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航空機用エンジンメーカーP&Wの中小型ガスタービン事業ユニットPWPSを買収

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 三菱重工業は、米国の航空機用エンジンメーカー、プラット・アンド・ホイットニー(Pratt & Whitney:P&W)の中小型ガスタービン事業ユニットであるプラット・アンド・ホイットニー・パワーシステムズ(Pratt & Whitney Power Systems:PWPS)を買収することで合意し、P&Wの親会社である米複合企業、ユナイテッド・テクノロジーズ(United Technologies Corporation:UTC)と契約を締結した。

米P&Wの航空機エンジン転用型ガスタービン
 PWPSは航空機エンジン転用型ガスタービンを活用したエンジニアリング・組立・販売を主力に、ガスタービンのサービスやEPC(設計・調達・建設)なども手掛ける。従業員数は約430人。また、同社はイタリアの低温熱源発電用(ORC※)タービンメーカーであるターボデン社(Turboden s.r.l.)も傘下に収めており、今回の買収に伴い、ターボデン社も当社の系列に入る。

 PWPS買収は、大容量の高効率機を中心にガスタービン事業を展開してきた当社が、運用性に優れた航空機エンジン転用型の中小型ガスタービンにも事業領域を広げて、製品ラインアップを強化するのが狙い。PWPSの航空機エンジン転用型ガスタービンはコンパクトな設計と起動時間の早さにより主として非常用発電用として高い評価を受けており、これまで世界中に1,700台以上の納入実績を持っている。今後はさらに再生可能エネルギーのフレキシブルな補完電源として大きな伸張が見込めるほか、新興国の小型電源としても幅広い市場を期待できる。これまでは3万kWクラスの機種が主力であったが、現在6万kWクラスの新機種を開発中で、これによりシェアの大幅拡大を目論む。

 ターボデン社のORCタービンはバイオマスや工場排熱、さらには地熱などの低温熱源を用いて発電や温水供給できるシステムが特徴で、欧州を中心に世界20ヵ国向け300基超の販売実績を持つ。日本においても再生可能エネルギーの固定買取制度によりこれまで利用されていなかった地熱やバイオマスなどの低温熱源を用いた発電事業が増加しており、市場拡大につながると期待される。

 P&Wとは従来よりMRJ(Mitsubishi Regional Jet)に搭載する新型ジェットエンジンの共同開発などを通じて協力関係にあるが、PWPS買収後もガスタービン用エンジン部品の供給や新型機種の開発などで協調関係を継続し、航空機エンジン転用型ガスタービンの事業拡大をはかっていく。

 当社の中期経営計画である「2012事業計画」では、将来的に事業規模を5兆円に伸張させるため、全ての製品事業を「エネルギー・環境」「防衛・宇宙」などの4つの事業ドメインへ集約・再編することで強みとシナジーを最大限発揮するとともに、グローバル展開を加速することを基本戦略としている。この4つの事業ドメインの中でも、エネルギー・環境ドメインは最重点分野と位置づけられ、経営資源の集中投入によって事業規模を急速に拡大させる方針で、今回のPWPS買収もこの戦略の一環。

 当社のガスタービン事業は、高砂製作所(兵庫県高砂市)のみならず米国サバンナ工場(ジョージア州)でも出荷を開始しており、大型ハイエンド機年間生産約50基体制を整えているが、今回PWPSを買収し運用性に優れた中小型機種をラインアップに加えることにより、高効率のハイエンド機との組み合わせでさらに多様な顧客ニーズに的確に対応することが可能となる。
 当社は今後、大型機と航空機エンジン転用型機の双方の長所を生かし、相乗効果でエネルギーの有効利用と環境負荷の低減に貢献するガスタービンの世界シェア30%超の早期達成を目指していく。

※ORC = Organic Rankine Cycle。ORCタービンは沸点の低い有機媒体を用いたタービン。


 

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