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三菱重工工作機械、スーパースカイビング盤「MSS300」を開発

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 三菱重工グループの三菱重工工作機械株式会社(社長:白尾 誠二、本社:滋賀県栗東市)は、加工が難しい内歯車も高速・高精度に加工できるスーパースカイビング盤「MSS300」を開発しました。これまでのスカイビング(Skiving)加工が抱えてきた技術的課題を、優れた機械剛性および同期制御技術、専用切削シミュレーションソフトなどによりクリアしたもので、量産効果により生産コストの低減がはかれます。

 スカイビング加工は、生産能率と加工精度の高さに対するニーズの高まりに伴い、自動車や建設機械、各種減速機などの製造現場で近年広がってきました。ピニオンカッターなどの回転工具をワーク(加工対象の歯車材)に対して軸交差角度を与えて取り付け、両方を同期回転させることで切削加工する技術です。両方の接触点では軸交差角度の影響で工具の軸方向にすべり速度が発生して、高速加工が可能になります。半面、切削角度(すくい角)が鈍角となりやすい加工法であるため、工具の消耗も顕著であるという課題があります。

 MSS300は、三菱重工工作機械が独自開発した樽形の多刃回転工具「スーパースカイビングカッター」を用いた加工では、大きな軸交差角を取ることができ、切削速度と加工精度がさらに向上するとともに、多刃であることから工具の大幅な長寿命化につながります。また、一般的なピニオンカッターでの加工も可能で、ワーク形状に応じて使い分けることができます。

 工具を装着する主軸とワークを取り付けるテーブル軸には、いずれもダイレクトドライブモーターを採用。高い同期精度を実現するとともに、連続的なかみ合い加工により工具の歯形が高い精度でワークに転写されることで高精度加工が可能になります。X・Y・Zの直線3軸の送りにはすべり案内面を採用し高い剛性を実現しています。また、熱や力の流れを考慮してバランスに優れる左右対称構造とすることなどにより、優れた位置決め精度を確保し、安定した高精度加工ができます。

 三菱重工工作機械は、各種歯車加工の機械と切削工具の両方を手掛ける強みを活かし、引き続き先端的な歯車加工技術の開発、機械と工具のベストソリューション提案に努め、歯車加工のさらなる高精度化と生産性向上に貢献していきます。

 11月17日(木)に東京・有明の東京ビッグサイトで開幕する「JIMTOF2016 第28回日本国際工作機械見本市」で披露し、本格販売を開始します。
スーパースカイビング盤「MSS300」の主な仕様
項目 仕 様
ワーク最大径 φ300mm
加工対象モジュール 4.0mm
主軸最高回転数 6,000回転/分
主軸モーター出力 33kW(連続定格)
テーブル最高回転数 3,000回転/分
カッターヘッド旋回角度(A軸) ±30°

スーパースカイビング盤「MSS300」

スーパースカイビングカッター

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三菱重工グループについて

三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。
長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現 に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、 人々の豊かな暮らしを実現します。

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