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内歯車を高速・高精度に低コストで仕上げ加工、ギヤノイズ低減へ
内歯車研削盤「ZI20A」を開発、砥石寿命を大幅延長

発行 第 4784号
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 三菱重工業は、自動車のミッションギヤなどに使われる内歯車を、高速・高精度に低コストで仕上げ加工できる内歯車研削盤「ZI20A」を開発した。2月5日(木)と6日(金)に当社工作機械事業部(滋賀県栗東市)で開催する「歯車機械内覧会」で製品発表・披露を行い、4月に販売を開始する。ギヤノイズの低減ニーズに応える狙い。

 当機は、回転主軸に装着するビトcBN(立方晶窒化ホウ素)砥石の形状に、当社独自技術の「樽形ねじ状砥石」(特許出願中)を採用するなど、ホーニング加工などに比べ、研削(すべり)速度は4倍以上に引き上げ生産性を向上した。砥石寿命も大幅に延ばし、ワーク1個当たりの工具費は約6分の1として、現行の焼き入れ前加工と同等の工具費まで低減した。自動変速(AT)機構部品の加工に対する合理化投資などをはじめ、幅広い需要を見込んでいる。

 自動車製造業界では自動車の静粛性や燃費の向上、生産コストの低減に向け、コンパクトなミッションギヤを高精度・高能率に、低コストで加工できる設備に対するニーズが高まっている。最近は特にAT車やハイブリッド車(HV)に多く使われる遊星歯車機構のギヤノイズ低減などに向け、内歯車にまで高精度加工への技術革新が求められるようになり、試行錯誤も活発になってきた。
 電着砥石によるホーニング仕上げの採用が試みられているが、高コストなために生産性が低いなどの問題がある。決定的な加工法は確立されておらず、革新技術の登場が期待されていた。

 ZI20Aの開発では、長年培ってきた歯車理論、解析技術をもとに松江工業高等専門学校の郡原宏教授と共同でねじ状砥石による加工理論の検討を行い、その結果を実現する研削加工機に仕上げた。
 実際の研削速度である、すべり速度を上げるため、軸交差角(主軸の研削ワーク軸に対する傾き)は20~35度(ホーニングは5~10度)と大きく設定。これにより起こりやすくなる軸や歯面の干渉を抑えられるように、砥石はねじ状の中間部の径が漸増する独創的な樽形となる。ビトcBN砥石の採用により、工具交換までの寿命が延び、工具費が低減した。さらには、機上ドレス方式を採用し、工具の精度管理を容易にした。
 主軸は1万5,000回転/分、ワーク軸は6,000回転/分の回転同期制御で高速・高精度な歯車研削を実現。

 当社は1997年に世界初となる、切削油不要のドライカット歯車加工システムを開発して以降、高能率・高精度で地球環境にも配慮した各種歯車加工機械・切削工具のラインアップで、業界をリードしてきた。今回の内歯車研削盤の投入により、自動車製造業界をはじめとする歯車加工現場に、新しい価値を提供していく。

 

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