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チリ・グアコルダ社の石炭火力発電所に対するアンモニア混焼導入へ覚書に調印 30%混焼実証に向けた詳細検討を2026年までの2フェーズで実施

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◆ 三菱重工が主要設備を納入した石炭火力発電所において、アンモニア混焼を検証
◆ 既存インフラのCO2排出量削減・有効活用につなげるグアコルダ社の取り組みを支援

調印式の様子

調印式の様子

三菱重工業は、チリの独立発電事業者(IPP)であるグアコルダ社(Guacolda Energía SpA)が同国北部で運営する石炭焚き火力発電所でのアンモニア混焼の導入に向けた事業化調査(Feasibility Study:FS)を開始することで合意し、12月6日にMOU(覚書:Memorandum of Understanding)に調印しました。CO2排出量削減に向けた世界的潮流を受けたもので、同発電所の環境負荷低減につなげるのが狙いです。

スチームパワープラント事業の中核拠点である長崎造船所にグアコルダ社の一行を迎えてのMOU調印式には、同社を代表してホルヘ・ロドリゲス(Jorge Rodríguez)会長らが出席。当社からはエナジートランジション&パワー事業本部でSPMI事業部長を務める外野 雅彦が出席しました。

この発電所は、首都サンティアゴの北方約700kmに位置するアタカマ(Atacama)州ウアスコ(Huasco)地区にあります。5系列の発電ユニットで構成されており、総出力は75万8,000kW。当社がボイラーや蒸気タービンほか主要設備を納入したものです。

本MOUに基づくFS計画で、当社はアンモニア混焼に向けたアンモニアバーナーをはじめとする混焼に必要なボイラーの装置・機器の検討、供給について調査を行います。2024年までのフェーズ1で、アンモニア30%混焼の基礎検討を実施して、課題を抽出。2025~2026年のフェーズ2では、フェーズ1で抽出された課題の解決案検討、ならびに30%混焼の実証に向けた詳細設計に取り組みます。将来的には、同発電所での実証試験および混焼率の拡大を目指すものです。

チリは2050年までのカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、非従来型の再生可能エネルギー源を同国のエネルギーミックスに組み込むことを計画しています。また、再生可能エネルギー資源が豊富であるチリは世界でもグリーンアンモニア生産のポテンシャルの高い国として注目されており、グアコルダ社も同発電所の運営継続に向けたCO2排出削減・環境負荷低減策として、アンモニア混焼に着目。同発電所の主要設備を手掛け、アンモニア混焼技術でも先導的な地位にある当社とのMOU調印につながりました。

グアコルダ社のロドリゲス会長は、次のように述べました。「温室効果ガスを削減するための合理的な施策として、化石燃料使用を徐々に減らすことから検討する必要があります。グリーン水素、グリーンアンモニア、長期貯蔵技術などの地球環境に優しいエネルギー源・技術も組み合わせながら、経済的で安全かつ電力システム全体の安定性を確保しながら進めることが重要です」。

一方、三菱重工の外野SPMI事業部長は次のように述べました。「脱炭素化の取り組みに対して積極的であり、かつ再生可能エネルギーとこれを由来とするクリーン燃料の観点で世界から大きな期待を寄せられているチリにおいて、アンモニア混焼を検討する本FSを取り進められることを非常に光栄に思います。三菱重工の持つ革新的なアンモニア混焼技術と、グアコルダの持つ深い技術的知見と発電所運営のノウハウを結集することで、グアコルダひいてはチリの脱炭素化のさらなる加速に貢献できると確信しています」。

当社は、今回のMOU調印をはじめ、世界のIPPを含めた電力業界全体のニーズである低・脱炭素化および性能向上に向けた提案に努めるとともに、今回のFS計画を成功に導くことに全力を挙げて取り組み、電力の安定供給と環境負荷の低減に貢献していきます。


Tags: チリ,火力,アンモニア
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