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固体酸化物形燃料電池(SOFC)とマイクロガスタービン(MGT)の複合発電システム

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 三菱重工業は、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)とマイクロガスタービン(MGT)を組み合わせた200kW級の加圧型ハイブリッドシステム※1(複合発電システム)で、世界初となる4,000時間超の長時間連続運転を達成しました。本年3月から東京ガス株式会社の千住テクノステーション(東京都荒川区)にて、発電効率が高い加圧型のSOFCハイブリッドシステムの運転に取り組み、発電端出力206kW-AC(交流)、発電端効率50.2%-LHV(低位発熱量)※2の安定した発電性能を実証したものです。

 今回実証運転を行った加圧型ハイブリッドシステムは、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同研究として、当社長崎造船所で2008年度から開発を進めてきたものです。燃料の都市ガスをSOFCに投入し、燃料の化学エネルギーを電力に変換した後、残燃料をMGTによる発電に使うことで省エネ・高効率を実現します。さらに、MGTからの高温排気を、温水・蒸気といった熱供給に利用することで、コージェネレーション(熱電併給)も可能です。

 加圧型ハイブリッドシステムでは、MGTの圧縮機で昇圧した空気をSOFCに供給して酸化剤として利用した後、高温排気をMGTに送りその熱および圧力を残燃料とともに発電に利用します。加圧により電圧が大きく増大する加圧型SOFCの特性を、発電効率向上に活用します。今回のシステムでは、SOFCセルスタックの性能を高め出力密度の増加をはかるとともに、システム系統の簡素化を行うことで、従来システムに比べ設置必要面積を約半分に削減しました。

 加圧型ハイブリッドシステムを設置した千住テクノステーションは、東京ガスが手掛ける最先端のエネルギー技術を、ステークホルダーに紹介する施設を併せ持っています。また、燃料の都市ガス供給機能を備えていることから、今回の連続運転で協力を得たものです。運転は夏場の重負荷期を含め安定状態で推移しました。

 SOFCは、900℃程度の高温で作動するセラミックス製の燃料電池。都市ガスを改質して取り出す水素および一酸化炭素と空気中の酸素を反応させ直接電力を発生します。当社は、風車をはじめとする多様な自然エネルギー発電や、原子力発電、さらには高効率火力発電システムなど、CO2削減に向けた多様な発電方式に取り組んでおり、SOFC技術についても有望視しています。

 当社は、ハイブリッドシステムについては、MGTを販売する株式会社トヨタタービンアンドシステム(愛知県豊田市)を子会社に持つトヨタ自動車株式会社と2008年から共同開発を進めています。
 今回の成功を受け、今後、安全性検証試験を実施し、業務用・産業用ハイブリッドシステム市場の開拓につなげていきます。


<次世代燃料電池SOFCハイブリッド発電システム外観>  <SOFCカートリッジ>     
   

※1 ハイブリッドシステムは、燃料電池を使った化学反応による発電とガスタービン駆動による発電という、異なる性質の発電
   方式を組み合わせたものです。また、温水・蒸気といった熱供給も可能なシステムです。
※2 LHVは蒸発潜熱を含まない発熱量で、蒸発潜熱を含む発熱量はHHV(高位発熱量)です。


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