特集 : 社外取締役と社員の座談会
変化の先に成長がある
三菱重工がグローバル化を推進しています。経営者は何を期待し、現場ではどのような変化が生まれ、社員は何が今後の課題と感じているのでしょうか。社外取締役監査等委員のアメージャン氏とグローバル財務部の5名が英語で意見を交わしました。
資金グループ
資金グループ
シャウベッカー・
ステファニー
資金グループ長
監査等委員
アメージャン
グローバル財務部長
職制名および肩書などは座談会を実施した2017年9月当時のものです。
グローバル化は、ゴールではなく手段
財務部門というと、均質的な専門家集団というイメージがありますが、今回はさまざまなキャリアを歩んできた方々が集まりましたね。多様な人材が集まる職場で働くメリットをどのように感じていますか。
業務の可視化とグローバル化が進みました。異なるキャリアを歩んできた皆さんに財務部門の果たす役割や担当業務の進め方を説明するにあたって業務の可視化が進みました。また、ヤゴダ・シャウベッカーさんが来てからは、職場内のコミュニケーションでも英語を使うようになりました。お陰で世界の金融子会社とのテレビ会議など、海外とのやりとりがさらにスムーズに行えるようになりました。
新しいコミュニケーションスタイルが確立されたことで、世界各地の財務スタッフを集めたワークショップを開催するなど、グローバル財務部としてもできることが広がりました。
海外とのコミュニケーションを通じて、世界を相手に戦えるという自信が養われるのも大きなメリットだと思います。また、多様な意見に触れて、新しい考え方を学ぶことができるので視野が広がります。
シャウベッカー
外国から日本の企業に飛び込んだ私にとっては毎日が新しいことの連続でした。最初は母国と日本、三菱重工の文化や働き方の違いに戸惑うことが多くあり、独自の考え方や風土が分からず苦労しました。しかし、同時に学んだことも多かったです。
外国人社員やキャリア採用の社員には、
それが最終的に会社の競争力アップにつながるのだと思います。グローバル化はゴールではなく、あくまでも会社を成長させる手段の一つですね。
グローバル化のスタートラインに立ったばかり
今の当社グループのグローバル化についてどのように評価していますか。
積極的にグローバル化を推し進めているものの、まだ発展途上だと思います。現在は国内の社員を海外に派遣しているケースが多く、人材の流れが一方通行です。海外の人材も国内に、というように相互に活用していく必要があると思います。
また、現在海外で活躍している日本人が帰国した時に働きづらさを感じてしまうような保守的な文化では、人も会社も成長できません。誰もが自分の能力を最大限に発揮できる職場づくりも大切だと思います。
女性の活躍もグローバル化への大事な一歩です。当社にキャリア採用で入社して驚いたのですが、そもそも女性が男性に比べて非常に少なく、打ち合わせや会議で女性が発言したり意見を表明する機会があまりないですね。もっと多様な意見を取り入れていく雰囲気があると、女性の活躍の場も広がると思います。
アメージャン取締役は唯一の女性役員ですね。
そうです。先日、当社グループの役員の顔写真一覧を娘に見せたところ、彼女はすぐ私のことを見つけることができました。というのも、100人ほどの中で女性は私ただ一人だったからです。当社グループの現実の姿に改めて気付かされましたね。
やはり、経営幹部にも多様性が必要ですね。
ただ、悲観することはありません。当社はグローバル化やダイバーシティを積極的に推進していて、組織としてようやくスタートラインに立ちました。あとは皆さんがグローバル化への一歩を踏み出すことが大切だと思います。
シャウベッカー
そうですね。グローバル化を進めることで周辺の環境が大きく変わり、私自身がそうだったように、最初は多くの壁にぶつかることもあると思います。時には自分たちがどこに向かっているのか分からなくなることもあるかもしれません。ただ、その先に必ず成長があると思います。
“Good Cross-Cultural Communicator”であれ
今後一人ひとりがグローバル人材として活躍するために必要なことは、まずは英語力と考えがちですが、何よりも大切なのは「本当に自分は変わるぞ」というモチベーションだと思います。
確かに、語学力だけでなく、異なる文化や価値観への理解も大切です。日本では、よく「新卒」「中途」と区別しますが、海外ではそのように区別せず、キャリアが異なるのは当然で、むしろ多様性が重要視されていると思います。
シャウベッカー
例えば、会議についても、国や文化によって捉え方が異なります。日本では、どちらかというと承認や確認のために行いますが、他国ではそれぞれの不満を聞き、解消するための場として認識されています。
つまり、英語が堪能な人(Good English Speaker)を目指すのではなく、違いを受け入れたうえで、異文化コミュニケーションができる人(Good Cross -Cultural Communicator)を目指すべきですね。
一人ひとりが違いを受け入れることが、変化への一歩ですね。Good Cross-cultural Communicatorとして、当社グループを強いグループへと育てていきましょう。