耐火物補修でごみ焼却炉の長期安定稼働を実現
廃棄物処理プラントという巨大な施設の建設、運転・保守にあたって様々なプロフェッショナルなパートナーと連携している三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社(以下、MHIEC)において、ごみ焼却炉の安定稼働や長寿命化に大きく関わる耐火物補修工事を請け負っていただいている「東横炉材株式会社」様に話を伺いました。
耐火物補修60年、
多様な炉のスペシャリスト
炉の耐火物補修と一口に言っても実は色々ありまして、ガラスを溶かす炉、鉄を溶かす炉、そしてごみの焼却炉、それぞれが全く違うもので、必要となる資格やノウハウも変わってくるんですが、当社はその中でもごみ焼却炉の耐火物補修工事を大きな強みとしつつ、硝子の溶解炉や鉄の溶解用耐火物の販売を事業の3本柱としてやってきております。
MHIECさんとは昭和48年(1973年)、横浜市の旭工場からのお付き合いになりますね。当時はまだ社名も違いました。
地域の人々の生活を支える
ごみ焼却炉の特徴とは
ごみ焼却炉がガラスや鉄を溶かす溶鉱炉と異なり最も特徴的なのは、燃やすものが一定ではないことです。例えば生ごみは、時期や地域によって年間を通して全く統一性の無いものを燃やすことになります。 夏のスイカ、皆さん皮は残されますよね。あれは水分の塊です。水分が多いとごみは燃えにくくなるわけですが、同じ季節でもオフィスで扱う紙類のように乾いているものは燃えやすいわけですね。
燃えにくいことで炉内の温度が下がってしまうとごみが焼却できないだけではなくダイオキシン類発生の恐れなどもあり、逆に燃えすぎて温度が上がりすぎると炉の内壁や鋳物が保ちません。
どのようなごみでも安定して焼却するためにごみ焼却炉という設備は、その地域の生活で生まれるごみを年間通して焼却して初めて有効性を確認できるもので、常々メンテナンスしていく必要があるんですね。
つまり耐火物補修工事とは、壊れてしまってからの修理に限らず、壊れないためのメンテナンスとして重要な工事になります。
ごみ焼却炉を
メンテナンスする難しさ
一般の方が思い浮かべる最も身近な「ごみ焼却炉」は学校にある小さなごみ焼却炉でしょうか。あのようなサイズのものは、もし壊れたらまるごと交換ができたりしますが、プラント規模のごみ焼却炉になると、当然まるごと交換はできません。
さらに焼却炉内はごみが流れて少しずつ焼却できるように傾斜や段差があり、地面が鋳物で面積が限られているため、工事のための足場を組むことだけでも専門の技術が必要となるんですね。足場が組めたとしても、防護服と防塵マスクに身を包み、視界が悪い中で10〜20mの高さにある天井部を補修したりするわけです。
そして炉内で工事をするためには、当然炉の火を止めなくてはいけない。これも重要なポイントです。本来炉は火を絶やすべきではなく温度の上げ下げは耐久性に響くのですが、ごみ焼却炉は毎日100t単位の様々なごみによる温度変化、湿度変化、摩擦によって絶えず消耗しているので、炉を止めてでも定期的にメンテナンスをした方が良いんですね。
安心と安全を支える
メンテナンス計画
ごみ焼却炉のお客様となるとその多くは地方自治体になります。つまり炉を止めるということは、その地方自治体の管轄となる地域住民の方々のごみを処理できなくなるという生活インフラの機能不全、重大事項になるんですね。
だからこそ、不意のトラブルで予期せぬ緊急停止をしなくて済むように定期点検を行い、地方自治体の運転計画に寄り添った計画的な停止に合わせて、いかに最小限の工事で済ませられるかを大事にしています。
また先ほど話に挙がったダイオキシン類のような有害物質の発生は、地域住民の方々だけでなく工事をする現場作業員へも危険性を伴います。MHIECでは設備として有害物質を除去する仕組みを導入することは当然のこと、多くのパートナー、現場作業員の方々が安全に工事できるように、技術や道具を共有させていただいております。
MEMO
ごみの不完全燃焼によるダイオキシン類の発生による土壌の高濃度汚染などが日本国内で社会問題になり、平成11年にはダイオキシン類対策特別措置法が施行されました。
MHIECでは、焼却炉の燃焼温度を一定の温度以上に保つことでダイオキシンを分解し、また排出されるガスからもバグフィルタを通して除去するなど、安全にごみ焼却、廃棄物の処理ができるように施設を手掛けております。
現場を守る安全協力会の運営
もともとは作業員や業界内の親睦を深めるためのただの「協力会」という名目で、40年以上前に発足した会があります。私の先代、父親の頃からですね。
それがダイオキシン類が社会問題になり多くのごみ処理に関わる事業者が対策を求められていった頃に「安全協力会」という形に発展し、有害物質の問題だけでなく事故や怪我などを予防し、いかに現場を安全に保つか、といった研修会を行うようになりました。
コロナ禍の今現在は現場での研修会は控えていますが、代わりにMHIECさんの方から今の時代に合わせた安全性を保つためのノウハウを共有してもらい、それを協力会メンバーにさらに拡散していく形をとっています。
最初のうちは現場作業員からは煙たがられることもありましたが、最近は自然と「最新の情報はどうなってるの?」と催促されるぐらい会員全体の意識も高まってきており、現場でMHIECさんから何か安全性に関わる指示や指摘があるときも、多くの作業員が信頼して取り組めるようになりました。
信頼のパートナーと
今後も三位一体のサービスを
地域や現場の数多くの安全を守るために、弊社は業界内でもかなり厳しい品質基準を設けており、当然パートナーのみなさまにも負担をかけることになります。時代に合わせてその基準は常に見直しているなかで、東横炉材様にはとても長くお付き合い頂いており、私自身平成10年の入社当時からお世話になっているぐらいでして、その信頼は絶大なものになります。
お客様にサービスを提供する上で、営業窓口、われわれ計画部門、そしてパートナーが三位一体になることを大事にしているのですが、それもお互いの信頼関係あってのものです。私自身は工程など計画を組む立場にあり現場にいないこともありますが、現場の担当者間では必ず顔を合わせてコミュニケーションに取り組むことを今後も徹底して参ります。
PROFILE
横浜市中区山下町51-1 読売横浜ビル6階
1961年 設立
プラント内の焼却炉やガラス溶解窯の断熱・保温材、耐火物の販売及びメンテナンス
品質に定評のある品川リフラクトリーズ株式会社、ニチアス株式会社の代理店として、三菱重工環境・化学エンジニアリング等のプラントメーカーから取引をいただいています
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