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シリンダ口径350/400mmの舶用小型ディーゼル機関

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 三菱重工業とバルチラ(Wartsila Corporation、フィンランド)は、シリンダ口径が350mmと400mmの新しい舶用小型低速ディーゼル機関を共同開発する。両社が結んでいる戦略的業務提携の一環として今年5月に合意した、シリンダ口径450mm以下の低速機種共同開発プロジェクトに基づくもの。

 出力は3,500~9,000kWで、両社の強みを生かして基本設計を行い、当社は、機械制御方式のUEC-LSE型を製品化し、バルチラは電子制御方式のRT-flex型と、機械制御方式のRTA型を製品化する。初号機の市場投入は350mm口径が2011年の前半、400mm口径はその1年後を計画している。

 新機関は低速機関の品ぞろえを拡張することにより、3万DWT※クラス以下のスモールハンディー(小型ばら積み船)や各種タンカー、冷凍・冷蔵船、フィーダーコンテナ船など、多様な小型・中型商船に、それぞれ最適の出力と速度を提供できるようにするもの。新造船が急激に伸びている東アジア、特に中国、韓国、日本、ベトナムなどはもちろん、全世界での幅広い需要を見込んでいる。

 新機関最大の利点は、国際海事機関(IMO)の大気汚染物質排出2次規制(TierⅡ)に適合することに加え、低燃費、シリンダオイルの低消費率、高信頼性と、オーバーホール間隔の長期化にある。製造コストにおける競争力と並んで、出力、プロペラ速度、寸法、重量、電力消費の観点から、搭載船舶に最適性を提供できるとみている。

 当社の「UEC35LSE」と、バルチラの「RT-flex35」、「RTA35」は、シリンダ寸法が口径350mm×ピストンストローク1,550mm。毎分167回転で、シリンダ当たり870kWの最大連続出力となる。「UEC40LSE」、「RT-flex40」と「RTA40」は、同400mm×1,770mm。毎分146回転で、同1,135kWとなっている。両タイプともシリンダ数は5~8で、350mmタイプは142~167回転/分で出力3,475~6,960kWをカバー。400mmタイプは124~146回転/分で、同4,550~9,080kWをカバーする。

 機械制御方式は燃料噴射ポンプや排気弁作動ポンプなどをカムシャフトにより駆動するもので、これらを電子制御でコントロールするコモンレール方式とは、この点での特性・構造が異なる。その他の主要な特性・構造は同等。UEC-LSE型は当社と当社のライセンス供与先企業が、RT-flex型とRTA型はバルチラのライセンス供与先企業がおのおの生産することになる。

※DWT【Dead Weight Tonnage デッド・ウエイト・トン】船に貨物を満載したときの重量と、船のみでの重量の差。船に積み込める貨物の重量を示す単位で、貨物船の大きさを表す場合に使われる。

     三菱重工とバルチラが今回共同開発を発表したディーゼル機関の主要目

機    種

UEC35LSE

RTA35/ RTflex35

UEC40LSE

RTA40/ RTflex40

シリンダ口径(mm

350

400

ピストンストローク(mm

1,550

1,770

シリンダ当たり出力(kW

870

1,135

速度(rpm:回転/分)

167142

146124

正味平均有効圧力(bar

21.0

21.0

平均ピストン速度(m/秒)

8.6

8.6

シリンダ数

58

58

出力(kW

3,4756,960

4,5509,080


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