Press Information
三菱重工業は、世界初の3段直列RO(逆浸透)膜方式採用で省エネ・高純度を実現した海水淡水化設備など15件を、「Best Innovation(ベスト イノベーション)2008」に選定した。
その結果、当社の高い技術力を示した新製品には、イメージガイド放射線治療装置「MHI-TM2000」など9件が、世界初の革新技術が対象となる特別賞/新技術賞には、世界最新のロケットタンク製造技術の開発など3件が選ばれた。また、社会的にも大きな話題となった日本初の有人宇宙実験施設「きぼう」の開発・運用開始などの取り組み3件には、当社の技術力を広く一般にアピールしたとして特別賞/イメージアップ賞が与えられた。
今回の受賞案件は以下の通り。( )内は担当部門。
【新製品】
1. 3段直列RO海水淡水化設備 (長崎造船所/長崎研究所)
2. Finex副生ガス焚き複合火力発電技術 (高砂製作所/高砂研究所)
3. 空気吹石炭ガス化複合発電プラント(空気吹IGCC) (原動機事業本部/長崎造船所/長崎研究所/高砂製作所
/高砂研究所/プラント・交通システム事業センター/広島研究所)
4. イメージガイド放射線治療装置「MHI-TM2000」 (機械・鉄構事業本部/広島製作所/広島研究所
/プラント・交通システム事業センター)
5. 輸出向けビル空調用高性能インバータマルチエアコン (冷熱事業本部/名古屋研究所
/中菱エンジニアリング株式会社)
6. 車両用インバータ一体型電動スクロール圧縮機(EVシリーズ) (冷熱事業本部/名古屋研究所/高砂研究所/中菱エンジニアリング株式会社)
7. DIAMOND 300(輸出名称:DIAMOND V3000) (紙・印刷機械事業部/広島研究所)
8. 新組成コーティング(スーパードライⅢ)ホブ (工作機械事業部)
9. 超大型電動二材回転射出成形機「emRシリーズ」 (三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社/名古屋研究所)
◇3段直列RO海水淡水化設備
種類の異なるRO膜ユニットを3段直列にした、商業規模では世界初の大規模海水淡水化設備を、サウジアラビアのラービグ市で完成・稼働させた。従来の蒸発法(多段フラッシュ法)方式などに比べ、少ないエネルギーで塩素イオン濃度の低い高純度の淡水を製造でき、設備の建設期間も短い。
◇Finex副生ガス焚き複合火力発電技術
製鉄で高炉に代わる技術であるFinex(直接還元)炉からの副生ガスを燃料とする、世界初のガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電技術を開発。韓国のPOSCOが開発したFinex炉向けに世界で初めて稼働させた。Finexガスは高炉ガスに比べてカロリー変動が大きい(高炉ガスの約10倍)ことから、高度なカロリー変動抑制・制御技術とガスタービン設計により安定燃焼を実現した。
◇空気吹石炭ガス化複合発電プラント(空気吹IGCC)
高効率で二酸化炭素(CO2)排出量が少なく環境に優しい空気吹き石炭ガス化複合発電システム(IGCC)を世界で初めて実用化した。福島県いわき市勿来のクリーンコールパワー研究所(CCP)に納入した最初の実証設備(出力25万kW)が、初年度から長時間の連続運転に成功した。IGCCは今後の石炭火力の主流となると期待されている。
◇イメージガイド放射線治療装置 MHI-TM2000
世界最先端の画像支援機能により、がん患部の位置を正確に把握し、ピンポイントで放射線を照射できるため、健全な身体組織への放射線障害を避け高精度で短時間の治療が容易にできる。第7回産学官連携推進会議で、本件開発・事業化プロジェクトが経済産業大臣賞を受賞した。
◇輸出向けビル空調用高性能インバータマルチエアコン
独自の3Dスクロールコンプレッサ搭載とともに、ビル用マルチ10馬力母型で業界初の横吹き室外ユニットの採用等により、業界最高のコンパクト化を達成した。8~12馬力モデルでは据付け面積の半減(当社従来機比)を実現。中小ビルを中心に幅広い需要に対応できる。5馬力母型も業界最高のコンパクト化を実現し、海外の高級マンションへの対応範囲を大幅に拡大した。
◇車両用インバータ一体型電動スクロール圧縮機(EVシリーズ)
地球温暖化問題などにより、今後、さらなる普及が期待される電気自動車(EV)やハイブリッド車用カーエアコン対応として、インバータ一体型電動式のスクロールコンプレッサを開発した。エンジン回転数に依存することなく、電動駆動による任意の制御が可能であり、優れた省燃費・冷房性能を実現した。また、CAN通信機能を内蔵し、かつエンジンルーム搭載型のため、耐振耐熱性の高い電子機器仕様としている。
◇DIAMOND 300(輸出名称:DIAMOND V3000)
