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ノルウェーの複合火力発電所に世界最大3,400トン/日のCO2回収装置

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 三菱重工業は、国際的なエネルギー会社であるノルウェーのスタトイル(Statoil)社から、世界最大のCO2回収装置に関する技術評価プログラム(Technology Qualification Program:TQP)の概念設計(コンセプト・スタディ)を受注した。同国西海岸のモングスタッド(Mongstad)に立地する、出力約28万kWの天然ガス焚き複合火力発電設備(Combined Heat and Power Plant:CHP)への設置が計画されているもので、回収能力は約3,400トン/日。当社は2016年のプラント建設開始に向け、他の候補企業と回収技術や性能、建設・運営コストなどを競う。

 今回のCO2回収プロジェクトは、スタトイル社が所有するモングスタッド製油所で2010年から稼働している複合火力発電設備の排ガスから、CO2を分離・回収・圧縮する計画。そこで採用が見込まれるCO2回収技術の実用性を評価するプログラムがTQPであり、フィージビリティ・スタディ、実証試験、概念設計の3段階で構成される。

 当社を含む数社は昨年11月にTQPの第1段階であるフィージビリティ・スタディを受注。今年7月には、TQPの第2段階である自社技術の実証試験を受注したことを発表した。また、TQPの最終段階となる今回の概念設計では、実証試験の結果を反映しながらプラント設計を計画する。TQP終了後には最終的な技術選定が行われ、その後入札を実施して基本設計(FEED)へ進むことが予定されているが、TQPの実施は入札参加の必要条件となっている。

 スタトイル社は、石油および天然ガスの採掘から精製、販売までを一貫して手掛ける北欧最大手の企業。

 当社のCO2回収技術は、関西電力と共同開発した高性能な吸収液「KS-1™」を用いる「KM CDR Process®」と呼ばれるプロセスで、他の方式に比べエネルギー消費量が大幅に少ないのが特長。この優れたパフォーマンスが高く評価され、当社は天然ガス焚きおよび重油焚きの化学プラントでのCO2回収で、すでに商用プラントとして10基をインド・中東などに納入、さらに1基をカタールで建設中で、業界トップクラスの実績を誇っている。
 また、米国アラバマ州のバリー(Barry)火力発電所内には、石炭焚き向けでは世界最大のCO2回収実証プラント(500トン/日)を建設し、米国の大手電力会社サザンカンパニー(Southern Company)と共同で、2011年6月から実証試験を実施中。2012年8月からは地中貯留試験も始まっている。
 ノルウェー向けでは、回収能力3,000トン/日のガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備用CO2回収装置のFEEDを2009年に完了。大型回収装置にも即座に対応できる体制を整えている。

 ノルウェーは環境意識が高く、CO2回収・貯留(CCS)の研究が進んでいる。本案件は、それらをさらに進めてCO2回収技術の信頼性の確立を目指すもので、温暖化対策のためのCCSを普及させるためにも重要なプロジェクト。当社は、TQPを通して本プロジェクトにおける当社技術の採用を目指すとともに、CCS分野におけるさらなる事業拡大を進め、温室効果ガスの削減に貢献していく。


【CO2回収プロセス】

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