Press Information

スウェーデン・リングハルス原子力発電所3号機の加圧器管台取替工事を完了

Print

 三菱重工業は、スウェーデンのリングハルス電力(Ringhals AB)から受注していた加圧水型軽水炉(PWR)の加圧器管台(ノズル)取替工事を完了しました。同国南部にあるリングハルス原子力発電所3号機向けの工事で、継手部分の合金を耐腐食性の一層高いものに変更することで信頼性の向上をはかったものです。当社にとっては欧州初となる原子力発電設備の大型保全工事であり、豊富な経験を持つ技術者を投入して計画通りに短期集中で完遂しました。

 今回の工事は、当社が技術検証、認証試験、装置製作、材料調達および現地工事を請け負ったものです。3号機が定期点検で停止中の約2ヵ月間に、加圧器(高さ12m、直径2.4m)の管台6ヵ所の継手部を、600系ニッケル基合金からクロムの含有比率が高い690系ニッケル基合金に交換することにより、高温・高圧下での耐腐食性を高め、信頼性向上をはかりました。

 加圧器は、PWRの1次冷却設備に設置され原子炉系を常に一定圧力に保つ重要な機器で、スウェーデンの原子力規格への適応に加え、現地工事にも万全を期すべく、実寸大モックアップを使用した検証等、約2年間にわたり事前検証・トレーニングを行い、現地では狭隘かつ放射線量の高い環境下、高難度の溶接作業等を実施。100人超の体制かつ約45日間の昼夜勤連続対応となりましたが、リングハルス電力の全面的な協力も得て、円滑に工事を遂行することができました。

 今回の工事完遂を受け、リングハルス電力プロジェクトマネージャーのローランド ガブリエルソン氏(Mr. Roland Gabrielsson)は「三菱重工は原子炉建屋内の難しい環境下において非常に複雑な工事をやり遂げた。全ての作業は高品質、納期通りかつ安全に遂行され、三菱重工とはプロジェクト期間を通して素晴らしい協調関係を構築することができた」と語っています。当社プロジェクトマネージャーの髙原淳は「国内とは勝手が異なる今回の工事を各自で工夫し、お客様と一丸となって高品質かつ納期通りに完了できたことが、今後の自信につながりました」と話しています。

 リングハルス原子力発電所は、スウェーデン第2の都市イェーテボリ(Göteborg)の南方約60kmに位置しており、3号機は出力103万4,000kWで、1981年に運転が開始されています。

 リングハルス電力は、スウェーデン国営の総合エネルギー会社であるバッテンフォール社(Vattenfall AB)の傘下企業で、当社はリングハルス電力に、取替用上部原子炉容器や取替用原子炉制御棒駆動装置を納入した実績を持っています。今回の受注は、過去の納入で当社が示した技術力および品質、信頼性などに加え、日本での加圧器管台工事の豊富な実績が評価されたことによるものです。

 当社は、PWRプラントのリーディングカンパニーとして、今後とも既設原子力発電設備の保全分野にも積極的に取り組み、電力の安全・安定供給に貢献していきます。

mission_net_zero

三菱重工グループについて

三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。
長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現 に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、 人々の豊かな暮らしを実現します。

詳しくは: