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MHIETが純水素を燃料とした水素エンジンの燃焼試験を実施
産総研と共同で脱炭素・水素化社会を見据え、水素100%の安定燃焼を実現へ

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◆ 従来のディーゼルやガスエンジンを母体とした水素エンジンの開発と実用化への取り組みを強化
◆ 産総研に設置した単気筒エンジンにおいて水素を100%とした安定燃焼を実現
◆ 1MW級水素エンジンを2030年代の水素利用に向けて実用化へ

三菱重工グループは、CO2排出ゼロを目指した各種の製品開発に取り組んでいます。その中でグループ会社の三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社(MHIET、社長:梶野 武、本社:相模原市中央区)は、従来のディーゼルエンジンやガスエンジンを母体とした水素エンジンの開発と実用化に向けた取り組みを強化しています。今回、その一環として、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研、理事長:石村 和彦氏)との共同研究により、水素エンジンの運転試験を実施しました。MHIET製の4ストロークレシプロガスエンジン「GS6R2~GS16R2」シリーズ(ピストン径170mm × ストローク220mm)を改良した単気筒エンジンを、産総研 福島再生可能エネルギー研究所(福島県郡山市)に設置。試験を通じ、CO2を排出せずクリーンな水素を100%として安定燃焼できる条件を見出しました。

MHIETと産総研は、水素エンジンの燃焼研究に2019年度から共同で取り組んできました。MHIETと三菱重工業の総合研究所は、水素燃焼技術と、産業用ディーゼルエンジン、天然ガスエンジンの知見を利用し、水素エンジンの設計と製作、燃焼条件の検討や試験データの評価・分析を実施。産総研は、大型発電用、高出力・高熱効率・低NOx(窒素酸化物)水素エンジンの燃焼技術を開発した実績をもとに、水素エンジンの水素供給設備と試験ベンチの構築・装置運転によるデータ取得を担当しました。

水素は、可燃範囲が広く燃焼速度が大きいという特徴があり、バックファイアやノッキング(注1)などの異常燃焼が発生しやすいという課題があります。今回の試験では現在MHIETが販売している希薄燃焼ガスエンジンGSRシリーズを基本とし、水素の燃焼特性に合わせて、水素燃料供給方法、着火方法、給気弁閉じ時期、空気過剰率などを見直すことで、水素専焼・予混合方式での安定燃焼条件を明確にしました。今回、6気筒換算で340kW、16気筒換算で920kWまでの試験運転に成功。この結果をベースに、さらに試験データを積み重ねて取得することで多気筒エンジンの開発につなげ、2030年代の水素利用に向けて1MW(1,000kW)級水素エンジンを実用化することを目標にしています。

MHIETはさらに将来的に、2019年度に発表したトリプルハイブリッド自立給電システム(注2)の発電設備「EBLOX(イブロックス)」に使用しているガスエンジン発電機を水素エンジンに変更することで、太陽光発電+バッテリー+水素エンジンによるCO2排出のない自立給電システムを完成させた分散型エネルギーソリューションを提供し、将来の脱炭素社会の実現とエネルギーの安定供給に貢献していきます。

  • 1バックファイア(逆火)は、エンジンの吸気側に火が逆流する現象でありエンジン吸気系の損傷につながります。ノッキングは、点火時期が早すぎる場合や圧縮比が高すぎる場合に、混合気が自着火してシリンダ内圧が急激に上昇し、打撃音、振動、エンジン内部部品損傷の原因となるものです。
  • 2太陽光などによる再生可能エネルギー発電とレシプロエンジン発電および蓄電池を組み合わせ最適な安定制御ができるシステムです。詳しくは以下のURLをご覧ください。
    http://www.mhiet.co.jp/news/20190624.html

産総研 福島再生可能エネルギー研究所に設置された水素エンジン


Tags: エナジートランジション,脱炭素,水素,エンジン ,分散型電源,BCP,レジリエンス
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