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三菱重工コンプレッサ(MCO)は、世界最大級のギアドCO2コンプレッサ(以下、ギアドコンプレッサ)をペトラノヴァ炭素回収プロジェクト(Petra Nova Carbon Capture Project)に納入しました。Hilcorp Energy Company社のウェスト・ランチ(West Ranch)油田での原油増産を図る原油増進回収(enhanced oil recovery:EOR)事業に1,885 psi(130 bar)の高圧ギアドコンプレッサが採用されています。この設備でCO2は、そのまま直接地中に注入可能な圧力まで昇圧され、パイプラインで81マイル(約130km)先の油田へ輸送されます。
CO2回収技術を供与した米国三菱重工業は、米建設大手のTIC Construction社(Kiewit社の事業会社)とともに、CO2回収プラントの設計、調達、建設を請け負い、米国三菱重工コンプレッサ(MCO-I)が、21 MWモータ、計装および予備品を含む高効率ギアドコンプレッサパッケージを供給するサプライヤに選定されました。8段式ギアドコンプレッサは、最新式のインペラ、可動入口ガイドベーン、中間冷却器によりその効率の高さを実現しています。
MCOはプロジェクトの初期段階から、コンプレッサの性能を最適化するプラントの動的シミュレーションとCO2ガスを用いる全負荷・全圧条件下での機器の試運転を実施していました。
MCO-IのExecutive Vice President(Sales, Marketing, & Commercial)のSimon Lott氏は、「プロジェクトの成功を支えたのは、当社のギアドコンプレッサにおけるイノベーションとEORの次世代技術の開発の進歩です。標準的な一軸のコンプレッサではなく、ギアドコンプレッサ技術やモジュラー化の手法を採用することで、設置面積の少ない、より高度化した費用効率の高い製品を提供することができました。空気分離の業界にメインエアコンプレッサ用としてダブルフローギアドコンプレッサを提供できたということは、当社がギアドコンプレッサ市場で革新的に成長していることを明確に示しています。」と述べています。
ギアドコンプレッサの設計、製造、性能試験は広島のMCOで実施され、ギアドコンプレッサの据え付け工事は、ヒューストン地区に拠点を置くMCO-Iペアランド工場(Pearland Works)の営業・保守サービスセンターにより円滑に進められました。MCO-Iの小林昌哲社長は次のように語っています。 「MCO-Iは、メキシコ湾岸にある最新プラントの安全な据え付け工事の実施と高い動作信頼性の確保をサポートしています。当社はペアランド工場に先端工作設備を導入し、また高度熟練技術者を有しており、機器のライフサイクルを通じてお客様をサポートすることが可能です。」
ペトラノヴァ炭素回収プロジェクトについて
W.Aパリッシュ(Parish)石炭火力発電所のCO2回収・圧縮プラントは、NRG社とJX石油開発株式会社が共同で推進するペトラノヴァ炭素回収プロジェクトの一部であり、本プロジェクトは2016年末に操業開始され、回収したCO2が81マイル(約130km)のパイプラインを通じて輸送され、テキサス州メキシコ湾岸のウェスト・ランチ油田の原油増進回収に利用されています。