環境測定
室内環境測定
概要
一般住宅・マンションあるいはビルなどの建築物の室内空気中には、ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)等の様々な化学物質の存在が考えられます。
近年、これら化学物質の影響と疑われている、頭痛やめまい、嘔吐などのシックハウス症候群や化学物質過敏症などの健康問題が発生しています。
シックハウス症候群などの原因物質とされる揮発性有機化合物44種類について空気中濃度を住宅の室内と室外で比較した結果、ほとんどの物質の室内濃度が室外の3倍以上の値を示し室内に発生源があることが厚生省の調査で確認されています。 当社は室内環境中のこれら化学物質の測定、評価のためのニーズにお応えします。
実験装置製作
測定項目及び指針値
- 厚生労働省
- 第7回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書
2001年7月5日 対象:新居住宅、居住住宅
- 文部科学省
- 「学校環境衛生の基準」の改訂について 2001年12月
対象:普通教室、音楽室、図工室、コンピューター室、体育館等
- 国土交通省
- 日本住宅性能基準(2001年国土交通省告示第1346号)
対象:住宅居室(居間、寝室等)
個別物質の室内濃度指針値
成分(揮発性有機化合物) | 室内濃度指針値( )内は 25℃換算 |
各省における測定要求物質 | ||
---|---|---|---|---|
厚生 労働省 |
文部 科学省 |
国土 交通省 |
||
ホルムアルデヒド | 100μg/m3 (0.08ppm) | ○ | ○ | ○ |
トルエン | 260μg/m3 (0.07ppm) | ○ | ○ | ○ |
キシレン | 870μg/m3 (0.20ppm) | ○ | ○ | ○ |
パラジクロロベンゼン | 240μg/m3 (0.04ppm) | ○ | ○ | - |
エチルベンゼン | 3800μg/m3 (0.88ppm) | ○ | ○ | ○ |
スチレン | 220μg/m3 (0.05ppm) | ○ | - | ○ |
クロルピリホス | 1μg/m3 (0.07ppb) 但し、小児の場合は、 0.1μg/m3 (0.007ppb) |
○ | - | - |
フタル酸ジ−n−ブチル | 220μg/m3 (0.02ppm) | ○ | - | - |
テトラデカン | 330μg/m3 (0.04ppm) | ○ | - | - |
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル | 120μg/m3 (7.6ppb) | ○ | - | - |
ダイアジノン | 0.29μg/m3 (0.02ppb) | ○ | - | - |
総揮発性有機化合物量(TVOC) | 暫定目標値 400μg/m3 | ○ | - | - |
測定方法
1. ホルムアルデヒド
DNPH誘導体固相吸着/溶媒抽出法 − 高速液体クロマトグラフ法
測定例
現場の室内において、吸着剤の充填された固相カラムに4時間以上試料空気を吸引し目的物質を吸着させます。試料採取した固相カラムを試験室に持帰り、吸着物質を溶剤で溶出します。 その溶出液をHPLC(高速液体クロマトグラフ)にて測定します。
得られた結果は、計測時間内の平均値として室内のホルムアルデヒドの発生状況を低濃度まで把握することができます。
2. ホルムアルデヒド以外
固相吸着/溶媒抽出法又は加熱脱着法 − ガスクロマトグラフ/質量分析法
但し、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン及びテトラデカンについては、容器(キャニスター)採取法でもよい。
測定例
容器(キャニスター)採取法 − ガスクロマトグラフ/質量分析法
減圧容器を室内に設置し、3.3ml/minの一定流量で現場の試料を24時間吸引捕集します。これを試験室に持帰り分析装置(GC/MS)に導入し、多成分を同時定量します。得られた結果は計測時間内の平均値として扱われ、総揮発性有機化合物(TVOC)の測定に向いています。
定量下限は、トルエン:10μg/m3、キシレン:10μg/m3、パラジクロロベンゼン:10μg/m3等。
作業環境測定
概要
労働安全衛生法に基づく試験を行い、証明書の発行などを通じて、お客様の環境を測定し、業務を支援します。
1. 作業環境測定を行うべき作業場と測定の種類
