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米国ボーイング社787向け複合材主翼の初号機を出荷

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 三菱重工業は14日、米国ボーイング社の次期主力旅客機787向け複合材主翼の初号機を名古屋航空宇宙システム製作所大江工場(愛知県名古屋市港区)から出荷する。翼長約30mの大型旅客機主翼に世界で初めて複合材を採用したもので、初号機は、同工場に隣接する東名古屋港埠頭から船で中部国際空港へ運ばれてのち、専用貨物機(ドリームリフター)でボーイング社エバレット工場(ワシントン州エバレット市)へ輸送される。大江工場ではこの出荷に先立って13日、これを記念する式典を行った。

米国ボーイング社787向け複合材主翼 初号機出荷式
 新型旅客機787は、全長57m、翼幅60m、全高17m(以上、標準仕様)の中型機で、座席数は210~250席。革新的な設計・製造手法の導入、最先端材料の採用、パートナー企業との新たな協力関係の確立など、民間航空機の歴史に新たな地平を切り拓きながら、ボーイング社が開発を進めているもので、機体構造に占める日本メーカーの分担比率は過去最高の35%。このうち、当社の担当は複合材を採用した主翼の製造で、大型旅客機の主翼を手掛けるのは、ボーイング社、エアバス社などの機体取り纏めメーカー以外では今回の当社が初めて。

 当社はこのため、世界最大級のオートクレーブ(複合材硬化炉)を導入して複合材部品の成形を行う複合材工場と、大型主翼の組立を手掛ける組立工場をそれぞれ2006年6月と9月に名古屋航空宇宙システム製作所に新設、また、複合材主翼に組み込む強度部材(ストリンガー)を生産する専用の航空機工場を同年4月、下関造船所(山口県下関市東大和町)に建設して、787の複合材主翼の製造に取り組んできた。

 主翼に採用した複合材は炭素繊維と樹脂を組み合わせた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)。従来のアルミ合金やチタン合金に比べ強度・剛性および耐蝕性に優れている。
 ボーイング社によれば、複合材の採用による軽量化に加え、先進エンジンの適用、最新の空気力学に基づいた機体形状などにより、従来機比約20%の燃費向上と約30%の整備コストの低減が期待できる。

 ボーイング787は現在、2007年の初飛行、2008年の就航を目指し、試作初号機製造の仕上げの作業が進められているが、当社は、今回の主翼初号機の出荷を新たな出発点として、これからも、長期にわたり数多くの需要が見込まれる787の主翼に取り組み、大型複合材主翼設計・製造において比類ない技術を確立して「世界の主翼センター」としての地位を築いていく。

 


Tags: 民間機,北米,民間機セグメント
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