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カナダ・サスカチュワン州でCO2回収・利用・貯留
日本のコンソーシアムが現地機関との共同調査に合意

一般財団法人石炭エネルギーセンター
三菱重工業株式会社
三菱日立パワーシステムズ株式会社
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 一般財団法人石炭エネルギーセンター(JCOAL)、三菱重工業株式会社(MHI)、および三菱日立パワーシステムズ株式会社(MHPS)で構成する日本コンソーシアムは、カナダのサスカチュワン州(Saskatchewan)におけるCO2回収・利用・貯留(CCUS:Carbon Capture, Utilization and Storage)プロジェクトに、将来日本の技術を導入することについての案件形成調査(フィージビリティ・スタディ)に取り組むことで、現地の国際CCS学術センター(The International CCS Knowledge Centre)※と合意しました。

 この調査は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けています。調査の目的は、サスカチュワン州のCCUSプロジェクトにおいて、石炭火力発電所からの排ガスに対してCO2回収システムと大気環境対策システム(AQCS:Air Quality Control System)を組み合わせてCO2を回収する日本の技術がどう応用できるか見極めるとともに、世界のその他の地域でも適用可能かを検討することにあります。

 CO2回収技術は、気候変動に対する国際的な目標を達成するために重要な役割を果たす技術として認められています。日本コンソーシアムは今回のプロジェクトを通じ、CO2回収システムおよび大気環境対策システムを、サスカチュワン州における規制や要求に適合するかたちで、技術的および商業的観点から最適化するとともに、カナダのCO2排出量削減に貢献することを目指しています。

 サスカチュワン州が今回のプロジェクトにおける候補地に選ばれたのは、一つには同州がCO2回収・貯留(CCS)についての専門知識を十分蓄積していること。もう一つは、国際CCS学術センターが、同センターの母体である州立電力会社のサスクパワー社(SaskPower:Saskatchewan Power Corporation)が持つCO2回収の知見を活用できるためです。

 JCOALは、経済産業省の指導の下で、石炭の採掘から利用まで総合的展開を推進する機関です。鉱業、発電、製鉄・製鋼、エンジニアリング、技術コンサルティング、重工業、貿易といった石炭関連産業に関わる幅広い企業や団体が、同機関の賛助会員となっています。今回の調査にあたっては、調査レポートの取りまとめを担当します。

 MHIが関西電力株式会社と共同で開発した、KM CDR Process®として知られるCO2回収技術は、高性能な吸収液(KS-1™)を用いる化学吸収法で、エネルギー消費量が従来法と比べ大幅に少ないのが特徴です。KM CDR Process®はその卓越した性能が高く評価され、稼働中の11ヵ所のCO2回収プラントで採用されているほか、現在2ヵ所(米国および日本)で建設中のCO2回収プラントでも採用されています。
 石炭焚き排ガスを対象としたCO2回収には、ガス中に各種不純物が含まれるため高度な処理技術が必要で、MHIは2006年から国内で電源開発株式会社の協力を得て10トン/日規模の実証試験を実施し、CO2回収について連続安定運転の実証を完了しました。また、米国の大手電力会社であるサザンカンパニー(Southern Company)と、500トン/日規模の石炭焚き排ガスからの大規模CO2回収・貯留一貫実証試験を共同実施し、商用化への展開を進めてきました。今回のCCUSプロジェクトでは、これらの実績によって培ったCO2回収技術を活用します。

 MHPSは、MHIと株式会社日立製作所の火力発電システム事業を統合して2014年に発足した合弁会社です。同社はサスカチュワン州と発電分野で45年間にわたる協力関係を築いており、地域内の発電設備を供給してきました。また、火力発電設備で発生する煙道ガスからSOx(硫黄酸化物)を除去するための排煙脱硫(FGD)プラントを世界中で300基超供給した実績があり、今回のCCUSプロジェクトではFGDプラントによる排煙処理技術を担当します。

※ 国際CCS学術センターは、世界最大の鉱業会社であるBHPビリトン(BHP Billiton Limited & Plc)とサスクパワー社の共同参画により設立された非営利機関で、サスクパワー社のCO2回収に関連する情報の共有化を通じてCO2 回収の促進を目指しています。同センターは、サスカチュワン州レジャイナ市(Regina)にあります。


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