信頼性の高いエンジンが、社会を支える原動力に。

エンジンは、地球上のあらゆる場所で鼓動を続け、私たちの暮らしを支えています。自動車や船舶はもちろん、さまざまな機械や設備の動力として産業に貢献しているだけでなく、発電設備の心臓部の役割を担い、電力を供給しています。1917年に日本で初めてディーゼルエンジンを開発した三菱重工。その技術のDNAを継承し、幅広いラインアップのエンジンの開発設計・解析・アフターサービスなどを手掛けるのが、MHIさがみハイテックのエンジン技術部です。

やまざき あつし エンジン技術部 本体設計グループ

第1章 人々の営みを支える広範な製品群

内燃機関のなかでも、産業や日常生活の幅広い場面で使用されているのが、ディーゼルエンジンやガスエンジンなどのレシプロエンジンです。エンジン技術部は、人の手で持ち運びできる発電機から大型発電整備まで、50種類以上のエンジンを手掛けています。
たとえば、24時間365日の稼働が求められるデータセンターなどの設備や、電力会社の送配電網が行き届かない離島などのために、安定した電力を供給する常用・非常用発電システムにもエンジンが用いられます。「2018年に北海道地震で停電が起こった際、当社の開発したエンジンを搭載した発電機が、病院での手術中に非常用電源として機能し、無事手術をやり遂げたという話を聞きました」と話すのは、本体設計グループの山崎。エンジン一筋15年、これまでにブルドーザーなどの建設機械、漁船や観光船などの船舶、発電設備などに向けたさまざまな用途のエンジンを手掛けてきました。
「信頼を勝ち取っていけば、それが製品としての強みになる」と山崎は語ります。
発電効率や環境対応において高い評価を得てきたディーゼルエンジンやガスエンジンは、国内で高いシェアを誇り、今では世界各地の生産・販売拠点でグローバル展開が期待されています。

会議画像
.

第2章 充実した開発環境で理想のエンジンを目指す

どの機械にどんなエンジンを載せるのかという顧客の要望を引き出し、構想設計を経て3D-CADによって図面化。FEM(有限要素法)や流体解析等の最先端技術を駆使して、信頼性向上や性能向上に関する検証や試験を繰り返し、生産体制へと送り出す。開発設計から生産設計に携わり、自分の生み出したエンジンが色々な場面で世の中に使われ、活躍することを目の当たりにできることは設計者にとって大変幸せなことです。それだからこそ、もっと良いエンジン、理想のエンジンを追い求めるのが、設計者としての醍醐味なのです。
また、三菱重工グループの製造工場が隣接していることは、設計する側にとっても大きなアドバンテージになっています。生産現場からのフィードバックを迅速に得られるだけでなく、3D-CADの画面だけではイメージしにくい部分や、試験の結果などを自分の目で確認できる環境があるからこそ、完成度の高いエンジンが生み出されていくのです。
主任になった山崎は、「後輩に対しては、自分の持っているものを包み隠さず教えると同時に、個性を伸ばしていきたい」と言います。なぜなら設計の業務では、経験によって自分の引き出しを増やすだけでなく、発想の方法も自ら身に付けていくことが大切だと考えているからです。「設計者は英語でデザイナーとも訳されます。絵を描くためには、絵の具を多く持っていたり色の組み合わせを知っているほかにも、既成の概念にとらわれず発想の転換ができるラテラルシンキング(水平思考)も必要です」と自らの信念を語る山崎。その柔軟な発想力を駆使して、顧客の要望に応えるエンジンを生み出しているのです。

VISION

設計の現場ではアナログの図面がまだ必要とされることが多く、デジタライゼーションをさらに進めていくことが課題です。AI(人工知能)に取って代わられることのない仕事だという設計者としての誇りはありますが、新しい技術をどう組み合わせて使いこなすかは重要だと考えています。

エンジンの出力0.7~15,400kw

出力レンジ表

メイキエンジン 小型ディーゼルエンジン 中大型ディーゼルエンジン ガスエンジン 横浜KKUエンジン