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凝集磁気分離方式「日立バラスト水浄化システム」

株式会社日立プラントテクノロジー
三菱重工業株式会社
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 株式会社日立プラントテクノロジー(本社:東京都、執行役社長:住川 雅晴、以下日立プラントテクノロジー)と三菱重工業株式会社(本社:東京都、取締役社長:大宮 英明、以下三菱重工)が共同開発した「日立バラスト水浄化システム」が、本年4月2日、IMO(国際海事機関)(*1)の「活性物質に関するガイドライン」(*2)に関する基本承認を取得しました。

 また、同システムの試験装置(処理水量:50㎥/h)を雄洋海運株式会社殿(本社:神奈川県、取締役社長:吉沢 正氏)所有のLPG船(タンク容量:78,500㎥、三菱重工長崎造船所で建造)に搭載し、本年4月から船上試験を開始しました。試験期間は2009年3月までの1年間の予定で、国土交通省の型式承認(*3)取得を目的とした試験に加え、メンテナンス性、振動・腐食への耐性等、実用上の評価も行います。

 さらに、日立プラントテクノロジーでは、2009年7月にIMOの最終承認、引き続き国土交通省の型式承認の取得に向けて、今後、東京湾近傍で実規模装置(処理水量:200㎥/h)による陸上試験を並行して行います。今後、積極的な営業活動を展開し、2012年度に100億円の受注をめざす方針です。

(*1)IMO:International Maritime Organization
(*2)活性物質に関するガイドライン(G9):装置に用いる薬品の環境安全性審査で、IMOが審査・承認付与する。使用する物質のハザードおよび試験機で得た処理水の環境影響評価で基本承認が、また、陸上試験機で得た処理水の環境影響評価で最終承認が付与される。
(*3)型式認定:装置の性能に関する審査で、条約に定められたガイドラインに従って各国の主管庁が認定・承認付与する。実機を用いた陸上試験および船上試験の合格およびG9の最終承認が条件。

■船上試験装置の外観                      ■船上試験装置を搭載したLPG船の外観

   

 

■「日立バラスト水浄化システム」の概要
 バラスト水は、船舶のバランスを保つための重しとして用いる海水のことで、採水海域のプランクトンや菌類、泥、砂などが含まれています。バラスト水の多くは、採水した国の港とは異なる国の港で排出されます。このため、海水と一緒に生態系の異なる外来生物などが排出され、その海域の生態系に影響を及ぼすことが懸念されています。
 こうした問題に対処するため、2004年2月には、IMO本会議において「船舶のバラスト水および沈殿物の規制および管理のための国際条約」(バラスト水管理条約)が採択されました。同条約では、国際航海に従事する船舶は、船舶の建造日およびバラストタンクの容量に応じ、段階的に「バラスト水排出基準」(*4)が適用されることが定められ、2017年には、全ての外航船に同基準が適用される見込みです。これにより、バラスト水の処理装置の搭載が必須となります。

 今回開発したシステムは、多くの浄水場でプランクトンや菌類の除去に用いられている凝集技術と、湖沼や河川で発生するアオコなどの浄化用として開発した磁気分離技術を組み合わせたものです。凝集法を採用することで、塩素や紫外線を用いた殺菌方式とは異なり、残留塩素による二次汚染の心配がありません。また、微小の細菌をフロック(小さな固まり)化することで、粗目フィルタの使用を可能にし、処理速度を高めることによる装置の小型化も実現しました。

 日立プラントテクノロジーは、2006年9月から12月まで、東京湾において小型装置(処理水量:50㎥/h)による実証試験を行い、性能を確認しています。

 また、浄化装置を船舶に搭載し、システムとして機能させるためには、船舶用品として種々の改良と高度な船装設計の知識が必要となりますが、日立プラントテクノロジーと三菱重工との共同研究によりこれを実現しました。

(*4)バラスト水排出基準:

対象

管理基準

50μm(1)以上の水生生物

10個/1m3未満

10μm50μm(1)の水生生物

10個/1ml未満

病毒性コレラ菌(O1O139)

1cfu(2)100ml未満

大腸菌

250cfu(2)100ml未満

腸球菌

100cfu(2)100ml未満

(注1)最小寸法  (注2)cfu(Colony Forming Unit):群単位

■特 長

(1)プランクトン、菌類、マッド(海底の泥、砂、生物の死骸)、さらにマッド内に含まれる生物の卵、およびカビの胞子までを短時間、かつ効率的に除去できる。
(2)殺菌剤を使用しないため、バラスト水排出時に残留薬剤による海域の生態系を破壊しない。
(3)バラストタンク内の堆積マッドが大幅に減少するため、マッドの処理コストを低減できる。また、タンク内壁の塗装の長寿命化にも貢献。
(4)生物増殖に必須な栄養素であるリン分の除去も可能。
(5)搭載する船舶の規模や設置スペースに応じた豊富なラインナップを保有。

■処理フロー

(1)  処理は取水時に行います。まず、急速・緩速撹拌槽で海水に凝集剤と磁性粉を添加、撹拌し、プランクトン、菌類、マッドなどを、1ミリ程度の磁性を有したフロックに形成させます。
(2)  フロックは、磁気分離装置の磁気ディスクに吸着させて除去処理します。処理水は、さらにフィルタ分離装置でろ過し、バラストタンクに注水します。

 

 

 


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