広島本社オフィスのご紹介

三菱重工コンプレッサ株式会社 本社オフィス

MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES COMPRESSOR CORPORATION

世界中の人々に開かれたグローバル・ワークプレイス

4〜5Fの技術部門の執務エリアは、集中と交流を両立させた空間。動線をジグザグ化し、各所にオープンな打ち合わせスペースを配置している。こちらは5Fの執務エリアで、フロアごとのこだわりによって、4Fとは異なるレイアウトが施されている。
5Fの執務エリア。奥に見えるのはガラス張りの社内会議室。
5Fの社内会議室。なお、役員室を含めすべての会議・打ち合わせスペースにモニタを設置。会議室の多くにTV会議システムを導入して海外拠点にもつないでいる。
5Fの執務エリア。ダブルモニタのPCが使いやすいデスク環境になっている。
5Fの会議室。上下昇降テーブルが設置され、立ち会議や座っての面談などにも使われている。

技術部門の執務エリアは動線をジグザグ化し交流を促進

98%。この数字は、生み出している製品が海外へ輸出されている比率であり、まさにグローバルな企業であることを表している。アジア、中東、ヨーロッパ、アメリカなどのさまざまなプラントで稼働するコンプレッサや蒸気タービンは、世界中の人々の暮らしをサポートしている。

2010年に発足した、三菱重工コンプレッサ株式会社。これまで分散していたオフィスの機能を集約し、さらなるグローバル競争力の強化のために、2015年春から新しい本社オフィスを創造するプロジェクトがスタート。2017年11月に、三菱重工業の観音工場の敷地内に建物が竣工した。

2016年5月に三菱重工グループは、グローバル社会に提供する価値をまとめたグループステートメントと、タグライン「MOVE THE WORLD FORWARD」を策定。グローバルな顧客や地域社会とともに、持続可能な社会の発展に向けて、世界を着実に前へ進めていくことを標榜している。これを受けた新しい本社オフィスのデザインアプローチは、「FUTURE-FORWARD」。世界へ向かい、将来に向かうグローバル本社として、多様性や情報セキュリティ、環境に配慮したワークプレイスづくりが行われた。そのキーワードは3つのSを頭文字とする、Scale(大きなスケール)、Smart(知的生産現場)、Strong(力強い空間デザイン)。これが特によく表れているのが、技術部門の執務エリアのレイアウトだ。8〜9名程度のチーム編成が組みやすい、120°のブーメラン型のデスクなどを採用し、動線をジグザグ化。自席で集中できるとともに、社員同士の偶発的な会話が生まれることを期待している。また、管理者席を設けずにヒエラルキーをなくし、各所にオープンな打ち合わせスペースを配置。コミュニケーションを重視しながら創造性・生産性の向上をはかっている。なお、部門によってレイアウトを変え、技術部門、管理部門、生産部門それぞれの働き方に合わせている。

4Fの執務エリア。各所に置かれたテーブルでは、すぐに打ち合わせができ、コミュニケーションを取ることができる。
3〜7Fの執務エリアはコミュニケーション階段でつなぎ、他部門への行き来をしやすくしている。
経営統括センター
企画経理部 事業戦略グループ
田﨑 幸子 さん

働き方の制度も、グループ全体を通じて変わってきています。私は在宅勤務も行っていますが、自宅から会議予約などさまざまな社内システムにつながるようになりましたし、内線携帯電話で自宅でも内線を使えるので便利です。在宅でもオフィスへ来た時でもあまり違和感なく業務にあたることができ、新しいオフィスで多様な働き方を選択しやすい環境になったと感じています。

執務エリア内にある各階の「リフレッシュスペース」にはシンクや給茶機があり、大容量の書架も。お茶を飲みながら寛いだり、資料を閲覧しながら情報共有する場にもなっている。
執務エリア外にある各階の「リフレッシュルーム」には、冷蔵庫や自動販売機などが設置され、囲碁を楽しむなどの気分転換の光景も見られる。
1Fに設けられた約400席のカフェテリアは、食事や打ち合わせ、休憩、さらには懇親会など、多目的に活用できる空間。現金や交通系のカードを利用して、取引先の方でも食事のできるシステムになっている。
カフェテリアの一角にはファミレスタイプの席が設けられ、打ち合わせにも使われている。
カフェテリアの天井には、人感センサーによる調色照明を採用。人の動きに呼応して照明が白色から暖色に変化し、まるで囲炉裏を囲むような空気感を醸し出す。

世界中の人々の宗教や文化を大切にしながら多様性に配慮

エントランスのすぐ隣にはカフェテリアがあり、社員に食事を提供。敷地内にある工場で働く人も利用できる、オープンな交流の場にもなっている。ここで特筆すべきなのは、ダイバーシティ…多様性への配慮だ。海外からの来訪者が多く、外国人社員も増えている状況に合わせ、カフェテリアではハラルやベジタリアン対応のメニューを提供。温かい食事が、国籍を超えた人々に喜ばれている。また、インテリアでも多様な食の可能性を表現し、彩りのある空間が人々を優しく迎え入れている。
さらに、2Fには祈祷室を設けており、こうした環境の整備によって安心して利用できると好評だ。

