネ法)、排ガス削減で環境保全に貢献します。また、船体振動の大きい場合は、振動を緩和する効果があります。

装着

  • 新造船はもちろん、既存船にも簡単に装着できます。
  • プロベラ前方のプロベラ軸より上方に取り付けます。
  • 基本型で翼は両舷に各2枚ずつ4枚、スターンフレームの後縁に1枚、合計5枚をボッシングおよびスターンフレームから放射状に突出して設置します。
  • 翼は骨材に鉄板を貼り付けた構造で、翼根部は船尾管に強固に溶接設置します。同様にスターンフレームに強固に溶接します。
  1. 設計資料のご提供
  2. 基本設計(要に応じて水槽試)
  3. 原図展開
  4. 製造
  5. 取付工事

引き合い時点に下記資料のご提供をお願いします。

フレンドフィン設計に必要な資料

船名
主機定格出力
船種、一般配置図、線図(船体後半部)
船尾形状図、船尾骨材図
船尾管周り構造図
プロベラ図と配置図、プロベラ設計計算書
新造時試運転成績書および就航データ (直近の主機馬力/回転数)
プロベラボスの材質およびメーカー