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MALS(三菱空気潤滑システム)をフェリーに初搭載、省エネ効果を確認

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 三菱重工業は、泡の力で船体と水の抵抗を減らす「三菱空気潤滑システム(MALS:Mitsubishi Air Lubrication System)」をフェリーに初めて搭載し、5%以上の省エネ効果を確認した。9月27日に就航したマルエーフェリー株式会社(有村 和晃社長、本社:鹿児島県奄美市)の「フェリー波之上」の海上運転によるもの。これにより、高速・やせ型船※に対する燃料消費および環境負荷の低減策としてもMALSの有効性が検証された。

【フェリー波之上】

 フェリー波之上は、当社下関造船所で建造。全長145m、幅24m、喫水6.2m、総トン数8,072トンで、鹿児島-奄美-沖縄を航路とする。

MALSは、ブロア(送風機)を使って船底から吹き出した空気が、細かい気泡となって船底をカーペットのように覆うことで、航行時の船体の抵抗を減らすシステム。

 当社は、海上輸送における地球温暖化対策として、船舶の省エネ技術開発を最重要課題と位置付け取り組んでいる。MALSは2010年に初めて日之出郵船向けモジュール運搬船「YAMATAI」と「YAMATO」に搭載し、優れた省エネ効果を確認している。この技術の適用範囲を拡大するため、技術的には困難と言われた平らな船底部が少ない高速・やせ型船を対象としたシステムを開発、マルエーフェリーの協力のもとにフェリー波之上への搭載が実現した。

 海上運転による速力試験では、波高2.5~3mの悪条件ながら5%以上の燃費改善効果(推進馬力低減)が確認され、高速・やせ型船でも摩擦抵抗の低減効果が得られることが検証できた。これは、本船搭載の推進ディーゼル機関に新たに適用されたNOx(窒素酸化物)排出規制強化による燃費増加分を補うことができるレベル。また、空気がクッションの役目を果たすことで振動・騒音レベルも低減しており、乗り心地の向上にも一役買っている。

 今後は、フェリー波之上の実運航状況をフォローし、MALSの省エネ・CO2削減効果を確認していく。奄美や沖縄の美しい自然を守る環境にやさしい装置としてMALSの活躍が期待される。

 なお、本実証試験は、一般財団法人日本海事協会の共同研究事業による支援も受けている。

※ やせ型船とは、満載喫水線下の容積を船長×船幅×喫水の直方体の容積で割った値(方形係数=Block Coefficient)が小さい船。

  反対に方形係数が大きい船は肥大船という。


【三菱空気潤滑システム「MALS」船底を覆って流れる気泡の様子 (イメージ)】


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