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三菱重工機械システム株式会社は、三菱化学株式会社 四日市事業所(三重県四日市市)向けに、独自の高度排水処理技術「二相式活性汚泥システム」による排水処理設備を受注しました。排水中の有機物を微生物により分解処理する曝気(エアレーション)槽を2槽に分割することにより、従来技術に比べ最大で排水処理能力を2倍に高め、処理後に発生する余剰汚泥の量を8割削減することが可能です。今回の設備は、三菱重工機械システム株式会社の受注実績の中で処理水量が最大となる最大9,000m3/日(通常7,500m3/日)で、2017年前半の納入を予定しています。
この設備は、三菱化学グループの三菱化学エンジニアリング株式会社(社長:福村 龍二氏、本社:東京都中央区)を通じて受注しました。三菱化学 四日市事業所では、排水処理設備の老朽化に伴い更新するもので、限られた既存の設置スペースで能力増強をはかるとともに、余剰汚泥の削減を目指しています。
曝気槽が1槽の従来式「活性汚泥法」では、排水中の有機物を分解して取り込む細菌(分散菌)と、分解有機物を取り込んだ細菌をエサとする微小動物(原生動物、後生動物)が混在しているのに対し、二相式活性汚泥システムでは2槽に分けて、段階的に処理します。細菌が入った第1槽(担体槽)の処理速度は、エサとなる細菌と微小動物が入った第2槽(活性汚泥槽)に比べ非常に高いため、2槽式とすることで細菌と微小動物それぞれの分解・処理能力が最大限に発揮されるだけでなく、2槽の処理能力に合わせて設備の大きさを最適化することで省スペースを実現できます。それに伴い、余剰汚泥の削減も可能となります。
三菱化学向けでは、これまでにも2012年に黒崎事業所(北九州市八幡西区)向けに最大3,600m3/日(通常2,830m3/日)の設備を受注(2013年5月納入)したものに続き今回が2件目です。同事業所向けは、2ヵ所の既存排水処理設備を運転しながら1ヵ所に統合し、かつ処理能力も増強する更新ニーズに応えるものでした。今回の受注は、同事業所での運転実績が評価されたものです。
三菱重工機械システム株式会社は、2009年に二相式活性汚泥システムを開発し、三菱化学をはじめとした大手化学工場や大手食品工場などから受注を重ねてきました。今後も国内外の有機系排水処理市場で既存設備の能力増強、限られたスペース内での設備新設、余剰汚泥の発生量削減といった多様なニーズに的確に応えていきます。