グローバル本社としてふさわしい高品質な空間づくりも、来客の目を引いている。2Fにはさまざまなタイプの来客会議室が並んでいるが、それぞれに江戸時代から伝わる日本の伝統色のネーミングを日英併記。「茜(Madder Red)」「鶸萌黄(Siskin Sprout Yellow)」「琥珀(Amber)」…と、全部で17色のスペースが、先駆的でかつ伝統的なイメージを構成している。壁面やソファの色なども伝統色に合わせてコーディネートされ、日本のアイデンティティを美しく発信。多様な人々のグローバルな相互理解に基づく場が、安心の笑顔を生み出している。こうした根本的なアプローチによる信頼や評価が、「FUTURE-FORWARD」…未来へ前進する新たな礎となり、同社のさらなる持続的な成長へとつながっていくのだろう。

2Fにはガラス張りの来客会議室が並び、日本の伝統色で自然界にある色の名前が付けられている。
「露草(Dayflower)」と名付けられている来客会議室。
渡り廊下からは1Fのカフェテリアを見渡すことができる。
2Fの「トレーニングルーム」では、プラント現場のオペレーションのトレーニングなどが行われ、海外からの来訪も多い。
2層吹き抜けの開放的なエントランスホール。奥にあるガラス張りのカフェテリアが望める。
エントランスホールの隣に設けられた商談スペース。
広島市の西南、広島湾を望む三菱重工コンプレッサの7階建ての本社オフィス。

DATA

所在地 広島県広島市西区観音新町4-6-22
オフィス対象面積 25,000m2
オフィス対象人員 660名
インテリア竣工 2017年11月
建築設計 大林組
オフィス設計・デザイン オカムラ(長谷川 修、中原 忠亮)

INTERVIEW

交流し触発されながら
思わぬ発見があることに
期待しています!

三菱重工コンプレッサ株式会社
経営統括センター
企画経理部 事業戦略グループ
グループ長
田川 敬二 さん

グローバル競争力の強化というコンセプトを実現するために

オフィスづくりにおいては、世界を舞台にしたさらなる発展をめざす拠点として、「グローバル競争力の強化」という大きなコンセプトを掲げました。そうした中で、「グローバル対応」「意思決定の前倒し」「環境配慮」を3つの柱としました。この中の「意思決定の前倒し」には、オフィスを集約したことも効果として現れていると思います。今までは同じ敷地内とはいえ、オフィスが5ヵ所に分散していたので、他の建物まで何か相談しに行くにも10分ほどかかっていました。関係者が集まるのに時間がかかる上に、集まっても会議の予定場所が他とバッティングしていて、話す場所を求め歩くこともありました。ですから、今回オフィスを集約したことは、それだけでもとても大きな意義があったと感じます。

不要な準備や作業を省くことで意思決定の前倒しをはかる

「意思決定の前倒し」をはかる環境を整えるために、会議をしたい時に使用できないことがないよう、大小さまざまな仕様の会議室を十分な数だけ用意。2Fは来客会議室のフロアとし、各階の執務フロアにもガラス張りの社内会議室を設けました。これと同時に、英語対応の会議予約システムを導入。空いている部屋が一目で分かるのはもちろん、このシステムで各部屋の使用率の統計も取れますから、今後のニーズの変化に合わせた運用にも生かしたいと考えています。

そして、仕事のスピードアップのため、すべての部屋にモニタを設置し、壁はホワイトボード仕様に。PCさえ持ち込めばどこでも打ち合わせができるようにしています。ですから会議に際して、その都度プロジェクタや電話会議のシステムを部屋に運んでくるという準備の手間もなくなりました。電話環境も見直して固定電話と携帯電話を融合し、内線通話もできるFMC(Fixed Mobile Convergence)を採用しましたし、いろんな面でムダな作業を省き、スピードアップできていると思います。電話で話したい人に直接連絡できますし、取り次ぎの手間や時間のロスもすべてなくなりましたからね。意思決定自体をスピードアップさせるというよりは、間接的に不要なものを省くことで、意思決定をまさに「前倒し」しているのだと思います。

社員や来訪者の宗教に配慮して設けられた2Fの祈祷室。手や足などを清める洗い場が設けられ、絨毯なども用意されている。
2Fの「鶯(Bush Warbler)」と呼ばれる来客会議室。
1F受付の正面の壁には、フラットタイルを雁行させてタービンブレードが踊り出すような活力を表現した、同社ならではのデザインが施されている。

ストレスなく仕事に打ち込めて創造性や生産性が高まる

執務エリアはオープンな空間をベースに、個人や集団のアクティビティが見える、躍動的な空間構成にしています。その中でも技術部門のレイアウトは、部門から特別にオーダーしたもので、オカムラさんには何度も足を運んでもらって打ち合わせを重ねました。技術部門のメンバーは出張で海外のオフィスを訪れる機会も多いので、そこで学ぶケースも多く、創造性や知的生産性を高める工夫を取り入れています。歩きながら交流し触発され、セレンディピティ…思わぬ発見が起こるようなレイアウトを実現。さらに、集中と交流の両立に十分配慮し、ストレスなく仕事に打ち込める環境を整えています。
技術部門では、およそ1週間ごとに席替えを実施して、交流を活性化させるための運用も行っています。移動する時はワゴンとPCだけ動かせばいいので、とてもスムーズ。そうした試みができるのも、オフィスを1ヵ所に集約させたからでしょう。以前はトライしたくても、できませんでしたからね。

海外から新しいオフィスに足を運ばれた人たちからは、この場とおもてなしに対するお褒めの言葉をいただいています。お客様に信頼していただけること、そしてご満足いただける価値を提供することを、これからも模索しながら続けていきたいと思っています。

  • 役職・所属は記事執筆時点のものです。
  • 提供:(株)オカムラ様/写真:Nacása&Partners様