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次世代型LNG船「さやえんどう“EXTREM”」の開発を完了

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 三菱重工業は、次世代型LNG(液化天然ガス)運搬船として、球形タンクを搭載するMOSS(モス)方式※1を進化させた「さやえんどう“EXTREM(エクストリーム)”」船型の開発を完了した。タンクを船体と一体化した連続カバーで覆うことで船全体の構造を効率化し、軽量・コンパクト化を実現。これにより燃費を改善し、経済性を向上、ターミナルへの適合性やメンテナンス性を高めた。LNG船分野をリードする戦略製品として、早期受注を目指す。

【次世代型LNG船「さやえんどう“EXTREM”」】
 さやえんどうEXTREMの名称は、連続したカバー(さや)の中に、球形タンク(まめ)を納め、さやえんどうに似た外観を持つことに由来する。これまでのMOSS方式では、船体甲板上に突出したタンクそれぞれの上半球部分を半球状のカバーで覆い、下半球部分をスカートと呼ばれる円筒形の構造で支持しているのに対し、タンクすべてを船体と一体構造の連続カバーで覆うことにより、船体の全体強度を確保した。また従来の方式ではタンク頂上の配管、電線、通路を複雑な構造で支えていたが、それらの構造を不要にできるため、メンテナンス性も大きく向上する。
 連続カバーは、推進上抵抗となる風圧を大幅に軽減し、実運航上の燃費低減にも寄与する。さらには、支持構造物や艤装品の露出を少なくできること、氷による衝撃荷重に強い船体にしやすくなることなどから、寒冷地・氷海領域向けとしても適している。

 今回基本設計を終えたタイプは長さ288.0m、幅49.0m、深さ26.0m、喫水11.5mで、総トン数13万8,000トン。球形タンクは4基搭載し、LNGタンク総容積は15万5,000m3となっている。このほか、今後高まってくるNew Panamax型※2などの需要にも対応する。
 MOSS方式の同型船と比べ、タンク中央部に約1.5mの円筒部(ストレッチ部)を挿入することにより搭載LNG量を約8,000m3増加させ、船体鋼材重量は約5%軽減した。また、船体の深さも1m近く削減し、荷役や通行性の面から国内外の主要ターミナルへの適合性を向上させている。

 同船には、蒸気を再度加熱利用することで熱エネルギー効率を高めた新型蒸気タービン機関「MHI Ultra Steam Turbine Plant」(UST:再熱舶用推進蒸気タービン)を主機として採用。小型・軽量化と相まって従来船比20%以上の大幅な燃費低減も実現した。

 MOSS方式のLNG船は、タンク構造の信頼性の高さや、耐スロッシング(揺動に伴うタンク内液面の周期的なうねり)性などから、万一の場合のターミナルからの緊急離岸も容易であり、環境条件の厳しい海域にも適した船型として広く普及している。当社は、MOSS方式の長所を活かすとともに省エネ・地球温暖化抑制性能やLNG輸送能力も高めたさやえんどうEXTREMを、次世代型LNG船の切り札と位置づけ、積極的な営業活動に取り組んでいく。

※1 MOSS方式=自立球形タンクを円筒形の支持構造(スカート)で固定する方式。
※2 New Panamax型=2014年に拡張工事の完了が予定されているパナマ運河を通れる最大船型で、主寸法は長さ366m、幅49m、喫水15.2m。
   従来のPanamax型は長さ294m、幅32.3m、喫水12.0m。

 

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