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石炭燃焼排ガスを対象とした世界最大のCO2回収プラントを受注

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 三菱重工業は、米国の独立系発電事業者(IPP)トップであるNRGエナジー社(NRG Energy Inc.:NRG)とJXグループのJX日鉱日石開発株式会社が中心となって米国テキサス州で推進する原油増進回収(EOR)プロジェクトのための超大型商用CO2回収プラントを受注しました。排ガス中に不純物が多い石炭焚き火力を対象とした世界最大のCO2回収プラントで、CO2回収能力は4,776トン/日。完成は2016年第4四半期の予定です。

 今回のCO2回収プラントは、プロジェクトの実施主体の一つである、NRGグループの特別目的会社(SPC)ペトラノヴァCCS I社(Petra Nova CCS I LLC)から、当社の米国事業会社である米国三菱重工業(Mitsubishi Heavy Industries America, Inc.:MHIA)を通して受注しました。コンソーシアム・パートナーは、米国の建設会社の The Industrial Company社(TIC)です。
 JX日鉱日石開発は、ペトラノヴァCCS I社の親会社※1に対し、プロジェクト会社を通じて50%出資することにより、このプロジェクトに参画します。

 プロジェクトは、テキサス州ヒューストン中心部から南西約60kmに位置するNRGグループ保有の石炭焚き発電所(W.A. Parish発電所8号機)より放出される燃焼排ガスからCO2を分離・回収し、回収したCO2を同州の老朽油田であるWest Ranch油田に注入することで、原油の増進回収をはかるものです。

 今回のCO2回収プラントは、排ガスの前処理設備(脱硫)、CO2吸収・再生設備、CO2圧送設備、ユーティリティー設備などで構成されます。CO2回収能力は世界最大の4,776トン/日で、CO2回収率※2は90%です。
 当社はペトラノヴァCCS I社に対し、MHIAを通じてCO2回収技術ライセンスを供与します。また、CO2回収プラントとその付帯設備建設のEPC(設計・調達・建設)は、MHIAとTICのコンソーシアムが請け負います。

 当社のCO2回収技術は、関西電力株式会社と共同開発した高性能な吸収液KS-1™を用いるKM CDR Process®と呼ばれるプロセスで、他の方式に比べエネルギー消費量が大幅に少ないのが特徴です。この優れたパフォーマンスが高く評価され、国内外で多くのCO2回収プラント納入実績を有して業界トップの業績を誇っています。

 石炭焚き排ガスを対象としたCO2回収には、各種不純物が含まれるため高度な処理技術が必要ですが、当社はこの分野でも多くの実証を重ねてきました。当社は2006年から国内で電源開発株式会社の協力を得て10トン/日規模の実証試験を実施、CO2回収の連続安定運転の実証を完了。最近も、米国の大手電力会社、サザンカンパニー(Southern Company)と500トン/日規模の石炭焚き排ガスからの大規模CO2回収・貯留一貫実証試験共同試験を実施し、昨年12月に所定の目的を達成して、商用化への展開を進めていました。
 今回の石炭焚き排ガスを対象とした超大型CO2回収プラントの受注は、このような実績が高く評価されたことによるものです。

 本件は、CO2回収と老朽油田からの原油増進回収(EOR)という、環境とエネルギーを両立させる先進のソリューション型プロジェクトです。当社はこの日米共同で推進するプロジェクトにおいてCO2回収プラントを安定稼働させることにより、この意義ある事業の一翼を担っていくとともに、今後も、この分野への積極的な取り組みを通して、持続可能な環境保全と経済発展に貢献していく考えです。

※1 ペトラノヴァ・パリッシュホールディングス社(Petra Nova Parish Holdings LLC)
※2 CO2回収率(%):燃焼排ガス中に含まれるCO2量に対する、当社CO2回収プラントで回収されるCO2量の割合。


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