キャリアラダー
三菱神戸病院ジェネラリストキャリアラダー
(期待される能力)
キャリアラダーは、日本看護協会が示している「継続教育の基準Ver.2」(2012年)や「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」(2016年)をベースに構成しています。
看護師としての成長とともに、「代表的・平均的な病態や心理社会的背景をもつ患者の看護」から、「複雑な病態や心理社会的背景をもつ患者のへ看護」が実践できるようになること、看護の対象も患者個人から看護チーム、部署、病院、地域・社会と広がっていくことを想定しています。段階をおって看護師として成長・発達できるよう教育体制と連動しています。
看護実践能力
基本的看護技術提供から特殊・専門的・高度な看護実践能力看護の核となる実践能力
レベル | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | |
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レベル毎の定義 | 基本的な看護手順に従い、必要に応じ助言を得て看護を実践する | 自立して標準的な看護計画に基づき看護を実践する | ケアの受け手にあう個別的な看護を実践する | 幅広い視野で予測的判断をもち、複数の選択肢の中から適切なケアを選択しながら看護を実践する | より複雑な状況において、あるべき姿を描きながら、ケアの受け手にとっての最適な手段を選択し、QOLを高めるための看護を実践する | |
到達時期の目安 | 1年目末 | 2年目末 | 3年目~6年目末 | レベルⅢ到達から3~5年後 | レベルⅣ到達から3~5年後 | |
ニーズをとらえる力 | レベル毎の目標 | 助言をうけて、ケアの受け手や状況(場)のニーズをとらえる | 自立してケアの受け手や状況(場)のニーズをとらえる | ケアの受け手や状況(場)の特性を踏まえたニーズをとらえる | ケアの受け手や状況(場)を予測的判断のもとでニーズをとらえる | ケアの受け手や状況(場)の関連や意味を踏まえニーズをとらえる |
ケアする力 | 助言をうけながら安全な看護を実践する | 自立してケアの受け手や状況(場)に応じた看護を実践する | ケアの受け手や状況(場)の特性を踏まえたニーズをとらえる | 様々な技術を選択し・応用し看護を実践する | 最新の知見を取り入れた創造的な看護を実践する | |
協働する力 | 関係者と情報共有ができる | 看護の展開に必要な関係者を特定し、情報交換できる | 広い視野のもとケアの受け手やその関係者、多職種と連携ができる | ケアの受け手を取り巻く多職種の力を調整し連携できる | ケアの受け手の複雑なニーズに対応できるように、多職種の力を引き出し連携に活かす | |
意思決定を支える力 | ケアの受け手や周囲の人々の意向を知る | ケアの受け手やしぃいの人々の意向を看護に活かすことができる | ケアの受け手や周囲の人々に意思決定に必要な情報提供や場の設定ができる | ケアの受け手や周囲の人々の意思決定に伴うゆらぎを共有でき、選択を尊重できる | 複雑な意思決定プロセスにおいて、多職種も含めた調整的役割を担うことができる |
組織的役割遂行能力
看護チームなどの最小組織から看護部、医療施設、地域、国内での看護職能団体の中での役割遂行
レベル | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | |
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レベル毎の定義 | 基本的な看護手順に従い、必要に応じ助言を得て看護を実践する | 自立して標準的な看護計画に基づき看護を実践する | ケアの受け手にあう個別的な看護を実践する | 幅広い視野で予測的判断をもち、複数の選択肢の中から適切なケアを選択しながら看護を実践する | より複雑な状況において、あるべき姿を描きながら、ケアの受け手にとっての最適な手段を選択し、QOLを高めるための看護を実践する | |
到達時期の目安 | 1年目末 | 2年目末 | 3年目~6年目末 | レベルⅢ到達から3~5年後 | レベルⅣ到達から3~5年後 | |
リーダーシップ | ある目的のために集まった人々がその目的を達成するまでのプロセスにおいて、意欲的かつ効率的に取り組むことができるよう援助する役割 | 組織、部署内における役割、心構えを理解し、助言を受けながら適切な行動がとれる。 | 自己の特徴を理解するとともに、部署における自身の役割を認識し、自主的に発言でき、また行動がとれる。 | 業務に関するリーダーシップを発揮することができる。 | 看護チームの目標に向かってメンバーをまとめ、目標達成を志向していくことができる。 | 看護科内でのリーダーシップを発揮することができ、組織へも影響を及ぼすことができる。部署の目標に向かって、主に専門的能力と対人的能力をもってメンバーをまとめ、目標達成を志向していくことができる。看護科内での課題について、部署内の意見をボトムアップしていくことができる。 |
