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世界初、常温ウェーハ接合装置でSiCとGaNの室温接合に成功
新デバイス開発などに道拓く

発行 第 4965号
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 三菱重工業は、自社開発した常温ウェーハ接合装置を使い、炭化ケイ素(SiC)と窒化ガリウム(GaN)、サファイアをそれぞれシリコン(ケイ素)に室温で直接接合することに成功した。有望材料の高能率・高品質な接合により、新しいデバイス開発や生産性の向上などに道を拓くもので、SiCとGaNの常温接合は世界初。当社は、常温接合装置を使った製品開発・生産を支援する独自の「三菱接合サポートプログラム(Mitsubishi Bonding Support Program:MBSP)」を活用することで、新規分野への常温接合の適用を拡大していく。

 常温接合は、真空中でイオンビームを照射し、接合材料表面を活性化して接合する方式。多岐にわたる材料を接合するためには、材料特性に応じたイオンビーム照射がポイントとなる。SiCとGaN、サファイアの常温接合は、当社装置の特長である独自のイオンビーム照射条件設定などにより実現。3種の材料とも、シリコンとの強固な接合を確認した。

 SiCは高電圧に強く高速・高能率なスイッチング特性を持つため、電気自動車(EV)のインバーターなどに搭載する次世代パワーデバイス(電力用半導体素子)向けに注目されている。GaNは青色LED(発光ダイオード)や高周波デバイス、低損失パワーデバイスの材料として応用が拡大。また、サファイアは光学デバイス材料用途が広がっているほか、シリコンとの接合によるSOS(Silicon On Sapphire)は、高周波回路の基板としても用いられる。
 いずれも、従来の加熱接合に代えて常温接合を採用することにより、熱ストレスやひずみが抑えられ、品質が大幅に向上する。また、加熱とそれに伴う冷却の時間が不要になり、大幅な工程短縮と歩留まり向上の相乗効果で製造コストの低減が実現する。

 MBSPは、常温接合を使うデバイス開発・製造に対して、構想設計、機能試作、量産試作、量産の各段階に応じた接合および評価を支援するプログラム。常温接合装置の導入検討から導入・生産まで、当社の持つ人材や設備を活用して、ユーザーを密着サポートし、ユーザーが求める新しいデバイス開発につなげていく。

 接合サンプルは、今月28~30日に東京ビッグサイトで開催される「第21回マイクロマシン/MEMS展」に出展。多様な材料に適用できる当社常温接合装置の利点およびMBSPサービスについて認知を広げ、適用分野拡大、装置拡販に弾みをつけていく。

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