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舶用エンジンの高圧ガス供給装置を国内初開発、三井造船に初号機納入へ

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 三菱重工業は、舶用エンジンを天然ガスで動かすための高圧ガス供給装置を国内で初めて開発し、初号機を三井造船株式会社に納入することで同社と合意した。同装置によりLNG(液化天然ガス)をエンジンに供給することで、従来の重油燃料に比べCO2排出量を抑え、環境負荷を低減する。当社は今後、同装置を搭載した高付加価値船舶の受注および装置の外販に力を注ぎ、エンジニアリング事業の拡大にもつなげていく。

【当社長崎研究所内 テスト装置】
 この高圧ガス供給装置は、LNGをポンプで高圧化し30MPa(約300気圧)で送り出す方式で、コンパクトかつ消費動力が小さいという特徴を持つ。ポンプの駆動方式に油圧装置を採用したことにより、減速機が不要となり可変速が容易になると同時に、配置の自由度が高まっている。LNG船建造で培った深冷技術※1のほか、舶用エンジン技術や一般機械におけるシール※2に関する技術など、当社が持つ幅広い技術基盤や研究成果を活用して実用化に成功した。
 エンジンの負荷変動にあわせてLNGを高圧化して送り出すユニット、その動力源となる油圧ユニット、LNGを常温まで加熱しCNG(圧縮天然ガス)を製造するユニット、CNGの圧力変動を緩衝するCNGボトルユニット、低圧オフガスを焼却して安全に処理し排熱を熱源に利用するガス焼却ユニットなどで構成する。

 同装置を2ストロークの低速ディーゼルエンジンと組み合わせることで、高効率の推進機関にすることができ、燃料油の代わりにLNG燃料を使うことでSOx(硫黄酸化物)やNOx(窒素酸化物)の排出抑制も実現する。 三井造船への初号機納入は、2013年初めを予定。玉野事業所(岡山県玉野市)に設置され、同社が生産する舶用ディーゼルエンジンによるガス焚き実証試験に使われることになる。

 現在、国際海上輸送においても省エネ・地球環境保護に向けた取り組みが強く求められており、造船業界では環境性能を高めたエコシップの開発が活発化している。こうしたなか当社は、エコシップを船舶・海洋事業で進める高付加価値化の重点製品と位置づけ、ラインアップの拡充を推進。併せて、環境関連技術を国内外へ供与するエンジニアリング事業の強化にも注力している。
 当社は、今回の高圧ガス供給装置を環境関連の有力差別化技術と位置づけ、積極的な提案型営業に取り組んでいく。

※1 深冷技術=LNGや液体窒素など-160~-200℃の液化ガスを扱う技術。
※2 シール=摺動部がある空間内に高圧ガスを閉じ込める技術。


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