コーディネーション(調整) | 関係する人々、専門職の考えを一つの方向性にまとめていく役割 | 報告・連絡・相談ができる | 手順に沿って、他の専門家に連絡や相談を行うことができる。 | 看護専門職としての相談・調整ができる。 | チーム医療とは何かを理解し、医療チームの中で患者を中心としながら、患者の目標達成に向かって関連職種の考えをまとめていくことができる。 | 関連部門や他職種と交渉や調整ができ、看護科内の他部署との連携をとることができる。 |
マネジメント | 組織の目的を達成するため、あるいは組織の発展のために仕事やプロジェクトを計画、組織化、指示、そしてコントロールを通して資源の調整や統合を行う役割(看護サービス管理:医学書院 P19) | 規定にそって物品・薬品管理ができる。看護実践におけるコスト・時間意識をもって行動できる。 | 効率よく部署内の物品・薬品管理ができる。常にコスト・時間を意識して行動ができる。 | 部署内での要改善点に気づくことができ、それを発言できる。 | 委員会などで部署の意見として意見を述べることができ、部署の代表としての役割をとることができる。社会的変化、医療情報に関心を持つことができる。 | 保健医療福祉、看護に関わる動向もかんがみ、所属部署の目標達成に対し管理者とともに行動ができる。師長の代行役割をとることができる。 |
自己教育・研究能力
技術専門職としての自己の技能を高め、さらに看護への科学的追求を行う能力
レベル | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | |
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レベル毎の定義 | 基本的な看護手順に従い、必要に応じ助言を得て看護を実践する | 自立して標準的な看護計画に基づき看護を実践する | ケアの受け手にあう個別的な看護を実践する | 幅広い視野で予測的判断をもち、複数の選択肢の中から適切なケアを選択しながら看護を実践する | より複雑な状況において、あるべき姿を描きながら、ケアの受け手にとっての最適な手段を選択し、QOLを高めるための看護を実践する | |
到達時期の目安 | 1年目末 | 2年目末 | 3年目~6年目末 | レベルⅢ到達から3~5年後 | レベルⅣ到達から3~5年後 | |
教育 | 他者教育他者に影響を与える | 参加したプログラムの内容を他者に伝えることができる。 | 正確な知識・技術を伝えることができる。 | 相手の反応や理解度をみながら、伝えていくことができる。 | 相手のもっている力ややる気を引き出しながら、伝えていくことができる。部署内での看護モデルとしての実践ができる。 | 教育が効果的に実施できるよう、調整を行ったり体制を構築することができる。教育しているスタッフのサポートができる。 |
研究 | 広義:自身の疑問を探究していくことであり、論理的に実施される業務改善活動も含む。狭義:ある一定の手続きに基づいて新たな知識を創っていくプロセスであり、また、研究結果を実践に活用するプロセスである。 | わからないことや気になることを自ら調べていくことができる。 | 論理的思考ができる。 | 文献等の知見を踏まえながら実践したり、自身の実践を考察しまとめることができる。 | 一定の研究手順にそって疑問を探究し、そのプロセスや結果を他者に明確に伝えることができる。 | 研究においてリーダーシップを発揮できるとともに、自部署メンバーの疑問探究プロセスを支援することができる。業務改善活動を研究的視点でまとめあげることができる。 |
リフレクション | 自己啓発自分自身の振り返り自己教育 | 心身の健康を保つことができる。受講した研修や自身の行った看護行為について振り返り、気づきを言葉にすることができる。 | 自身の行った看護場面について振り返り、次の行為へつなげることができる。また、その内省プロセスを他者に伝えることができる。 | 自主的に自己成長に必要な情報や知見を得ることができ、それを通して自身の関心領域やキャリアアンカーを明確にしていくことができる。 | 管理的視点や教育的視点、また、学会参加や専門誌からの情報など、広い視野から自身の看護のあり様を内省することができる。 | 組織の期待をふまえつつ、自己成長していくことができる。 |