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500トン/日規模 石炭焚き排ガスCO2回収実証試験を開始

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 三菱重工業は、米国の大手電力会社、サザンカンパニー(Southern Company)と共同で、500トン/日規模(発電量2万5,000kW相当)の石炭焚き排ガスCO2回収大型実証プラントの運転を開始した。排ガス中に不純物が多い石炭を対象としたCO2回収実証試験としては世界最大規模で、当社はこの成果をもって、地球温暖化問題の解決に向けた石炭焚き排ガスCO2回収・圧送技術の商用化を目指していく。

 石炭焚き排ガスCO2回収実証プラントは、排出ガスに含まれるCO2を分離・回収・圧送する大型装置で、当社はサザンカンパニーと共同で2009年5月からアラバマ州のバリー(Barry)石炭焚き火力発電所内に建設を進めてきて、このほど完成した。

 プロジェクトは、このプラントの建設と、その運転により分離・回収したCO2を地中深くにある帯水層に貯留するもの。天然ガス焚き排ガスからのCO2回収技術はすでに商用化されているが、石炭焚き排ガスからの回収は技術難度が高く、この規模で本格的な実証試験を行うのは今回が世界で初めてとなる。
 当社はプロセスライセンサーとして、CO2の分離・回収・圧送の基本計画からエンジニアリング、コア機器の供給、さらに実証運転時の技術サポートまでを担当。貯留は、米エネルギー省(DOE)の温室効果ガス対策プロジェクト(Regional Carbon Sequestration Partnership Phase III program)の一環として行われる。

 石炭焚き排ガスCO2回収大型実証プラントは、排ガス処理前設備(脱硫)、排ガスCO2吸収・再生設備、CO2圧送設備、ユーティリティー設備などで構成。CO2回収能力は15万トン/年で、CO2回収率は90%以上。
 当社のCO2回収技術は、関西電力と共同開発した特殊な吸収液(KS-1™)を用いるKM CDR Process®(米国登録商標)と呼ばれるプロセスで、他の方式に比べエネルギー消費量が大幅に少ないのが特長。今回の実証運転では、不純物を多数含む石炭焚き排ガスの条件下でプロセスや装置がどのような影響を受けるかなどを検証しつつ、商用機対応技術の確立に繋げていく。

 サザンカンパニーグループは、総発電容量4,200万kW以上の発電施設を所有する米国最大級の電気事業者で、同国東南部の約440万の顧客に電力を供給している。

 天然ガス焚きからのCO2回収については、すでに商用プラント10基を受注、そのうち8基は運転中で業界トップの実績を誇っている。一方の石炭焚きからのCO2回収については、競合他社と同様、商用化への確認段階にあるが、当社はすでに2006年から国内で地球環境産業技術研究機構(RITE)と電源開発(J-POWER)の協力を得て10トン/日規模の実証試験を実施、CO2回収の連続安定運転の実証を完了しており、今回の実証試験で商用規模での高い信頼性と経済性を確立していく。
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