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メタン(CH4)から水素(H2)と固体炭素(C)を直接生成へ
プラズマ熱分解技術をリードする米国モノリス社に出資

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◆ CO2 フリーの "ターコイズ水素" を取り出し、利用価値の高い固体炭素(カーボンブラックなど)も製造する技術
◆ エナジートランジション事業における革新的技術の一つとして、水素バリューチェーンの強化・多様化につなげる

モノリス プロセス

米国ネブラスカ州にて運転中の商用規模プラント

三菱重工業は、米国統括拠点である米国三菱重工(Mitsubishi Heavy Industries America, Inc.)を通じて、天然ガスなどに多く含まれるメタン(CH4)からプラズマ熱分解方式で水素(H2)と固体炭素(C)を取り出す革新的技術を持つ米国のモノリス社(Monolith Materials, Inc.)に出資しました。天然ガスの直接熱分解により、水素製造過程でCO2 を排出しない、いわゆる "ターコイズ水素" (注)およびカーボンブラックなど利用価値の高い固体炭素を製造できる技術を獲得することにより、当社グループが戦略的に取り組むエナジートランジション(低環境負荷エネルギーへの転換)事業における革新的代替技術の一つとして、水素バリューチェーンの強化・多様化につなげていくのが狙いです。

モノリス社は2012 年にカリフォルニア州で設立され、現在は天然ガス埋蔵量が豊富で肥料用途のアンモニア需要が高く、タイヤ産業地域にも近い、米国中部ネブラスカ州を本拠としています。タイヤなどの原料となるカーボンブラックをはじめとする固体炭素を、低質石油やコールタールなどを燃焼させて製造する従来のプロセスに代えて、再生可能エネルギー由来電力を利用した天然ガスのプラズマ熱分解により、CO2 排出を大幅に減らしクリーンに生成する技術を柱に成長。2014 年には、カリフォルニア州で建設した実証設備において、カーボンブラック700 トン/年の製造実証に成功しています。現在は、ネブラスカ州で同1 万4,000 トン/年の製造プラントを運転中で、カーボンブラック18 万トン/年の生産容量を持つ商用プラントの建設計画も進んでいます。

欧米や日本を中心に脱炭素社会の実現に向けた水素の重要性が議論されるなか、再生可能エネルギー由来電力を利用した水電解技術で製造されるグリーン水素、化石燃料の水蒸気改質プロセスにCCUS(CO2 回収・利用・貯留)を組み合わせることでCO2 を排出しないブルー水素などと並び、天然ガスに含まれるメタンの熱分解により製造されるターコイズ水素を含む多様なクリーン水素製造技術が求められることを踏まえ、当社もこうした需要に応えられる技術への積極アプローチを展開するものです。

米国三菱重工の白岩良浩CEO は、今回の出資について次のように述べています。「モノリス社は、メタン熱分解を商用レベルにスケールアップするという長年の課題を解決することで、CO2 フリー水素製造におけるリーダーに台頭しました。私たちは幅広く脱炭素技術を評価するなかでモノリス社の技術は非常に有望と見ており、出資者となれたことで今後の展開を期待しています」。

また、モノリス社のRob Hanson 共同創設者兼CEO は次のように述べています。「グローバル市場でモノリス社の技術を最適に展開していくためには三菱重工とのパートナーシップが必要です。今回のパートナーシップは、CO2 フリー水素を世界標準にするために今後投資機会を評価していく上でのモデルとなると考えています」。

今回のモノリス社への出資により、同社の再生可能エネルギー由来電力を熱源とするプラズマ熱分解技術による水素の製造・供給分野に進出するとともに、製造された水素を活用した発電システムや肥料製造設備、製鉄所など産業全体の脱炭素化に向けた技術革新を探求していきます。

三菱重工グループは、水素バリューチェーンの強化、多様化により、脱炭素社会の実現、社会の持続可能な発展に貢献していきます。

モノリス社について

モノリス社は、再生可能エネルギーを使用し、天然ガスをカーボンブラックと水素に変換する環境観点から優れた独自プロセスを保有する次世代化学・エネルギー企業です。同社は、今回出資した三菱重工以外にAzimuth CapitalManagement、Cornell Capital LLC、Imperative Ventures、およびWarburg Pincus の4 社から出資を受けています。モノリス社の詳細については、www.monolithmaterials.com をご参照ください。

  • 水素の製造法は多彩で、環境負荷の低い水素であるかどうか確認を容易にするため、その製造プロセスにおけるCO2 排出量などの環境負荷度合についてカラーイメージで識別することが世界的に広まってきており、グリーン、ターコイズ(トルコ石の青さの意)、ブルーなどがクリーン水素とされています。

Tags: モノリス,脱炭素,ターコイズ水素,エナジートランジション
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三菱重工グループについて

三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。
長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現 に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、 人々の豊かな暮らしを実現します。

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