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三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社(社長:佐藤 敏弥、本社:愛知県名古屋市中村区)は、型盤回転方式では世界で初めての電動タイプで、最大型締力が3,000トンの超大型電動二材回転射出成形機「3000emR」を開発した。自動車の窓や窓枠など、材質が異なる2種類の樹脂を一体成形加工できる新鋭機で、大型樹脂部品の大幅な生産性向上を実現する。また、従来の油圧式に比べ、不良率が低く環境にも優しいことから、自動車部品の軽量化需要などに対応、積極的な拡販をはかっていく。
3000emRの基本構造は、世界最大の型締力を持つ超大型電動タイプで豊富な納入実績を誇る2プラタン電動射出成形機「3000em-470」(型締力29,420kN、同社独自の高トルク低回転の大容量DDサーボモーター※1、電動型開閉/電動割ナット開閉システム※2)をベースに開発したもの。固定盤と可動盤の間に金型を取り付ける反転盤を設け、一次射出用の射出シリンダー(470オンス)に対向する配置に、二次射出用の射出シリンダー(160オンス)を組み込んだ(特許出願中)。
これまでは、積層金型を載せたテーブル回転方式で、射出シリンダーが対向配置の二材射出成形機は、欧州製の油圧式が主流だったが、これを電動式により世界で初めて実現したのがemR。一次材と二次材の充填精度が高まり、生産性が向上するほか、電動式なので騒音が低く、環境負荷も小さい。
窓ガラスの成形は、一次射出用シリンダーにある透明のPC(ポリカーボネート)を4軸平行圧縮※3(特許出願中)によって平行制御された金型に射出して冷却。できあがった透明窓の成形品を載せた金型を回転させ、二次射出用シリンダーのPCアロイを窓枠部分に射出して完成する。
透明窓はその特性上、樹脂を金型に注入するゲートの位置を製品中央付近に設けることができないため、透明窓の横から樹脂を射出するサイドゲートが用いられるが、サイドゲート射出の場合、これまで、可動盤に偏荷重がかかって金型が傾き、製品肉厚が不均一になるという問題点があった。
3000emRでは、金型に位置センサーを設置。金型が平行に締まるように、タイバー4軸を高応答サーボバルブによるフィードバック制御※4と同社独自のフィードフォワード補償※5 を採用して、平行圧縮を実現。透明窓の肉厚を均一化して、光学歪みを低減する。
3000emRは射出、可塑化、型開閉と反転盤回転の全駆動を世界で初めてサーボモーターで実現し、窓を成形する場合の透明度を向上。また、電動制御による型開閉ドライサイクル短縮や、サーボモーター減速時の電力回生を採用することにより、省エネルギーに大きく貢献する。
自動車関連を中心とした部品の軽量化、組立工程の簡素化およびデザイン性の向上を可能とし、さらに自動車分野以外の需要も期待できることから、今回、型締力1,450トンの「1450emR」も併せて開発、シリーズ化した。
なお、emRシリーズは、11月7日から11日までの5日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催される「IPF(国際プラスチックフェア)2008」で、映像などにより紹介する。
※1 大容量DDサーボモーター
射出軸ボールねじを減速機構なしにモーター軸と直結する同社独自開発のサーボモーター。これにより、ベルトレスの構造となり、騒音・粉塵やメンテナンス項目を低減でき、さらに立ち上がり応答性能を向上させた。
※2 電動型開閉/電動割ナット開閉システム
2軸ボールねじとサーボモーター制御により、応答性が高い型開閉を実現、従来の油圧機に比べ、型開閉ドライサイクルを大幅に短縮した。
※3 4軸平行圧縮
金型合わせ面に位置センサーを設置し、型位置4点を検出し、型位置4点の平行度を保つようにタイバー 4軸を高応答サーボバルブによるフィードバック制御と当社独自のフィードフォワード補償により平行圧縮制御するもの。
※4 フィードバック制御
制御量(速度、圧力等)を目標値と比較して、その差(偏差)がなくなるように制御対象を操作する制御方式。
※5 フィードフォワード補償
外乱を直接検出して、外乱が制御量に影響を及ぼす前に影響を抑制する方法。
◇ 3000emRの性能表 | 3000emR-470/160 | ||
項 目 | 単位 | 1次側 | 2次側 |
型締力・最大 | kN | 29,420 | |
tf | 3,000 | ||
理論射出容量 | cm3 | 13,200 | 4,540 |
tf = metric tonf
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