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世界初 洋上風車用新型油圧ドライブトレインの実証試験を開始

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 三菱重工業は4日(現地時間)、英国ハンターストン(Hunterston)テストセンター※1において、油圧ドライブ式大型洋上風力発電設備(MWT167H/7.0、定格出力7000kW)の陸上実証試験を開始しました。独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と英国ビジネス・イノベーション・職業技能省(The Department for Business, Innovation and Skills : BIS)および同国技術戦略委員会(Innovate UK)の支援を得て開発している大型風力発電設備で、デジタル可変容量制御(Digital Displacement※2)を行う油圧ドライブトレインを持った風力発電設備の実証試験は世界で初めてです。

ハンターストンテストセンターのMWT167H/7.0
 現地では同日、これを記念して式典が開催されました。式典には、試験場運営者である英国電力大手 SSE(Scottish and Southern Energy plc.:スコティッシュ・アンド・サザン・エナジー社)のJim McPhillimy氏、NEDOの土屋宗彦理事、英国BISのCarolyn Campbell氏などの関係者が列席。当社からは欧州三菱重工の和仁正文会長が代表として出席しました。

 実証試験を開始したのは、動力伝達機構にデジタル可変制御方式の油圧ドライブトレインを採用した風力発電設備です。当社横浜製作所(横浜市金沢区)からナセルなどの主要機器を搬入して現地で組み立て、建設しました。
 新開発のブレードの長さは81.6m(ローター径167m)。ハブの高さは約110m、全体の高さは200m近くにも達します。

 新型油圧ドライブトレインは、当社が2010年に買収した英国のベンチャー企業、アルテミス社(Artemis Intelligent Power, Ltd.)の持つ油圧デジタル制御技術をベースに、同社と共同開発したものです。この方式を採用した風力発電設備は、風のエネルギーを油圧に変換し一定の回転数で発電機を回すため、増速機やインバーターを必要としないのが特徴です。

 当社は、この英国での陸上実証試験の結果を踏まえ、福島沖で実施される浮体式洋上  ウィンドファーム実証研究事業に、2015年度に油圧ドライブ式大型風力発電設備を供給し、実証試験を行っていく計画です。
 さらに、商用化、量産化の目途が立てば、当社とデンマークのヴェスタス社(Vestas Wind Systems A/S)合弁の洋上風力発電設備専業会社であるMHIヴェスタス社(MHI Vestas Offshore Wind A/S)へこの新型油圧ドライブトレインを供給することも検討しています。

※1 Hunterston (onshore) test center :SSE社の運営する、英国初の政府公認の洋上風車専用実証試験場(Glasgowを拠点とするCentre of Excellence for Renewable Energy (CEERE)構想の一環)で、スコットランド北アイルシャー州に所在。敷地内ではSiemens社SWT6.0/154が先行して実証試験中。
※2 Digital Displacementは三菱重工の商標です。

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