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80℃温水の連続供給が可能な業界初のターボ圧縮式ヒートポンプを開発

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 三菱重工業は、工場などで捨てられている熱を利用して、工場プロセスに有効な80℃の温水を連続的につくることができるターボ圧縮式の温水供給装置(排熱回収温水ヒートポンプ)「ecoターボ温水ヒーポンETW」を業界で初めて開発、15日から販売を開始する。化石燃料を使わず電力だけで稼働するため、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出を最大70%以上削減できるとともに、省エネ効果により運用コストの大幅節減が可能。食品の加温・殺菌や半導体洗浄などの各種産業分野で、環境負荷低減に向けた顧客ニーズを開拓する。

【ecoターボ温水ヒーポンETW】
 食品工場での温浴加熱・殺菌や半導体製造工程での洗浄、塗装工程での乾燥加熱などには、80℃レベルの温水が幅広く使われており、その温水は通常、油・ガス焚きのボイラーで作られている。そして、製造過程で発生した排熱は、そのまま捨てるか、冷却塔などで冷やして捨てられていた。

 ecoターボ温水ヒーポンETWは、この排熱温水を有効活用し、標準仕様としては、75℃の温水を80℃に加熱し供給する装置。
 仕組みは、冷却塔から排出された35~50℃の排熱を熱源水とし、そこからヒートポンプの原理を利用して、必要な熱を汲み上げ、温水系統へ供給するもので、熱を運ぶ媒体は、冷媒と呼ばれるHFC-134aを使う。また、その冷媒を、蒸発・圧縮・凝縮させるシステムは、二つの熱交換器(蒸発器、凝縮器)とターボ圧縮機・モーターで構成され、消費電力を抑えるため、インバーター制御を採用している。温水加熱は標準では5℃である。

 本製品は、この排熱温水を有効活用する為、COP(エネルギー消費効率)※1も4.5 ※2と高効率であり、一部ボイラーと代替することで、大幅なCO2削減、省エネにつながる。同能力の貫流ボイラー(油焚き1トン/時クラス)と比べると、CO2は最大71%減で、運用コストは同27%減となる。

 近年、ムダを取り払った環境に優しい工場づくりの観点から、排熱の有効利用による化石燃料の消費抑制に対するニーズが高まっている。
 また、電力会社も顧客への「オール電化」提案を強化。大口電力消費者である産業界に対しても“電化ファクトリー”化などのソリューションを提供できる有力ツールの拡充に力を注いでいる。

 当社ではこれらのニーズを踏まえ、ターボ圧縮機やインバーター、高温対応設計などの既存冷熱関連技術を組み合わせ、新しい製品分野に進出。販売面では電力会社と連携し、ボイラーなどの代替ニーズを積極開拓することにより、産業界の環境負荷抑制に向けた取り組みをサポートしていく。

 

     ecoターボ温水ヒーポンETWの仕様概要

温 水 出 力      (kW

627

電 動 機 出 力    (kW

115

温   水

流量(m3/時)

107.8

ノズルサイズ(A

100

熱 源 水

流量(m3/時)

84.9

ノズルサイズ(A

100

法 定 冷 凍 能 力  (冷凍トン)

95.8

電 源 方 式

3400440V50/60ヘルツフリー)

外形寸法:幅×奥行×高さ  (m

1.2×2.2×2.1

搬 入 質 量      (トン)

3.2

運 転 質 量      (トン)

3.7

※1  COP=Coefficient of Performanceの略。成績係数のことで、値が大きいほど省エネ性が高い。
   COP=定格能力(kW)÷ 消費電力(kW)。

※2 熱源水入口温度45℃、温水出口温度80℃の場合。

 


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