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三菱重工業は、今年度の社内表彰「Best Innovation(ベストイノベーション)2013」に、燃費やメンテナンス性の大幅な向上を実現した次世代型LNG(液化天然ガス)運搬船「さやえんどう」や、原子力事故現場をはじめ人が近づけない場所で活躍する災害対応ロボット群など14件を選定しました。
その結果、当社の高い技術力を示す新製品賞には、軽量・低騒音で乗り心地向上を実現し、東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ)の新車両に初採用された全自動無人運転車両(AGT)向け台車など6件が選ばれました。また、生産性や業務効率の向上に寄与する取組みを対象とした新業務プロセス賞には、鍛造動翼の調達・生産を中国のサプライヤーと最適化することで達成した大幅なコスト低減策など2件が選定されました。さらに、世界初の革新的な技術が表彰対象となる特別賞/新技術賞には、切削が難しい航空機部品用CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の高速穴あけと計測の自動化技術など4件が選ばれ、自動車の燃費向上と環境改善に貢献するターボチャージャ(過給器)の年間生産能力1,000万台体制構築に向けた取組みなど2件には、当社の技術アピールや企業イメージ向上に大きく貢献したとして特別賞/イメージアップ賞が与えられました。
今回の受賞案件は次のとおりです。
【新製品賞】
・石炭焚超低NOxバーナ(M-PMバーナ)
・蒸気タービン スティール製50インチ/60インチ最終翼群
・次世代LNG船「さやえんどう」
・AGT向けステアリングボギー台車(ゆりかもめ)
・12式地対艦誘導弾(12SSM)
・SMASHシステム(焼却灰水洗)
【新業務プロセス賞】
・鍛造動翼の先進的アプローチによるコスト低減の達成
・ケミカルミリング加工による品質の画一化と生産性向上によるコスト低減を実現
【特別賞/新技術賞】
・航空機部品用CFRP素材に適用した高速穴あけ・計測の自動化技術
・海洋調査船における静粛化技術と定点保持技術
・高品質熱延鋼板を実現可能とした板形状モニタリング技術
・高効率・コンパクト化を実現する自然循環式燃料電池システム化技術
【特別賞/イメージアップ賞】
・原子力災害などの収束を支援するロボット群
・ターボチャージャ1,000万台体制構築に向けた取組み
受賞案件の概要は次のとおりです。( )内は担当部門。
【新製品賞】
◇石炭焚超低NOxバーナ(M-PMバーナ)
(エネルギー・環境ドメイン/技術統括本部)
堅調な需要が期待される石炭焚きのボイラー向けに、石炭燃焼によるNOx(窒素酸化物)の発生を大幅に低減するM-PM(Multiple Pollution Minimum)バーナを開発し、従来製品と比べ20~40%のNOx低減を達成した。当社独自の着火方式の採用に加え、CFD(数値流体力学)解析を用いて空気投入の最適化をはかっている。本バーナにより超低NOxの実現に加えて効率向上なども実現した。
◇蒸気タービン スティール製50インチ/60インチ最終翼群
(エネルギー・環境ドメイン/技術統括本部)
火力発電用蒸気タービンの低圧最終翼群用に、チタン製が常識だった長さ50インチおよび60インチの超長大翼をスティール材で製造することに成功した。同じ翼長のチタン製に比べ約70%のコスト低減を実現。今年度から商用運用されている。競合製品にスティール製はなく、チタン製長大翼の長さも50インチレベルにとどまっている。
◇次世代型LNG船「さやえんどう」
(交通・輸送ドメイン/エネルギー・環境ドメイン/三菱重工舶用機械エンジン株式会社)
船体と一体構造の連続タンクカバーを採用することで、船体の軽量化および航行中の風圧抵抗軽減を実現。加えて、蒸気を再度加熱利用するUST(Ultra Steam Turbine:再熱舶用推進蒸気タービン)により、従来船比約25%の燃費改善を可能とした。また、連続タンクカバーのために、配管・配線などを支える構造物が不要となりメンテナンス性も向上。
◇AGT向けステアリングボギー台車(ゆりかもめ)
(交通・輸送ドメイン/技術統括本部)
新規の操舵機構となる「ステアリングボギー方式」、車両に伝わる振動を軽減する案内輪緩衝機構などの新技術を盛り込んだAGT(Automated Guideway Transit)向けの台車を開発、軽量化と乗り心地向上、低騒音化を達成した。ボギー台車は曲線に追従して回転することで、容易に曲線を通過できる。
