ロケットや航空機を完成へと導く、多くの経験と確かな技術
- 都築 環
- TAMAKI TSUZUKI
- 航空宇宙事業部 研究試験部 解析・材料試験室 主務
1995年入社
工学部 化学工学専攻
9~10年目
育児休暇を取得
11~16年目
新規試験種の立ち上げ
Boeing社787機種で使用する複合材の品質管理試験の立ち上げを担当。
Bombardier GXの立ち上げ経験を活かし予め材料メーカとの連携を図ることでスムーズに整流化を図りその後の試験も担当。
MSJ(現:Mitsubishi SpaceJet)用耐雷樹脂キャップ開発を担当
樹脂製の耐雷キャップの開発に携わり材料の選定や加工方法、評価方法などの検討を経験。今まで経験した金属材料評価とは大きく異なった樹脂への評価方法に戸惑いながらも同僚や大学と連携しながら業務を遂行。
NADCAP認証の取得
NADCAPとは、航空宇宙・防衛部品製造において、全てのサプライヤの品質維持を目的とした特殊工程管理の為の認証プログラムであり、表面処理工程における評価試験の認証取得を担当する。評価試験の実施方法やその結果の妥当性を示せるような設備、技術文章、試験者などを整備する。航空宇宙に求められる品質要求や評価試験の妥当性を示す術、持ち前の英語力の強化などが図れた。
16年目~現在
防食技術を生かした不適合調査を担当
様々な機種の部品で発生する腐食の原因調査を担当。腐食形態によってその発生要因を特定することにとどまらず、その後の部品処置方法や再発防止の恒久対策まで手掛ける。
担当している防食評価試験で習得した知識を最大限に活用。
防食技術の指導
防食技術を生かし、各地の航空自衛隊で戦闘機の補修作業の指導支援を実施。補修作業のノウハウや使用する薬剤の効果など防食評価試験を通じて習得した知識を活かすことができています。
スケールの大きい仕事に携われる、技術者としてのやりがい
私が入社した1995年は、就職氷河期の時代であり、女性技術者の就職はなおさら困難でした。そんな中、大学の方に中菱エンジニアリングから化学系大卒の募集告知があり、しかも女性の技術者が欲しいということで縁あって就職しました。
入社してから20年ほどは、MHIへ派遣社員として表面処理プロセスの生産管理試験を担当し、様々な分析機器を用いた化学分析や試験業務、および製造工程で発生する不適合調査に携わってきました。表面処理プロセスとは、航空機やロケットの表面のアルミの下地処理として、防食を施したり、酸化皮膜を付けていったりする作業で、私が担当する生産管理試験は、それぞれのプロセスで品質要求が保たれているかを検査・分析する仕事です。現在は中菱エンジニアリングの研究試験部で、当社が取得した海外の航空機メーカー(Boeing、Bombardier)のラボ認定や国際的な航空産業界の工程認証(NADCAP)を基に、独立ラボとして表面処理プロセスにおける生産管理試験を担っています。
私の所属する航空宇宙事業部では、ロケット、民間航空機などを扱っており、どの製品も現実的なものであり、またスケールが大きいところがやりがいにも繋がっています。しかも、製造部品や製造に用いる材料に触れたり、試験や調査などを行ったり多分野に携わることができ、幅広い経験を積むことができるのも当社の魅力だと思います。
責任の重さや大きなプレッシャーを克服し、
自らが関わった製品が完成した時の感動は忘れられない
ロケットや航空機など責任の重い業務に携わっている中で、私がこだわっているのが、仕事を曖昧に済ませないことです。依頼された案件に対してきちんとニーズを満たしているのかどうかに重点を置き、仕事に取り組んでいます。
私が担当する業務に、品質が適合していない要因を調べる不適合調査というのがあります。そこでは必ず現物を確認し、目で見て手で触れて感覚を確かめ、かつ現場の意見をヒアリングするようにしています。これらの情報と今までの経験を踏まえ、不適合の要因の仮説を立てます。あとは検証(検証試験/分析)を実施すれば、不適合要因を解明することができます。不適合調査の報告には、結果に加えて不適合品に対する暫定処置、および恒久的対策を提案するように心がけています。
不適合の調査を実施している間は、とにかく責任の重さや焦りなどでプレッシャーに押しつぶされそうな辛い思いしかないのですが、原因が究明され、関係への報告で納得が得られたときは、達成感と充実感を得ることができます。
不適合処置を施した部品や機体が無事出荷された時や、ロケットが無事に打ち上がった瞬間は何ともいえない感動が込み上げてきます。
仕事の中で磨かれた感性と経験をもとに、完成度の高い製品づくりに貢献
永年、不適合調査に従事していることから、曖昧な判断をすることが少なくなりました。仕事はもちろん、生活における些細なことまで、瞬間的に選択肢を頭の中で並べ、どれを選ぶべきか?と自然とケーススタディをするようになってしまいました。その際に、脳裏にケーススタディ表が浮かび、選択を誤ったときの打開策まで考えるようになりましたが、日常生活の中でもやってしまうので、これはもはや職業病ですね(笑)。
私は仕事を通じて、いろいろな人の協力を得ることで、より大きな成果が生み出されることを教えてもらいました。今の仕事は少人数で行うことが多いのですが、迷ったり悩んだりした時には、社内のエキスパートたちの力を借りて解決するように努めています。また、普段から部下には、失敗は経験になるのでどんどんしてもいい、要は何が悪かったのかを必ずフィードバックしてリカバリーすることが一番大事だといっています。
今後の目標は、仕事の中で磨かれた感性や経験をもとに、今まで以上に、様々な不適合調査を行い、完成度の高いロケットや航空機などの製造に貢献していきたいです。さらに、自分自身が培ってきた技術をしっかりと後世に伝えていくことも私たちの使命だと思っています。
・・・中菱エンジニアリングを志望する、学生の皆さんへ・・・
航空宇宙分野に興味のある方、特に材料に直接触れて評価試験をしたい方には女性、男性問わず入社をお勧めしたいです。当社は、社内教育/自己啓発制度も充実しているため、専門分野に限らず様々な技術も学んでいくことができます。また担当業務へのサポートも自社に限らず三菱重工、他のグループ会社からの支援も得られより多くを学び取ることができると思います。いろいろなことに興味を持ち、臆せず挑戦できる方には、ぜひ当社に入社してその才能を開花させてほしいです。
- 社員の所属・役職・入社年次・担当業務等は取材当時のものです。