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インド尿素肥料会社にCO2回収技術を供与

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 三菱重工業は、インドの尿素肥料会社であるNFCL社(Nagarjuna Fertilizers and Chemicals Limited)に二酸化炭素(CO2)回収技術を供与する。NFCL社が肥料増産用に新設する尿素肥料製造プラントに供するもので、CO2回収能力は世界最大級の450トン/日。プラントは2009年6月完成予定。

 今回供与するのは、天然ガスを燃料とする尿素肥料製造の工程で放出される燃焼排ガスからCO2を回収し、尿素合成プロセスに原料として供給する技術。 尿素肥料の製造工程は、アンモニア製造と尿素製造からなるが、アンモニア製造の一次改質炉から放出される排ガス中に含まれるCO2を特殊な吸収液(KS-1)を用いて分離・回収し、アンモニアと合成して尿素を生産する。排ガスからのCO2回収率は約9割。取扱商社は三菱商事。

 NFCL社の尿素肥料製造プラントは、チェンナイの北東約700kmに位置する、同国南東部のKakinada市(Andhara Pradesh州)にある。今回の新設プラント建設は、原料が従来のナフサから2009年に天然ガスに転換されることにより既存設備では尿素生産が低下することから、生産量の維持・増産を目的に導入されるものだが、同社は、これまで大気に放出していた排ガスからCO2を回収することによる環境保全での貢献もプロジェクトの重要な狙いと位置づけている。
 なお、プラントの建設は同国のエンジニアリング会社であるTecnimont ICB社が行なう。

 当社のCO2回収技術は関西電力と共同で開発したもので、他の方式に比べエネルギー消費量が大幅に少ないのが特長。プラント初号機(回収能力200トン/日)は、マレーシアの尿素肥料工場に納入され、1999年から順調に稼動しているほか、2005年には、インド最大の尿素肥料会社IFFCO社の2工場に回収能力各450トン/日、2006年には、アラブ首長国連邦の尿素肥料会社FERTIL社に同400トン/日、さらに2007年にはバーレーンの石油化学会社 ガルフ・ペトロケミカル・インダストリーズ社(GPIC)に同450トン/日のCO2回収技術を供与している。今回の成約は、これら実績が高く評価されたもので、この技術に対しては現在も引き続き、各方面から数多くの引き合いが寄せられている。

  CO2回収技術は、尿素肥料のほか、メタノールやディメチルエーテル(DME)などの化学用途、炭酸飲料、ドライアイスなどの食品用途、さらには、生産性が落ちた油層にCO2を圧入して生産増加をはかる原油の三次回収用途 (EOR)などに利用が可能。

 とりわけ、EORは、昨今の原油価格の高騰に伴い急速に需要が高まっている。CO2を油層に固定化することによって、温暖化ガス削減にも大きく寄与できる可能性があるため、中東諸国を中心に世界的にも脚光を浴び、今後、大規模な市場となっていくことが予想されている。当社は、今回のような化学的利用分野はもちろん、このEOR分野に対しても積極的にアプローチしていく。

 

 

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