◇12式地対艦誘導弾(12SSM)
(防衛・宇宙ドメイン)
島嶼部における防衛力強化をはかるため、陸上自衛隊で現在使われている88式地対艦誘導弾システム(SSM-1)の後継として開発。新規誘導方式の採用などにより、世界最高レベルの性能を持つ。
◇SMASHシステム(焼却灰水洗)
(三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社)
一般廃棄物(ごみ)のセメント資源化において最大のネックであるごみ焼却灰中の塩素量を、安定的に低減させるシステムを、大手セメント会社との共同検討により開発した。セメント工場への焼却灰持込量の拡大、引取先の長期確保と処理委託費用の低減が可能となる。
【新業務プロセス賞】
◇鍛造動翼の先進的アプローチによるコスト低減の達成
(エネルギー・環境ドメイン/技術統括本部)
中国WTB社(無錫市)との共同研究で、サプライヤーの製造設備、鍛造翼生産工程全体にわたる最適化を実施。中国規格材を使うことを前提とする設計変更を織り込み、材料調達から製造までのプロセスを新たに構築することにより、鍛造翼の大幅なコスト低減を達成した。
◇ケミカルミリング加工による品質の画一化と生産性向上によるコスト低減を実現
(交通・輸送ドメイン/技術統括本部)
金属表面を化学的に溶解するケミカルミリング(Chemical Milling:化学研削、エッチング)の再生プロセスなどの適用により、廃液の大幅削減と生産性向上を実現した。具体的には、エッチング溶液攪拌システムおよび溶融アルミ化合物除去システムを導入。加工品質のばらつきを抑え安定化させるとともに、加工時間の短縮化もはかった。この結果、部品加工コストおよび産業廃棄物処理費用の低減に寄与している。
【特別賞/新技術賞】
◇航空機部品用CFRP素材に適用した高速穴あけ・計測の自動化技術
(工作機械事業本部/交通・輸送ドメイン/技術統括本部)
複合材部品の自動穴あけ加工法・計測法の確立や、高速加工するための新工具開発などにより、米国ボーイング社の新鋭中型ジェット旅客機「787」の量産に大きく貢献している。
◇海洋調査船における静粛化技術と定点保持技術 (技術統括本部/交通・輸送ドメイン)
速い潮流や荒天時など厳しい環境下での調査も可能な高い定点保持能力と静粛性の両立を実現した。
定点保持シミュレーションを用いた推力配置の最適化と大規模解析により精度が向上した音波伝搬予測技術が貢献。
◇高品質熱延鋼板を実現可能とした板形状モニタリング技術 (技術統括本部/三菱日立製鉄機械株式会社)
高温・粉塵にさらされる過酷な環境下で鋼板形状を高精度に計測可能な革新的技術を開発した。
従来の光学方式に代わる分割型トルクメーター方式の採用などにより、耐環境性に優れた高精度計測技術を実現。
◇高効率・コンパクト化を実現する自然循環式燃料電池システム化技術 (技術統括本部/防衛・宇宙ドメイン/交通・輸送ドメイン)
ブロアを使わないコンパクト・高効率・高信頼性燃料電池システムの実海域試験に世界で初めて成功した。
新ガス循環機構や高耐久セルの採用により、大型化や信頼性低下の要因であったブロアや加湿装置の削減に成功。
【特別賞/イメージアップ賞】
◇原子力災害などの収束を支援するロボット群
(エネルギー・環境ドメイン/広報部)
「MHI-MEISTeR」「MHI-Super Giraffe」「櫻弐號」の3種類の災害対応ロボットは、新聞、テレビ、雑誌などを通じて国内だけでなく海外にも広く紹介され、好評を博した。産学官の評価も高く、保守・補修などの作業ができるMEISTeRと高所作業用のSuper Giraffeは国のプロジェクトでも活躍している。
◇ターボチャージャ1,000万台体制構築に向けた取組み
(汎用機・特車事業本部)
ターボチャージャは低コストで自動車の燃費性能向上と環境改善に対応できる技術であり、ハイブリッド車に対抗するエコ技術であることが数多くのメディアで取り上げられた。当社のターボチャージャに関する優れた技術力、コスト競争力、高品質、顧客対応力が報道されたことにより、当社ターボチャージャの製品イメージ向上に貢献した。
【LNG運搬船「さやえんどう」】 【災害対策ロボット「MHI-MEISTeR」】
担当窓口:社長室 企画部、技術統括本部
三菱重工グループについて
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