合弁事業会社Comanche Peak Nuclear Power Companyを設立
三菱重工と米ルミナント

　ルミナントの原子力担当副社長であるマイク・ブレヴィンスは、今回の合意について「これは、安全で高い信頼性を持つ、クリーンな原子力発電をテキサス州で拡大していくうえで、新しい一歩だ。事業会社は三菱重工との目下の取り組みを正式なものとし、強化する。三菱重工の実証技術を携えての事業参画が、当社ニーズを満たしてくれる」と語った。

　三菱重工原子力副事業本部長の井上裕は「この事業会社設立は、両者の関係をさらに強化し、確かなものにしたとともに、コマンチェピークでのUS－APWRの建設・運転の実現に向けた大きなステップに踏み出したことを意味する」と述べた。

　三菱重工のUS－APWRは2007年3月、ルミナントによる複数の原子力発電技術に対する評価の結果選定された。すでに、コマンチェピーク3、4号機のCOL申請書は米国原子力委員会(NRC)によって受理されている。世界最大級(170万kW)のUS－APWR1基あたりの発電容量は、テキサス州の平均家庭87万5,000世帯の電力消費に相当し、合弁会社は当面、建設・運転に必要な許認可取得に向けて、取り組んでいく。

　三菱重工は2006年7月、米国ワシントンD.C.に100％出資の現地法人Mitsubishi Nuclear Energy Systems, Inc.（MNES）を設立してUS－APWRの販売活動を開始。また、2007年12月にはNRCへUS－APWRの設計認証(DC)を申請して、現在NRCで審査中である。三菱商事もこのプロジェクトを支援する。

　MNESの新設プラント技術部門副社長のフランク・ガレスピーは「この事業会社設立は、コマンチェピークプロジェクトを最大限、経済的で効率的なものにする。事業会社という一つの組織が、COL取得に向けた作業やプロジェクト費用を管理することで、我々はNRCやその他政府機関からの要求に最も早く対応できる」と説明している。

　US－APWRは発電効率を向上させ、安全性を強化した改良型の加圧水型軽水炉（PWR）。三菱重工は日本国内で23基のPWRを手掛けた実績を持ち、現在24基目のPWRを建設中。また、プラントの運転開始後も幅広くアフターサービスを提供してきた実績がある。

　三菱重工とルミナントは今後、日米両政府にて検討されている公的金融による資金面での支援を得るための申請を行っていく方針。合弁会社は米国エネルギー省（DOE）に、融資保証申請書を提出している