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舶用エンジン向け高圧ガス供給装置を日立造船から受注

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 三菱重工業は、舶用エンジンの燃料に天然ガスを利用するための高圧ガス供給装置を日立造船株式会社から受注しました。同装置により、従来の重油に代えて、天然ガス燃料をエンジンに高圧噴射することで、SOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)およびCO2などの排出量も抑制できることから、環境負荷低減に貢献します。同装置は2016年後半に、同社の有明工場(熊本県長洲町)に納入・設置される予定で、舶用ディーゼルテストエンジンによるガス焚き実証試験に使われた後、同社が製造するディーゼルエンジン向けガス焚き運転設備として利用されます。

同型の当社実証装置の一部(LNG昇圧部)
 今回受注した高圧ガス供給装置は、三井造船株式会社に納入した初号機に次ぐものであり、燃料ガス供給圧力をさらに高圧化することでガス焚き燃費性能向上にも寄与します。

 同装置は、LNG(液化天然ガス)をポンプで高圧化し送り出す方式で、コンパクトかつ消費動力が小さいという特徴を持っています。ポンプ駆動方式に油圧機構を採用したことにより、減速機が不要で可変速を容易にすると同時に、限られた船内スペースへの配置もしやすくなります。
 具体的には、エンジンの負荷変動にあわせてLNGを高圧化して常温まで加熱してCNG(圧縮天然ガス)を製造するユニット、その動力源となる油圧ユニット、CNGの圧力変動を緩衝するCNGボトルユニット、低圧オフガスを焼却して安全に処理し排熱を熱源に利用するガス焼却ユニットなどで構成されます。LNG運搬船の建造で培った深冷技術※1のほか、当社が持つ幅広い技術基盤や研究成果を活用して実用化したものです。

 近年、国際海上輸送においても、省エネ・地球環境保護に向けた取り組みが強く求められ、SOx、NOx、加えてCO2などの排出ガス規制は厳しさを増してきています。こうしたなか、排出ガスを大幅に抑制する有力なソリューションの一つとして、LNG燃料が注目されています。
 特に、ECA(排出規制海域)※2を航行する船舶では、燃料を重油からLNGに切り替えることで、SOx規制への適合が可能になります。また、シェールガス等の新しい天然ガス資源の開発により、安価かつ十分な量の舶用LNG燃料の調達が可能となれば、経済的メリットも期待できます。

 当社は今後、同装置の販売に力を注ぎ、船舶・海洋エンジニアリング事業の拡大にもつなげていきます。

※1 LNGや液体窒素など-160~-200℃の液化ガスを扱う技術です。
※2 SOx、NOxの排出上限値を定めた海域で、同海域内を航行する船舶はより厳格な排出規制への適合が義務づけられます。現在、バルト海、北海、北米海域および米国カリブ海が指定されています。

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