稼働率アップを徹底追求し、準備時間を飛躍的に短縮する全色同時全自動版交換装置や、メンテナンス時間を削減できる無給油ベアリングを採用。生産性と操作性を大幅に向上させるとともに、採用する材質レベルからデザインを一新し、機能美や環境性能も高めた枚葉印刷機。そのデザインは、「第38回機械工業デザイン賞」受賞のほか、「2008年度グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)」を生産財として初受賞するなど、高い評価を受けている。
◇新組成コーティング(スーパードライⅢ)ホブ
歯車加工用工具であるホブに、切削油なしで切削速度200m/分以上の超高速でも寿命が大幅に延びる新コーティング技術を開発、製品化した。被膜の耐酸化性能を高め、酸化開始温度1,300℃を達成。歯車部品の生産コスト低減と生産性向上に貢献する。
◇超大型電動二材回転射出成形機「emRシリーズ」
型盤回転方式では世界で初めての電動タイプで、最大型締力が3,000トン。自動車の窓と窓枠一体成形品など、材質が異なる2種類の樹脂を一体成形加工でき、大型樹脂部品の大幅な生産性向上を実現する。
【特別賞/新技術賞】
1. アンモニアを使用しない重質燃料焚き発電排煙処理プラントの開発
(技術本部/広島研究所/高砂研究所/横浜製作所/原動機事業本部/プラント・交通システム事業センター/三菱重工環境エンジニアリング株式会社)
2. 世界最新のロケットタンク製造技術の開発 (名古屋航空宇宙システム製作所/広島製作所/広島研究所)
3. 高性能新型リーフシールの開発実用化 (原動機事業本部/高砂研究所)
◇アンモニアを使用しない重質燃料焚き発電排煙処理プラントの開発
重質燃料焚き発電設備の排煙中に含まれる高濃度の三酸化硫黄(SO3)を、電気集塵機(EP)の後流に脱硫排水を噴霧して除去する技術を開発した。これによりアンモニアを使って中和する必要がなくなり、運用コストの低減が図れる。
◇世界最新のロケットタンク製造技術の開発
H-ⅡAロケットの能力向上型として、2009年夏に初打上げが予定されるH-ⅡBロケットの燃料タンクにおいて、世界で初めて全溶接部に摩擦攪拌接合(FSW)技術を採用した。またロケット用アルミ製ドームでは、製鉄機械技術を応用したスピニング成形による一体ドームの開発に成功した。これにより燃料タンク溶接部の継手強度向上やドームの精度向上を実現することができる。
◇ 高性能新型リーフシールの開発実用化
蒸気タービンの漏洩(リーク)損失を低減させるシールを、シールフィン摩擦が回避できる非接触方式で開発、実用化した。リーク量は従来に比べ1/3に低減し、摩擦回避によるシールの長寿命化が図れ、接触軸振動に対する信頼性が向上するほか、蒸気タービン、ガスタービン以外にも航空エンジン等の他製品への適用も見込まれる。本件は社団法人日本機械工業連合会の「平成20年度(第29回)優秀省エネルギー機器表彰」の資源エネルギー庁長官賞に選定された。
【特別賞/イメージアップ賞】
1. 「きぼう」(JEM:日本初の有人宇宙実験施設)の開発玉成と軌道上運用開始
(名古屋航空宇宙システム製作所/神戸造船所/航空宇宙事業本部)
2. 「三菱みなとみらい技術館」 (広報・IR部)
3. KEK Bファクトリー加速器 (機械・鉄構事業本部/神戸造船所/名古屋航空宇宙システム製作所 /プラント・交通システム事業センター)
◇「きぼう」(JEM:日本初の有人宇宙実験施設)の開発玉成と軌道上運用開始
日本初の有人宇宙実験施設として、当社が船内保管室および船内実験室などの中核部分を製造したことが広く紹介され、当社技術力のPRに大きく貢献した。
◇「三菱みなとみらい技術館」
展示リニューアル、上映した3DのCGアニメーションの国際賞受賞、日本原子力学会の関東甲信越支部賞、OBによるボランティア活動など、多くの話題を提供。2008年4~12月の入館者は前年比で約22%増加した。
◇KEK Bファクトリー加速器
高エネルギー加速器研究機構(KEK)に短期間に主要機器を納入。素粒子物理学における小林誠KEK名誉教授と益川敏英京都産業大学教授による「小林・益川理論」を証明するためにも同加速器が使われ、両氏の2008年ノーベル物理学賞受賞をはじめ、世界の科学技術発展に大きく貢献した。
三菱重工グループについて
三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。
長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現 に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、 人々の豊かな暮らしを実現します。
詳しくは:
- 三菱重工グループのウェブサイト: www.mhi.com/jp
- オンラインマガジン SPECTRA: spectra.mhi.com/jp
- YouTube: Discover MHI
- Twitter: @MHI_Group | @MHI_GroupJP
- LinkedIn: Mitsubishi Heavy Industries をご覧ください。