作業環境測定を行うべき作業場 | 測定 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
作業場の種類 (労働安全衛生法施行令第21条) |
関係規則 | 測定の種類 | 測定回数 | 記録の 保存年数 |
||
1 | 土石、岩石、鉱物、金属または炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場 | 粉じん則26条 | 空気中の濃度および粉じん中の遊離けい酸含有率 | 6月以内ごとに1回 | 7 | |
2 | 暑熱、寒冷または多湿屋内作業場 | 安衛則607条 | 気温、湿度、ふく射熱 | 半年以内ごとに1回 | 3 | |
3 | 著しい騒音を発する屋内作業場 | 安衛則590、591条 | 等価騒音レベル | 6月以内ごとに1回 | 3 | |
4 | 抗内の 作業場 |
イ. 炭酸ガスが停滞し、または停滞するおそれのある作業場 | 安衛則592条 | 炭酸ガスの濃度 | 1月以内ごとに1回 | 3 |
ロ. 28℃を超え、または超えるおそれのある作業場 | 安衛則612条 | 気温 | 半月以内ごとに1回 | 3 | ||
ハ. 通気設備のある作業場 | 安衛則603条 | 通気量 | 半月以内ごとに1回 | 3 | ||
5 | 中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で、事務用の用に供されるもの | 事務所則7条 | 一酸化炭素および二酸化炭素の含有率、室温および外気温、相対湿度 | 2月以内ごとに1回 | 3 | |
6 | 放射線業務を 行う作業場 |
イ. 放射線業務を行う管理区域 | 電離則54条 | 外部放射線による線量当量率 | 1月以内ごとに1回 | 5 |
ロ. 放射性物質取扱作業室 | 電離則55条 | 空気中の放射性物質の濃度 | 1月以内ごとに1回 | 5 | ||
ハ. 事故由来廃棄物等取扱施設 | ||||||
ニ. 坑内における核原料物質の採掘の業務を行う作業場 | ||||||
7 | 特定化学物質等(第1類物質または第2類物質)を製造し、または取り扱う屋内作業場等 | 特化則36条 | 第1類物質または第2類物質の空気中の濃度 | 6月以内ごとに1回 | 3 (特定の物質については30年間) |
|
石綿等を取扱い、もしくは試験研究のため製造する屋内作業場 | 石綿則36条 | 石綿の空気中における濃度 | 6月以内ごとに1回 | 40 | ||
8 | 一定の鉛業務を行う屋内作業場 | 鉛則52条 | 空気中の鉛の温度 | 1年以内ごとに1回 | 3 | |
9 | 酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場 | 酸欠則3条 | 第1種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあっては、空気中の酸素の濃度 | 作業開始前等ごと | 3 | |
第2種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあっては、空気中の酸素および硫化水素の濃度 | ||||||
10 | 有機溶剤(第1種有機溶剤または第2種有機溶剤)を製造し、または取り扱う一定の業務を行う屋内作業場 | 有機則28条 | 当該有機溶剤の濃度 | 6月以内ごとに1回 | 3 |
(注)1. 1,6ロハ,7,8,10は、作業環境測定士による測定が義務付けられている指定作業場である。
2. 1,7,8,10は,作業環境評価基準が適用される作業場である。
2. 溶接ヒューム濃度測定
特定化学物質障害予防規則改正により、溶接ヒュームの測定、その結果に基づく呼吸用保護具の使用及びフィットテストの実施が義務化されました。
(厚生労働省告示第286号)
溶接ヒューム濃度は、個人サンプラーで採取を行い個人ばく露量により評価されます。
当社では十分な知識・経験を有した、個人サンプリング法登録を行っている作業環境測定士が測定を行います。
3. マスクフィットテスト
溶接ヒュームの健康障害防止のため、従事する労働者は有効な呼吸用保護具を使用しなければなりません。マスクが適切に装着されていることを確認するため1回/年実施することが義務付けられました。(令和5年4月1日施行)
当社ではJIS T8150で定められた定量的フィットテスト(短縮法)にて測定を行います。
検査者は十分な知識および経験を有する者が対応し、適切に指導します。
(厚生労働省の通達で示されているフィットテスト実施者養成研修受講済)