原子炉容器のサーベイランス試験
サーベイランス試験の目的
原子炉で使用されている材料は、原子炉運転中に中性子の照射を受け、引張強さが増加する一方で衝撃に対する脆さ(脆性)や破壊に対する耐性(粘り:じん性)が低下することが知られています。このような材料特性の変化を調べるため、実際の原子力発電プラントの運転と同様の照射を受けるように、原子炉容器の中に監視試験片(サーベイランス試験片)を含んだカプセルを取り付け、決められた期間毎にその試験片を取り出します。この試験片は、当社の材料ホットラボ施設における各種の破壊試験や計測に用いられ、ここで得られたデータを基に原子炉で使用されている圧力容器の材料特性の変化を監視し、原子炉の安全性を確認しています。また、サーベイランス試験後に破壊じん性試験片を再加工する技術を確立し、今後のサーベイランス試験のデータ精度向上に活用する研究開発を進めています。
サーベイランス試験の方法と結果の例
引張試験の他、材料の衝撃に対する性質(脆さ:脆性)の変化を調べるためのシャルピー衝撃試験や、材料の破壊に対する耐性(粘り:じん性)を調べるための破壊じん性試験などを行っています。
最近の研究動向
近年、サーベイランス試験のデータ精度を更に向上させるため、カプセルに最も多く入っているシャルピー衝撃試験片から微小な破壊じん性試験片と引張試験片を採取し有効活用する検討が進められております。当社では、放射性物質を取り扱うことができる施設内でサーベイランス試験で使用されたシャルピー衝撃試験片から、微小な破壊じん性試験片と引張試験片を採取するための加工技術を開発しました。