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常温ウェーハ接合装置

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 三菱重工業は、次世代デバイスの高効率・低コスト生産を可能にする常温ウェーハ接合装置※1の本格的な量産に乗り出す。これまで開発・組立を進めてきた技術本部先進技術研究センター(横浜市)から製造拠点を工作機械事業部本工場(滋賀県栗東市)に移し事業化を加速させていくもの。

常温ウェーハ接合装置
 常温ウェーハ接合装置は、MEMS※2が形成されたウェーハを常温で接合することにより、デバイスを封止(パッケージング)するマシン。常温でのウェーハ接合を産業レベルで実現した世界初の装置で、加熱を行わないことから熱ひずみがなく、急速に進行しているMEMSの小型化、高精度化に対応する。また、加熱とそれに伴う冷却の時間が不要なため、従来の接合方法に比べ大幅なコストの低減と工程の短縮を実現。さらに、接合材料の選択肢が広く、シリコン、シリコン酸化膜、金属、一部セラミックスなどが接合可能で、応用分野が広いなどの優れた特徴を持つ。

 常温ウェーハ接合装置は、研究試作用装置と量産対応装置の2機種をラインナップし、技術本部とプロジェクト体制を組み事業化を推進してきたが、十分な市場性が見込めることから、担当事業部である工作機械事業部にクリーンルームを新設、本格的な量産体制に踏み切る。

 MEMSデバイス市場は現在8,700億円規模。年間15~20%の伸長を続ける成長市場で、2010年には約1兆円を超えると予想される。この市場をターゲットとする接合装置市場も徐々に広がりつつあり、MEMSデバイスの成長に沿ってさらに拡大する見通し。
 当社はこの市場で早期にトップブランドの地歩を固めたい考え。自動車、携帯電話、電機・電子業界向けに幅広く販売を見込むとともに、3次元積層LSI製造分野への適用にも積極的に注力、事業拡大をはかっていく。

※1 常温接合=

加熱することなく、シリコンなどの原子同士を室温で接合させる技術で、ひずみのない、信頼性の高い強固な結合をつくり出すことができるのが特徴。通常、これらの材料の表面は酸化物や汚れで覆われているが、真空中でアルゴンなどの原子ビームを照射し、表面の不純物を除去すると、清浄化され活性化された材料表面の原子それぞれに“結合の手”が現れる。この結合の手が現れた材料の表面に、同じように活性化して結合の手が出たもう一つの材料を押し当てると、双方の手が結び合って一つの物質のように強く結合することを常温接合という。その接合の強さは母材並みといわれる。
   
※2 MEMS= Micro Electro Mechanical Systemsの略。IC製造プロセスを基盤とした微細加工(マイクロマシニング)技術によるマイクロサイズのセンサ、アクチュエータ、制御回路などを集積化した微細システムのこと。自動車のエアバッグ用加速度センサやプリンタのインクジェットヘッドなどがMEMSの代表例。

Tags: 産業機械,アジア,I&Iドメイン
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